リアルロボットアニメおすすめ12選|ダグラム・ボトムズからエウレカセブンまでの名作

ロボットアニメ【リアルロボット編】
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ロボットアニメには大きくふたつの流れがある。 必殺技を叫び、合体し、悪を倒すスーパーロボット系。そしてもうひとつが、ロボットを「兵器」として描き、戦争や政治、人間の葛藤を真正面から見据えるリアルロボット系である。

『機動戦士ガンダム』が切り拓いたこの路線は、その後の日本アニメに計り知れない影響を与えた。 ロボットは正義の味方ではなく、量産される工業製品としての兵器となり、パイロットは選ばれし勇者ではなく、戦場に放り込まれた一人の若者として描かれるようになった。

今回はそのリアルロボットアニメの系譜から、80年代の黎明期から2010年代の到達点まで12作品を選んだ。 ガンダムシリーズは別記事に独立させ、エヴァや90年代の革新・異色系も別の機会に譲っている。それでもリアル系の懐の深さを十分に感じてもらえるラインナップになったはずだ。重い物語と渋いメカが好きな人ほど、刺さる一本に出会えるはずである。

目次

太陽の牙ダグラム

原作:高橋良輔・星山博之/監督:神田武幸、高橋良輔/制作:日本サンライズ/放送:1981〜1983年(テレビ東京・全75話)

太陽の牙ダグラム

540日の独立戦争を、最初から最後まで見届ける

ロボットアニメを「政治劇」として成立させた、リアル系の歴史的金字塔。 高橋良輔監督の初ロボットアニメ作品にして、『機動戦士ガンダム』以後のリアルロボット路線を決定的に推し進めた作品である。

地球連邦評議会議長ドナン・カシムの息子クリン・カシムは、植民惑星デロイアの独立運動に身を投じ、ゲリラ組織「太陽の牙」のメンバーとなる。新型コンバットアーマー、ダグラムを駆って父の支配する連邦軍と戦う。物語の構造は『ガンダム』とは逆で、主人公は分離主義側、つまり「反乱軍」のほうにいる。

単純な善悪を排し、登場人物それぞれの政治的信念に基づいて動く重厚なドラマ、全75話で描き切られる540日のデロイア動乱の興亡。子ども向けというより、その父親世代まで取り込むことを目指した本作の野心は、後の『ボトムズ』『ガリアン』『SPTレイズナー』へと連なる高橋良輔リアル系の原点となった。長尺だが、観終わったときに残る重さが格別である。

戦闘メカ ザブングル

原作:富野由悠季、鈴木良武/総監督:富野由悠季/キャラクターデザイン:湖川友謙/メカニカルデザイン:大河原邦男、出渕裕/制作:日本サンライズ/放送:1982〜1983年(テレビ朝日系・全50話)

戦闘メカ ザブングル

三日経てば時効。荒野を駆ける西部劇ロボット

『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』で「皆殺しの富野」の異名を獲得した富野由悠季が、一転して明るく痛快な路線に挑んだ意欲作。 日本サンライズ創立10周年記念作品でもあり、リアル系でありながら西部劇的な軽快さを持つ異色のロボットアニメである。

舞台はイノセントと呼ばれる特権階級に支配されている惑星ゾラ。両親を殺された少年ジロン・アモスは、この星に蔓延する「三日限りの掟」(どんな犯罪も三日逃げ切れば時効)を無視して、ウォーカーマシン、ザブングルを駆って仇を追う。

ロボットアニメで初めて本格的に試みられた「主役メカ交代」、つまり物語後半でジロンがザブングルからウォーカーギャリアに乗り換えるという演出は、後のロボットアニメに大きな影響を与えた。コミカルでありながら社会構造の不均衡をしっかりと描き、敵役にも憎めない人物像が与えられている。富野作品入門としても薦めやすい一本である。

超時空要塞マクロス

原作:スタジオぬえ/チーフディレクター:石黒昇/メカニックデザイン:宮武一貴、河森正治/キャラクターデザイン:美樹本晴彦/制作:タツノコプロ/放送:1982〜1983年(毎日放送・TBS系列・全36話)

超時空要塞マクロス

バルキリーが舞い、ミンメイが歌う。戦争と恋と歌の三位一体

スタジオぬえと若手スタッフたちが結集して生み出した、80年代を代表するSFロボットアニメ。 バルキリーの三段変形、リン・ミンメイのアイドル歌唱、一条輝と早瀬未沙の三角関係。今では当たり前になった要素の数々が、本作で初めて結晶した。

地球に墜落した巨大宇宙船の調査から始まる物語は、進宙式の日に異星人ゼントラーディ軍との戦争へと突入する。圧倒的な物量で攻めてくる巨大異星人に対し、人類は可変戦闘機バルキリーで応戦する。やがてゼントラーディ人が「歌」を持たない文明であることが明らかになり、ミンメイの歌が戦況を変える鍵となっていく。

メカニックデザイン担当の河森正治、キャラクターデザインの美樹本晴彦、メカ作画の板野一郎による「板野サーカス」と呼ばれる縦横無尽なミサイルワーク。慶應義塾の同級生だった若き才能たちが集まり、当時の水準を一気に押し上げた本作は、その後40年以上続くマクロスシリーズの原点である。

聖戦士ダンバイン

原作:富野由悠季、矢立肇/総監督:富野由悠季/キャラクターデザイン:湖川友謙/メカニカルデザイン:宮武一貴、出渕裕/制作:日本サンライズ/放送:1983〜1984年(テレビ朝日系・全49話)

聖戦士ダンバイン

オーラの力で動くロボット。剣と魔法の異世界戦記

「現代の日本人が異世界に召喚されてロボットに乗る」という、後のファンタジー作品の祖型ともいえる発想を1983年に実現してしまった、富野由悠季の異色作。 リアルロボットの方法論で異世界ファンタジーを描くという、当時としては前例のない試みである。

主人公ショウ・ザマは、海と地の狭間にある異世界バイストン・ウェルに召喚される。「ア」の国の地方領主ドレイク・ルフトに「聖戦士」として遇され、昆虫を模した有機的デザインの異形のロボット「オーラバトラー」、ダンバインを与えられる。だがやがてショウは、自分が手を貸している相手の正体に気づいていく。

オーラ力という精神エネルギーで動くロボット、妖精フェラリオ、貴族と平民の階級社会。富野が思い描いた幻想世界の細部は、後の富野作品『リーンの翼』にも引き継がれていく。当時の視聴者には早すぎて商業的には苦戦したが、ファンタジー作品が市民権を得た今こそ再評価されるべき先駆的傑作である。

装甲騎兵ボトムズ

原作・監督:高橋良輔/キャラクターデザイン:塩山紀生/メカニカルデザイン:大河原邦男/制作:日本サンライズ/放送:1983〜1984年(テレビ東京・全52話)

装甲騎兵ボトムズ

一兵卒の流浪と、銀河の陰謀を貫く百年戦争

リアルロボットアニメの極北、ハードボイルドの金字塔。 高橋良輔監督が『ダグラム』に続いて世に問うた、ロボットを徹底的に消耗品の兵器として描いたシリーズである。

アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントの百年戦争。その末期、ギルガメス軍の一兵士キリコ・キュービィーは、味方基地を強襲する不可解な作戦に参加させられる。そこで「素体」と呼ばれる軍最高機密を目撃したことから、キリコは軍に追われる身となり、星から星へ、戦場から戦場へと放浪を続けていく。

主人公機として固有の名前を持たない汎用兵器「アーマードトルーパー(AT)」、消耗品として乱暴に扱われるロボット、ニヒリスティックな戦場描写。「炎のさだめ」を歌うOPから漂う独特の空気感は、今なお唯一無二の魅力を放つ。プラモデルは売れなかったらしいが、その後シリーズはOVA、劇場版へと延々と展開を続けている。リアル系が好きならいずれ通る道である。

重戦機エルガイム

原作・総監督:富野由悠季/キャラクターデザイン・メカニカルデザイン:永野護/アニメーションディレクター:湖川友謙/制作:日本サンライズ/放送:1984〜1985年(テレビ朝日系・全54話)

重戦機エルガイム

ヘビーメタルが躍動する。新時代のリアルロボット革命

新鋭デザイナー永野護を一気にスターダムへ押し上げ、後の『Ζガンダム』へと繋がる革新を起こした作品。 当時23歳の永野が、サンライズのロボットアニメとして初めてキャラクターとメカの両方のデザインを担当するという大抜擢を受けた、伝説のスタッフ編成である。

二重太陽サンズを巡る5つの惑星、ペンタゴナ・ワールド。辺境の若者ダバ・マイロードは、青雲の志を胸に親友のミラウー・キャオと旅に出る。やがて支配者オルドナ・ポセイダルの圧政に抗う反乱軍と合流し、A級ヘビーメタル「エルガイム」を駆って戦いに身を投じていく。

本作で永野が提唱した「ムーバルフレーム」──駆動部分と装甲を独立させたデザイン思想は、翌年の『機動戦士Ζガンダム』にも採用され、以後のロボットアニメ設計の標準となった。後に永野が『ファイブスター物語』で展開する世界観の萌芽が随所に見られ、両作のファンにとっては必修科目である。

機甲戦記ドラグナー

監督:神田武幸/キャラクターデザイン:大貫健一/メカニカルデザイン:大河原邦男/制作:日本サンライズ/放送:1987〜1988年(名古屋テレビ・テレビ朝日系・全48話)

機甲戦記ドラグナー

民間人だった三人の少年が、戦士として目覚めていく

『機動戦士ガンダムΖΖ』までの5年間にわたって富野由悠季が務めていたサンライズ土曜夕方枠の総監督を、『銀河漂流バイファム』の神田武幸が引き継いだ作品。 80年代最後のサンライズ・リアルロボットアニメとして、明るさと真摯さを両立させた佳作である。

西暦2087年、月に樹立された統一帝国「ギガノス」が地球連合に宣戦を布告。中立コロニー「アルカード」に住む民間人の少年ケーン・ワカバ、ライト・ニューマン、タップ・オセアノの3人は、ひょんなことから新型メタルアーマー「ドラグナー」のパイロットとして登録されてしまう。

特殊能力もないただの高校生たちが、戦争の悲惨に触れながら戦士として成長していく群像劇。神田監督の信条である「人は人のまま」「周囲の大人が大人の役割をきちんと果たす」という方針が貫かれており、『ガンダム』とは異なる温度感のリアル系となっている。「ギガノスの蒼き鷹」マイヨ・プラートとの宿敵関係も見どころ。

機動警察パトレイバー

原作:ヘッドギア(ゆうきまさみ・出渕裕・伊藤和典・高田明美・押井守)/監督:押井守(第1〜6話)、吉永尚之(第7話)/音楽:川井憲次/制作:スタジオディーン/OVA初期シリーズ:1988〜1989年(全7話)

機動警察パトレイバー

ロボットは英雄ではない。日々の労働の道具である

ロボットを「重機」として描いた、リアルロボットアニメの転換点。 ゆうきまさみ、出渕裕、伊藤和典、高田明美、押井守の5人によるクリエイター集団「ヘッドギア」が原作者集団として企画し、OVAから漫画、劇場版、TVシリーズへとメディアミックス展開した日本アニメ史の重要作である。

汎用人間型作業機械「レイバー」が普及した近未来東京。レイバー犯罪の増加に対応するため警視庁が組織した、特科車両二課中隊。そこに新米警官として配属された泉野明と仲間たちが、レイバー犯罪に立ち向かい、ときに巻き込まれていく。

メカニックを兵器ではなく労働の道具として描き、ドラマの中心を「組織で働く人間たち」に置くという、それまでのリアルロボットの常識を更新した視点。後藤喜一隊長と南雲しのぶ隊長、ベテラン整備班長、お調子者の同僚たち。職場の人間関係の機微こそが本作の真骨頂である。OVAから劇場版1作目、押井守監督の劇場版2作目まで、入り口はどこからでもよい。

ガサラキ

原案:矢立肇、高橋良輔/監督:高橋良輔/助監督:谷口悟朗/シリーズ構成:野崎透/キャラクターデザイン:村瀬修功/メカニックデザイン:出渕裕、荒牧伸志/制作:サンライズ/放送:1998〜1999年(テレビ大阪・テレビ東京系・全25話)

ガサラキ

能楽と二足歩行兵器が交わる、和風伝奇ロボット

『ボトムズ』の高橋良輔が『蒼き流星SPTレイズナー』以来13年ぶりに監督したテレビシリーズ。 リアルロボットの極北と評される徹底した軍事描写と、能楽を中心とした和風伝奇要素を融合させた、唯一無二の野心作である。

日本の経済を影で操る旧家・豪和家は、代々伝わる「骨嵬(クガイ)」の組成を研究応用し、自衛隊と共に二足歩行兵器「タクティカルアーマー(TA)」を開発した。豪和家四男で余流能楽の継承者であるユウシロウは、「餓沙羅の舞」を舞うことで「ガサラキ」と呼ばれる存在を呼び寄せる「嵬(かい)」と呼ばれる能力者。彼はある日、同じ能力を持つ少女ミハルと精神接触する。

序盤の自衛隊海外派兵描写は、後のイラク戦争を予見していたとさえ言われる迫真の出来。サブタイトルに和歌を採用し、平安期からの伝承と現代の軍事政治を交差させる構成は、他のロボットアニメに類を見ない。助監督の谷口悟朗(後の『コードギアス』監督)が現場を支えていた点も含めて、改めて見直したい作品である。

フルメタル・パニック!

原作:賀東招二/監督:千明孝一/キャラクターデザイン:堀内修/メカニックデザイン:海老川兼武、渭原敏明/音楽:佐橋俊彦/制作:GONZO/放送:2002年(WOWOW・全24話)

フルメタル・パニック!

戦場の少年兵が、女子高生のボディガードに就く

賀東招二による富士見ファンタジア文庫の人気ライトノベルを原作とする、軍事と学園コメディが奇跡の融合を見せる作品。 ラノベ原作ロボットアニメの先駆けにして、シリーズ累計1150万部を突破した代表作の最初のアニメ化である。

軍事組織「ミスリル」の少年兵相良宗介は、特殊な能力を持つ「ウィスパード」の女子高生・千鳥かなめを警護するため、東京の都立陣代高校に転入する。戦場で生きてきた17歳と一般人の女子高生の噛み合わない日常、そしてアーム・スレイブと呼ばれる二足歩行兵器が織り成す本格的な軍事アクション。

緊迫した戦闘パートとコメディパートの落差が本作の魅力で、軍事ガジェットへの徹底したこだわりも見どころ。第2期『フルメタル・パニック? ふもっふ』では京都アニメーションによる学園コメディに特化、第3期『The Second Raid』では再びシリアスに振り、第4期『Invisible Victory』で原作の核心へと至る。第1期がリアル系の入り口として最適である。

交響詩篇エウレカセブン

原作:BONES/監督:京田知己/シリーズ構成:佐藤大/キャラクターデザイン:吉田健一/メインメカニックデザイン:河森正治/制作:ボンズ/放送:2005〜2006年(毎日放送・TBS系列・全50話)

交響詩篇エウレカセブン

空を飛ぶサーフィン、少年と少女のロードムービー

ロボットアニメにテクノ・ハウス音楽やサーフィン、ストリートカルチャーを大胆に持ち込んだ、ゼロ年代を代表する革新的傑作。 京田知己監督の初のテレビシリーズにして、ボンズが満を持して送り出したオリジナル作品である。

辺境の街ベルフォレストに暮らす14歳の少年レントン・サーストンは、英雄と讃えられる亡き父アドロックへの複雑な思いを抱えながら退屈な日常を送っていた。ある日、彼の前に世界最古のLFO「ニルヴァーシュ」と謎の少女エウレカが現れる。レントンはエウレカに惹かれ、彼女が所属する非合法組織「ゲッコーステイト」に加わっていく。

物語の核は少年少女のロードムービーであり、ボーイ・ミーツ・ガールであり、家族の物語である。河森正治のメカデザイン、吉田健一の独特なキャラクター造形、佐藤直紀の音楽。すべてが新鮮で、それでいて懐かしい。全50話を駆け抜けた末に待ち受けるラストの感動は、リアル系の枠を超えて記憶に残る。

アルドノア・ゼロ

原作:Olympus Knights/監督:あおきえい/ストーリー原案:虚淵玄/シリーズ構成:高山カツヒコ/キャラクター原案:志村貴子/音楽:澤野弘之/制作:A-1 Pictures、TROYCA/放送:2014〜2015年(TOKYO MX他・全24話)

アルドノア・ゼロ

圧倒的戦力差を、頭脳で覆す地球側の戦い

『Fate/Zero』のあおきえい監督と虚淵玄(ニトロプラス)が再びタッグを組んで放った、現代的リアルロボットの到達点。 2010年代におけるリアルロボットアニメの再起動を象徴する作品である。

火星に移住した人類「ヴァース帝国」と、地球側の人類との間で起きた戦争から15年。和平交渉のために来訪した火星の皇女アセイラム・ヴァース・アリューシアがテロリストに襲撃され、再び戦争が勃発する。地球の高校生・界塚伊奈帆は、ヴァース帝国の圧倒的に高性能な人型機動兵器「カタフラクト」に対し、冷静な観察と論理的な戦術で立ち向かっていく。

主役機の絶対的性能で勝つのではなく、敵機の弱点を観察し、地球側の限られた装備と地形と機転で覆すという戦闘描写が新鮮。澤野弘之の音楽が戦闘シーンを盛り上げ、伊奈帆と火星騎士に仕える地球出身の少年スレイン・トロイヤード、二人の主人公の対比的なドラマが物語を駆動していく。リアル系の系譜が、新しい世代の作り手たちにもしっかり受け継がれていることを示す一作である。


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