忍者漫画の世界には、数えきれないほどの名作があります。 でも、ふと思いませんか?——「くノ一」って、もっとすごいんじゃないか、と。
男装して敵陣に忍び込み、色仕掛けで情報を抜き、時に剣を握って命がけで戦う。 歴史の影に生きた女忍者たちは、その存在自体がドラマです。
そして漫画の世界では、そんなくノ一たちが時代を超えて、実にさまざまな姿で活躍しています。命を懸けた壮絶なバトルから、恋に不器用な日常コメディまで。「くノ一」というキーワードひとつで、こんなにも豊かな物語の世界が広がっているのです。
今回は、くノ一が物語の中で鮮烈な存在感を放つ漫画を12作品、選びました。 有名作からちょっとマイナーな隠れた名作まで、あなたの「まだ見ぬ物語」がきっと見つかるはずです。
バジリスク ~甲賀忍法帖~
作画:せがわまさき / 原作:山田風太郎|講談社(ヤングマガジンコミックス)全5巻【完結】

愛し合う二人を、殺し合いの運命が引き裂く——忍の宿命が胸を灼く
甲賀と伊賀、互いに憎しみ合う二つの忍者集団。徳川の世継ぎ問題を決するため、それぞれ十人ずつの精鋭が殺し合う「忍法殺戮合戦」が幕を開けます。しかし甲賀の跡取り・弦之介と伊賀の姫・朧は、深く愛し合う仲だった——。
この作品のくノ一たちが、とにかくすごい。あらゆる忍法を無効化する瞳を持つ朧、吐息で男を毒殺する陽炎、蝶を操る蛍火、蛭のように触れた肌から血を吸い取るお胡夷。一人ひとりが異能を持ち、その力と引き換えに壮絶な運命を背負っています。忍法帖の原点にして頂点とも言える本作は、くノ一の「美しさ」と「哀しさ」を極限まで描き切った傑作です。
信長の忍び
著者:重野なおき|白泉社(ヤングアニマルコミックス)全19巻【完結】

天下統一の裏側に、一人のくノ一がいた
織田信長に仕えるくノ一・千鳥が主人公の戦国4コマギャグ漫画です。かわいらしい絵柄で笑わせてくれるのに、戦国時代の史実をきっちり押さえた骨太な構成が見事。桶狭間の戦いから本能寺の変まで、信長の生涯を千鳥の視点で駆け抜けます。
千鳥は天才的な忍術の腕を持ちながら、どこか抜けていて人間味たっぷり。ギャグの合間にふっと差し込まれるシリアスな場面が、歴史の重みをしっかり感じさせてくれます。「笑って学べる戦国忍者漫画」として、老若男女すべてにおすすめできる一作です。
くノ一ツバキの胸の内
著者:山本崇一朗|小学館(ゲッサン少年サンデーコミックス)全9巻【完結】

「男の人って、どんな生き物なんだろう」——純情くノ一たちの秘密の胸の内
『からかい上手の高木さん』でおなじみの山本崇一朗先生が描く、くノ一たちの日常コメディ。「男との交流を禁ずる」という掟のあるくノ一集団「あかね組」で、優等生のツバキはまだ見ぬ「男」という存在に密かな興味を抱いています。
個性豊かなくノ一たちがわちゃわちゃと過ごす日常は、見ているだけで楽しい。それぞれのキャラクターが「推し」になるほど魅力的で、全員が主人公と言っても過言ではありません。くノ一ものでありながら殺伐さゼロ、ひたすらに可愛くてあたたかい。心の浄化を求めるすべての人に届けたい作品です。
あずみ
著者:小山ゆう|小学館(ビッグコミックス)全48巻【完結】

少女は刺客として生きる。その刃の先に、平和はあるのか
厳密には「くノ一」ではなく「女刺客」ですが、くノ一の系譜を語るうえで外せない金字塔です。江戸幕府初期、暗殺者として育てられた少女・あずみ。幼い頃から人を斬ることだけを教え込まれた彼女が、成長とともに「命とは何か」「自分は何者なのか」と葛藤していきます。
全48巻という大河ドラマのようなスケールの中で、あずみは何度も傷つき、大切な人を失い、それでも刃を握り続けます。女性でありながら最強の暗殺者であるという矛盾、そこから生まれる深い哀しみと強さが、この作品の真髄です。
NARUTO -ナルト-
著者:岸本斉史|集英社(ジャンプ・コミックス)全72巻【完結】

世界が認めた忍者物語——そのくノ一たちも、また強く美しい
言わずと知れた世界的忍者漫画。主人公・ナルトの物語はもちろん素晴らしいのですが、くノ一という視点で見ると、この作品の奥深さがさらに際立ちます。
内気だったヒナタがナルトへの想いを胸に戦う姿、医療忍術の天才としてチームを支えるサクラ、風遁使いの誇り高きテマリ、そして伝説の三忍・綱手。それぞれが「守りたいもの」のために戦い、成長していく姿は、少年漫画の枠を超えた感動を与えてくれます。くノ一にフォーカスして読み返すと、また新しい発見がある名作です。
忍者と極道
著者:近藤信輔|講談社(ヤングマガジンコミックス)既刊15巻~【連載中】

忍者と極道、300年の殺し合い——そこに現れるくノ一の凄みと情
現代を舞台に、300年にわたって殺し合いを続ける忍者と極道の壮絶なバトルを描くアクション漫画。圧倒的な画力と情熱に満ちた本作で、くノ一たちもまた強烈な存在感を放っています。
忍者側の女性キャラクターたちは、それぞれ異なる忍術と信念を持ち、男性キャラに勝るとも劣らない活躍を見せます。この作品の魅力は「命のやり取りの中にある、どうしようもないほどの熱さ」。読めば心の温度が数度は上がること間違いなし。くノ一たちの覚悟が、その熱にさらなる炎を加えています。
Y十M ~柳生忍法帖~
作画:せがわまさき / 原作:山田風太郎|講談社(ヤングマガジンコミックス)全11巻【完結】

七人の女たちが剣を取る——復讐と誇りの壮絶な時代劇
『バジリスク』のせがわまさき×山田風太郎コンビが再び贈る、圧倒的な時代劇漫画。会津藩の暴君・加藤明成とその配下「会津七本槍」に一族を惨殺された七人の女性が、柳生十兵衛の指南のもと、復讐に立ち上がります。
厳密にはくノ一ではなく武家の女性たちですが、「戦うことを選んだ女性」という意味で、くノ一の精神を色濃く受け継いでいます。非力な女性たちが武芸の達人に挑むという構図がスリリングで、十兵衛が直接手を出せない制約がさらに緊張感を高めます。壮大な復讐劇の果てに訪れる結末は、深い余韻を残してくれます。
くノ一はじめました!
著者:はころく|マイクロマガジン社(マイクロマガジンコミックス)全5巻【完結】

忍者のバイト、はじめました。色とりどりのくノ一が集う爆笑シノビコメディ
ごく普通の女子高生・鹿浪かんなが、子どもの頃からの憧れだった忍者のアルバイトに合格するところから始まるドタバタギャグコメディ。唯一の特技である「分身の術」を面接で披露して見事採用されたかんなの前に、敵対する白の里のくノ一・白雪真白や、忍ぶ気ゼロで金色に輝く金霧かなめなど、個性的すぎる忍者たちが次々と登場します。
黒・白・金・青・赤・桃と、色をモチーフにしたキャラクターたちが織りなす日常は、忍者っぽかったり忍者っぽくなかったり。ニコニコ静画で120万PV超え、マンガボックスで230万アクセスを記録したWEB発の人気作で、肩の力を抜いて笑える一冊です。殺伐さとは無縁の、ゆるくてちょっぴりセクシーな忍者ライフを楽しみたい方にぜひ。
くのいち女子高生 音無さん
著者:渡部まさみ|講談社(講談社コミックス)全3巻【完結】

無口で無表情、正体は忍者。でも全然隠せてないし、食いしん坊です
ごく普通の高校に転校してきた音無風香。無口で無表情、ミステリアスな雰囲気を漂わせる彼女の正体は、実はくノ一——なのだけれど、全然隠せてない。先祖の復讐を果たすという壮大な目的を抱えながらも、食べることが大好きすぎる庶民派忍者の音無さんが、隣の席の有馬くんとの距離をじわじわと縮めていく学園4コマラブコメです。
マンガボックスで連載された本作は、4コマのテンポの良さとくノ一設定のギャップが絶妙。女装甲賀忍者や許嫁の登場といった忍者ならではのぶっ飛んだ展開も楽しく、全3巻とサクッと読めるボリュームながら恋愛模様の行方もしっかり描ききっています。キャラ一人ひとりがブレない、安心して笑えるくノ一コメディです。
忍ぶな!チヨちゃん
著者:設楽清人|KADOKAWA(ハルタコミックス)全4巻【完結】

好きな人に近づきたいのに——忍びの体が勝手に隠れちゃうんです!
代々優秀な忍者を輩出する雀家の次期当主・チヨ代。彼女がフツーの高校生・ワタルくんに恋をしたことから、すべてが始まります。告白しようとするたびに、鍛え抜かれた体が勝手に忍んでしまう——このワンアイデアだけで全4巻を駆け抜ける、痛快くノ一ラブコメです。
画力が非常に高く、アクションシーンは忍者漫画としても一級品。それでいてチヨちゃんの恋する乙女っぷりが可愛くてたまらない。全4巻と短いながらも起承転結がしっかりしており、読後感は最高です。もっと多くの人に知ってほしい隠れた名作。
ニニンがシノブ伝
著者:古賀亮一|KADOKAWA(電撃コミックス)全7巻【完結】

くノ一ギャグの金字塔——シノブちゃんの天然忍法が今日も炸裂
天然ボケのくノ一・シノブと、スーパーハンサムボーイ(自称)の音速丸が繰り広げるハイテンション忍者ギャグ漫画。2004年にはアニメ化もされ、根強いファンを持つ人気作です。
「ギャグ」と「お色気」と「忍者」という三大要素がカオスに混ざり合い、予測不能な笑いを生み出します。シノブの純朴さと音速丸のゲスさのコントラストが絶妙で、読むたびにくだらなくて最高な気分にさせてくれます。くノ一漫画をジャンル的に語るなら、このギャグ方面の金字塔は絶対に外せません。
落第忍者乱太郎
著者:尼子騒兵衛|朝日新聞出版(あさひコミックス)全65巻【完結】

忍術学園にはくノ一教室もあるんです——国民的忍者漫画の隠れた魅力
NHKアニメ『忍たま乱太郎』の原作としておなじみの国民的忍者漫画。忍術学園に通う落ちこぼれ忍者たまごたちの日常を描いた本作には、実は「くノ一教室」が存在します。
ユキちゃん、トモミちゃん、しおりちゃんをはじめとするくノ一教室の面々は、男子たちとはまた違った視点で忍術学園の日常を彩ります。全65巻という長期連載の中で、くノ一たちの出番は意外と多く、彼女たちの活躍を追いかけるのも本作の楽しみ方のひとつ。子ども向けに見えて、大人こそ唸らされる忍者の知識がぎっしり詰まった名作です。
影に生きて、物語に咲く——くノ一たちが教えてくれること
くノ一とは、歴史の影で生きた女性たちのこと。 でも漫画の中の彼女たちは、誰よりも鮮やかに物語の中心で咲いています。
剣で戦う者もいれば、恋に忍ぶ者もいる。笑いを振りまく者もいれば、静かに仲間を支える者もいる。「くノ一」というひとつの言葉の中に、これほど多彩な物語があることに驚かされます。
今回紹介した12作品は、そのほんの入り口にすぎません。 あなたの心を射抜く「まだ見ぬくノ一」が、きっとどこかのページで待っています。
