異世界でも、笑いは最強の武器だ。
チート能力で無双するのも、スローライフでのんびりするのもいいけれど、異世界転生アニメの中には「とにかく笑える」ことに全力を注いだ作品がたくさんある。テンプレを逆手に取ったパロディ、主人公のポンコツっぷり、設定そのものが出オチ級のぶっ飛びぶり。
厳密には転生以外の召喚や転移も含まれるが、観ればきっと笑顔になれるコメディ・ギャグ寄りの異世界アニメを10本集めた。疲れた日のストレス発散にもどうぞ。
個人的に笑える異世界アニメの鉄板は「この素晴らしい世界に祝福を!」と思ってるが、これは定番異世界アニメの方に分類させてもらったので、こちらもご参考にどうぞ!
異世界転生アニメの鉄板の定番作品|最初に観るべき異世界王道のまとめ
陰の実力者になりたくて!
原作:逢沢大介(KADOKAWA)
アニメーション制作:Nexus
放送時期:第1期 2022年10月~2023年2月、第2期 2023年10月~12月

中二病の妄想が、なぜか全部現実になっていた
「陰の実力者」に憧れる少年が異世界に転生し、ノリと勢いで作り上げた「闇の組織と戦う秘密結社」という設定が、なぜか全部実在していた。本人だけが妄想のつもりで最高に楽しんでいるのに、周囲は本気で彼を崇拝している。
主人公シドの「勘違いシリアス」が最大の見どころ。本人は中二病ごっこを全力で楽しんでいるだけなのに、結果として世界を揺るがす陰の実力者になっている。そのズレが生み出す笑いとカタルシスの同居がクセになる。しかもアクション作画のクオリティが異常に高く、ギャグなのに戦闘シーンで鳥肌が立つという不思議な体験ができる。シリーズ累計650万部突破、劇場版も制作決定と勢いが止まらない。
慎重勇者 〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜
原作:土日月(カドカワBOOKS/KADOKAWA)
アニメーション制作:WHITE FOX
放送時期:2019年10月~12月

最強なのに、石橋を叩きすぎて壊す勇者
難度Sの世界を救うために女神リスタルテが召喚した勇者・竜宮院聖哉は、ステータスは超一流なのに異常なまでに慎重。スライム相手にも全力で準備し、念には念を入れすぎて女神が泣く。
序盤はリスタルテの顔芸と聖哉の理不尽な慎重さで笑わせてくる、テンポのいいギャグアニメ。ところが終盤で物語が一気にひっくり返る。あの慎重さにはちゃんと理由があった、と分かった瞬間の衝撃は1クールアニメとしては屈指の完成度だ。笑って笑って、最後に泣かされる。そんな作品を探しているならこれをおすすめしたい。
異世界おじさん
原作:殆ど死んでいる(KADOKAWA)
アニメーション制作:Atelier Pontdarc
放送時期:2022年7月~2023年3月(放送中断を含む)

17年間異世界にいたおじさんが帰ってきた。しかもセガ信者だった
17年間の昏睡状態から目覚めたおじさんは、実は異世界に転送されていた。甥のたかふみの家に転がり込み、異世界での体験を語り始めるのだが、その内容がとにかくひどい。異世界の美少女からの好意に一切気づかず、セガのゲームの話ばかりしている。
異世界パートと現代パートが交互に描かれる構成がユニーク。異世界での出来事をおじさんが魔法で映像として再生し、それにたかふみがツッコむという形式が絶妙に面白い。セガハードへの偏った愛と、異世界美少女のフラグを全て折っていく天然っぷりに笑いが止まらない。異世界転生ものを一通り観た人ほどネタが刺さる、メタ的な楽しみ方もできる一本だ。
戦闘員、派遣します!
原作:暁なつめ(角川スニーカー文庫/KADOKAWA)
アニメーション制作:J.C.STAFF
放送時期:2021年4月~6月

このすば作者が描く、悪の組織の異世界侵略コメディ
地球征服を目論む秘密結社キサラギの戦闘員六号が、異世界を侵略するために派遣される。しかし現地で手を組んだのは、残念すぎる仲間たち。悪事を働くとポイントが貯まるシステムのもと、しょうもない悪行を重ねながら異世界で暴れ回る。
こちらは転生ではなく「派遣」だが、このすばの暁なつめさんによる作品ということで外せない。このすばと同じくキャラクターのポンコツさとテンポのいいツッコミで笑わせてくるが、こちらは主人公側が「悪」という設定がミソ。悪いことをすればするほどポイントが貯まるのに、結局やることがしょぼいという落差が面白い。このすばが好きならまず間違いなく楽しめる。
はたらく魔王さま!
原作:和ヶ原聡司(電撃文庫/KADOKAWA)
アニメーション制作:WHITE FOX(第1期)、Studio 3Hz(第2期)
放送時期:第1期 2013年4月~6月、第2期 2022年7月~9月(第1クール)・2023年7月~9月(第2クール)

異世界の魔王が、日本でフリーター生活を始めた
勇者に追い詰められた魔王サタンが、逃げ込んだ先は現代の日本。魔力を失い、六畳一間のアパートでフリーター生活を始める。バイト先はマクドナルドならぬ「マグロナルド」。しかも追ってきた勇者エミリアも、日本でコールセンターのバイトをしていた。
「異世界から日本に来る」逆パターンだが、異世界コメディの名作として外せない存在。魔王が真面目にバイトに精を出し、勇者が家計をやりくりする日常のシュールさがたまらない。異世界の壮大な設定と、日本の生活感あふれる描写のギャップが笑いの源泉。2013年の放送当時は大きな話題を呼び、異世界コメディの先駆けとなった作品でもある。
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
原作:むらさきゆきや(講談社ラノベ文庫)
アニメーション制作:亜細亜堂(第1期)、手塚プロダクション・オクルトノボル(第2期)
放送時期:第1期 2018年7月~9月、第2期 2021年4月~6月

コミュ障ゲーマーが、魔王ロールプレイで異世界を渡り歩く
ゲームで最強プレイヤーだった引きこもりが、ゲームキャラの姿で異世界に召喚される。しかし極度のコミュ障ゆえ、人と話すときはゲーム内の「魔王ロールプレイ」でしか喋れない。威圧的な言動の裏で内心は常にテンパっている。
「本当はビビっているのに魔王のフリをするしかない」という羞恥プレイ的な笑いが核。見た目は最強の魔王、中身はコミュ障のオタクというギャップがとにかく面白い。お色気要素も強めだが、主人公の内心のツッコミが終始おかしくて、笑いの絶えない作品に仕上がっている。
ノーゲーム・ノーライフ
原作:榎宮祐(MF文庫J/KADOKAWA)
アニメーション制作:マッドハウス
放送時期:2014年4月~6月

すべてがゲームで決まる世界に、天才ゲーマー兄妹が降り立つ
引きこもりの天才ゲーマー兄妹、空と白。二人は神に召喚され、あらゆる争いがゲームで決着する異世界「ディスボード」に降り立つ。最弱の人類種として、ゲームの力だけで世界の頂点を目指す。
頭脳戦の痛快さとコメディのバランスが絶妙な作品。空と白が相手の裏をかいてゲームに勝つ展開は爽快そのものだが、普段のやり取りはギャグ全開。引きこもり兄妹の社会不適合っぷりと、ゲームになった途端の圧倒的な自信のギャップが笑える。色彩豊かな映像美も特徴で、マッドハウスの作画力が遺憾なく発揮されている。2期を待ち望む声が今なお絶えない人気作だ。
異世界かるてっと
原作:クロスオーバー企画作品
アニメーション制作:スタジオぷYUKAI
放送時期:第1期 2019年4月~6月、第2期 2020年1月~4月、第3期 2025年10月~12月

リゼロ、このすば、オバロ、幼女戦記のキャラが同じ教室に
Re:ゼロ、この素晴らしい世界に祝福を!、オーバーロード、幼女戦記。KADOKAWA刊行の人気異世界4作品のキャラクターたちが、なぜか同じ教室に集められるプチキャラクロスオーバーアニメ。
1話あたり約12分のショートアニメだが、各作品のキャラクター性を熟知したうえでのクロスオーバーネタが秀逸。アインズとターニャが会話し、カズマとスバルが意気投合する。それぞれの作品を観ているほど楽しめる、ファンへのご褒美的な一作。第3期では「陰の実力者になりたくて!」も参戦し、カオスはさらに加速した。
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます
原作:謙虚なサークル(講談社)
アニメーション制作:つむぎ秋田アニメLab
放送時期:第1期 2024年4月~6月、第2期 2025年7月~9月

王位継承とか興味ないので、魔術の研究だけさせてください
前世で魔術の才能に恵まれなかった男が、名門王家の第七王子ロイドに転生。王位継承争いには一切興味がなく、ひたすら魔術の研究と実験に没頭する。しかし前世で培った膨大な知識と、今世の溢れんばかりの才能が合わさり、規格外の力を発揮してしまう。
ストーリーはシンプルだが、魔術オタクのロイドが無邪気に魔術を楽しむ姿が微笑ましい。周囲が驚愕する中、本人は「やっと魔術ができる!」と目を輝かせているだけという温度差が笑いを生む。作画も要所で気合が入っており、ゆるい空気感と派手な魔術演出の緩急が楽しい。肩の力を抜いて観られるお気楽転生コメディだ。
勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う
原作:深山鈴(Kラノベブックス/講談社)
アニメーション制作:EMTスクエアード
放送時期:2022年10月~12月

追放された先で出会ったのは、最強種の猫耳少女だった
勇者パーティーから「役立たず」と追い出されたビーストテイマーのレインが、森で出会ったのは最強種の猫霊族の少女カナデ。契約を結んだレインは、実はあらゆる種族と契約できる希少な才能の持ち主だったことが判明し、次々と最強種の仲間が集まってくる。
いわゆる「追放ざまぁ」系だが、復讐劇ではなく穏やかなハーレムコメディとして展開される。レインの人の良さに最強種の少女たちが惹かれていく構図がほのぼのしていて、ストレスがほとんどない。追放した勇者パーティーが自滅していく様子も、スカッとする程度の軽い味付け。気楽に笑えるゆるコメディとして、疲れた日にちょうどいい一本だ。
10作品を紹介してきたが、異世界コメディの魅力は「お約束」を知っているほど笑えるという点にある。
チートで無双するテンプレを逆手に取ったり、真面目な設定を全力でギャグに振り切ったり、あるいは異世界の住人と現代人の価値観のズレで笑いを生んだり。同じ「異世界に行く」という設定から、ここまで多彩な笑いが生まれることに、このジャンルの底知れなさを感じる。


