犬が主役の洋画おすすめ11本|感動の名作からNetflix配信作品まで厳選

おすすめ!犬の映画【洋画編】
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犬は言葉を話さない。でも映画の中の犬たちは、いつも何かを語っている。

スコットランドの荒野を駆け抜けるコリー犬の瞳には「帰りたい」という切実な意志が宿り、雪の降る駅前に座り続ける秋田犬の背中には「待っている」という静かな覚悟がにじむ。ハリウッドが描く犬の物語には、邦画とはまた違うスケール感と、時に大胆なファンタジーがある。転生を繰り返す犬、大陸を横断する犬、誘拐された子供を救う野良犬――。

今回は、犬が主人公あるいは物語の中心にいる洋画を11本集めた。80年以上前の古典から、Netflix・Disney+の新作、ウェス・アンダーソンの異色アニメーションまで。国も時代もジャンルもバラバラだけれど、どの作品にも共通しているのは、犬の存在が人間の物語を根底から変えてしまうということだ。

目次

名犬ラッシー 家路

監督:フレッド・M・ウィルコックス / 原作:エリック・ナイト / 出演:ロディ・マクドウォール、ドナルド・クリスプ、エリザベス・テイラー / 1943年公開 / 88分 / アメリカ / 原題:Lassie Come Home

名犬ラッシー 家路

スコットランドからヨークシャーへ。千里を走った帰巣本能

失業した父が家計のためにラッシーを侯爵家に売り渡す。何度逃げ出しても連れ戻されるラッシーは、ついにスコットランドの別荘に送られてしまう。しかし毎日午後4時になると落ち着きをなくすラッシーは、ある日ついに別荘を脱走し、少年ジョーの待つヨークシャーへ向けて走り始める。

すべての「犬映画」の原点がここにある。1943年という時代に作られたこの作品は、犬と少年の絆という普遍的なテーマを、イギリスの美しい田園風景とともに描いた。若き日のエリザベス・テイラーが出演していることでも知られるが、画面を支配するのはラッシーを演じた名犬パルの圧倒的な存在感だ。1993年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、映画史的にも高い価値が認められている。

ベンジー

監督:ブランドン・キャンプ / 出演:ガブリエル・ベイトマン、ダービー・キャンプ、キーリー・サンチェス / 2018年配信 / 87分 / アメリカ / 原題:Benji / Netflix

ベンジー

血統書なんていらない。この小さな野良犬が、全部ひっくり返す

1974年の大ヒット作『ベンジー』を、オリジナル版の監督ジョー・キャンプの息子ブランドン・キャンプがリブート。ニューオーリンズを舞台に、野良犬のベンジーが偶然出会った兄妹と交流を深めるが、ある日兄妹が強盗犯に誘拐されてしまう。ベンジーは恩を返すべく、救出に向かう。

オリジナル版が切り拓いた「雑種犬がヒーロー」という革命的なコンセプトを、現代の子供たちにも届くようにアップデートした作品。ベンジーの演技力は驚異的で、鍵を咥えてドアを開けるシーンでは大人でも思わず拍手したくなる。犬目線の低いカメラアングルが多用されており、ベンジーと一緒にニューオーリンズの路地を駆け抜けているような臨場感がある。肩の力を抜いて家族で楽しめる一本。

マイ・ドッグ・スキップ

監督:ジェイ・ラッセル / 原作:ウィリー・モリス / 出演:フランキー・ムニッズ、ダイアン・レイン、ルーク・ウィルソン、ケヴィン・ベーコン / 2000年公開 / 95分 / アメリカ / 原題:My Dog Skip

マイ・ドッグ・スキップ

9歳の僕に友達を作ってくれたのは、一匹のジャック・ラッセル・テリアだった

1940年代のミシシッピ。内気で友達のいない少年ウィリーは、9歳の誕生日に母からジャック・ラッセル・テリアの子犬をプレゼントされる。スキップと名付けたその犬とともに、ウィリーは少しずつ世界を広げていく。

作家ウィリー・モリスの自伝的エッセイを映画化した本作は、派手な事件も奇跡も起きない。ただ、少年と犬が一緒に過ごす日々が、静かに丁寧に積み重ねられていく。スキップがいたから友達ができた。スキップがいたから勇気が出た。そしてスキップがいなくなる日が来ることを、少年は少しずつ理解していく。ナレーションで語られるラストの一節は、犬と暮らした経験のある人なら誰もが胸を突かれるだろう。

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと

監督:デヴィッド・フランケル / 原作:ジョン・グローガン / 出演:オーウェン・ウィルソン、ジェニファー・アニストン / 2008年公開 / 115分 / アメリカ / 原題:Marley & Me

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと

家具を壊し、庭を掘り返し、手に負えない。でも、かけがえがない

新聞記者のジョンと妻のジェニーは、子育ての予行練習にとラブラドール・レトリバーの子犬を迎える。マーリーと名付けたその犬は、家具を噛み、ソファを破壊し、しつけ教室を追い出される「世界一おバカな犬」だった。

ジョン・グローガンの実話ベースのベストセラーを映画化。この映画の秀逸さは、犬の物語でありながら、同時に夫婦の物語、家族の物語であるところだ。マーリーの成長と老いは、ジョンとジェニーの人生そのものと重なる。子供が生まれ、仕事に悩み、引っ越しを繰り返す日常の中で、マーリーはいつもそこにいる。完璧じゃない犬が完璧じゃない家族に寄り添う。その不器用な幸福が、ラストで深い喪失に変わるとき、この映画は「おバカな犬の話」をはるかに超えていく。

HACHI 約束の犬

監督:ラッセ・ハルストレム / 出演:リチャード・ギア、ジョーン・アレン、サラ・ローマー / 2009年公開 / 93分 / アメリカ・イギリス / 原題:Hachi: A Dog’s Tale

HACHI 約束の犬

渋谷の物語が、アメリカの小さな駅でもう一度語られる

大学教授のパーカーは、駅で迷子になっていた秋田犬の子犬を拾い、ハチと名付ける。毎朝パーカーを駅まで送り、毎夕5時に迎えに行くのがハチの日課になる。しかしある日、パーカーは大学で倒れ、帰らぬ人となる。

1987年の邦画『ハチ公物語』をラッセ・ハルストレム監督がリメイク。舞台をアメリカの架空の町に移しながらも、ハチが駅で待ち続けるという物語の核はそのまま残している。リチャード・ギアの穏やかな佇まいと秋田犬の凜とした美しさが、アメリカの四季のなかで静かに溶け合う。文化も言語も超えて「待つ」ことの意味を問いかける本作は、日本の観客が観ても新鮮な発見がある。ハチ公の物語が、異国の地で普遍的な愛の形として再解釈された瞬間を目撃できる。

僕のワンダフル・ライフ

監督:ラッセ・ハルストレム / 原作:W・ブルース・キャメロン / 出演:デニス・クエイド、ジョシュ・ギャッド(声) / 2017年公開 / 100分 / アメリカ / 原題:A Dog’s Purpose

僕のワンダフル・ライフ

もしも犬が何度も生まれ変わるとしたら、その理由は

ゴールデン・レトリバーのベイリーは、少年イーサンとの幸せな日々を過ごした後、命を終える。しかしベイリーは別の犬として生まれ変わり、また別の飼い主と出会い、また死に、また生まれ変わる。50年の間に3度転生したベイリーが、最後にたどり着いた場所は――。

犬の視点で語られるという大胆な設定が、この映画を唯一無二のものにしている。ベイリーの心の声を担当するジョシュ・ギャッドのユーモラスなナレーションが絶妙で、「ご飯って最高!」「この匂い、知ってる!」といった犬らしい感覚が微笑ましい。しかし物語が進むにつれ、転生を繰り返すベイリーの旅が、ある一つの目的に収束していく構造は見事だ。犬の一生は短い。だからこそ、何度でも愛する人のもとへ帰ろうとする。

ベラのワンダフル・ホーム

監督:チャールズ・マーティン・スミス / 原作:W・ブルース・キャメロン / 出演:アシュレイ・ジャッド、ジョナ・ハウアー=キング / 2019年公開 / 96分 / アメリカ / 原題:A Dog’s Way Home

ベラのワンダフル・ホーム

600キロの道を、ただ「おうち」に帰るために

ピットブル系の雑種犬ベラは、飼い主のルーカスと引き離され、遠く離れたニューメキシコに送られてしまう。しかしベラは「おうちに帰る」という一心で、約600キロの道を歩き始める。

『僕のワンダフル・ライフ』と同じW・ブルース・キャメロン原作だが、こちらはファンタジー要素を抑えたロードムービーだ。山を越え、川を渡り、野生のクーガーの子供と旅をするベラの冒険は、自然の厳しさと美しさを同時に見せてくれる。ピットブル系の犬種に対する偏見や規制の問題にもさりげなく触れており、犬の外見で価値を判断することの愚かさを静かに問いかけている。

トーゴー

監督・撮影:エリクソン・コア / 脚本:トム・フリン / 出演:ウィレム・デフォー、ジュリアンヌ・ニコルソン / 2019年制作 / 113分 / アメリカ / 原題:Togo / Disney+

トーゴー

ブリザードの向こうに、子供たちの命がある

1925年冬、アラスカの町ノームでジフテリアが猛威を振るう。血清を届ける飛行機はブリザードで飛べない。唯一の手段は犬ぞりのリレーだった。ベテラン犬ぞり師レナード・セッパラは、12歳の老リーダー犬トーゴーとともに、全チーム中最も長く過酷な区間に挑む。

実話の映画化として圧倒的な完成度を誇る一本。Disney+オリジナルのため劇場未公開だが、Filmarksでの評価は4.0点と非常に高い。ウィレム・デフォーの抑えた演技と、本物の犬を使ったリアルな撮影が生み出す緊迫感は、配信映画のレベルをはるかに超えている。やんちゃな子犬時代からリーダー犬へと成長するトーゴーの過去と、命がけの旅が交互に描かれる構成も巧みだ。ちなみに「トーゴー」という名前は東郷平八郎に由来する。日本の観客にとっては、その名前にも不思議な縁を感じるだろう。

ベートーベン

監督:ブライアン・レヴァント / 出演:チャールズ・グローディン、ボニー・ハント、ディーン・ジョーンズ / 1992年公開 / 87分 / アメリカ / 原題:Beethoven

ベートーベン

でかい。うるさい。散らかす。でも、この家にはこの犬が必要だった

ペット泥棒にペットショップから盗み出されたセントバーナードの子犬が、泥棒の車から逃げ出し、ニュートン家に迷い込む。子供たちはすぐに夢中になるが、神経質な父親のジョージは大反対。しかし「ベートーベン」と名付けられたこの犬は、成長するにつれてとんでもなくデカくなり、家中をよだれまみれにしていく。

1990年代を代表するファミリー映画であり、セントバーナードという犬種の知名度を一気に押し上げた作品だ。コメディとして気楽に楽しめる一方で、犬嫌いだった父親がベートーベンを守るために怒りを爆発させるクライマックスには、家族の絆がしっかり描かれている。子供の頃に観た人が大人になって観返すと、ジョージの気持ちがよくわかるようになっているのも面白い。続編が複数本作られたが、まずはこの第1作の瑞々しさを味わってほしい。

野性の呼び声

監督:クリス・サンダース / 原作:ジャック・ロンドン / 出演:ハリソン・フォード / 2020年公開 / 100分 / アメリカ / 原題:The Call of the Wild

野性の呼び声

飼い犬だったバックは、アラスカの大地で「本来の自分」を見つける

カリフォルニアの裕福な家庭で暮らしていた大型犬のバックは、盗まれてアラスカに売り飛ばされ、犬ぞりの引き犬にされる。過酷な環境の中で野生の本能を取り戻していくバックは、やがて孤独な老人ソーントンと出会う。

ジャック・ロンドンの古典的名作を、CGで表現されたバックを主人公に映画化。実写の犬ではなくCGという選択には賛否があったが、おかげで原作のスケール感を映像化することが可能になった。雪崩のシーン、急流を下るシーン、そしてオーロラの下でソーントンと並んで座るシーン。ハリソン・フォードが演じるソーントンの静かな寂しさと、バックの中で目覚める野生への渇望が重なり合う後半は、犬の映画であると同時に、「自分らしく生きるとはどういうことか」を問いかける物語だ。

犬ヶ島

監督:ウェス・アンダーソン / 声の出演:ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、コーユー・ランキン / 2018年公開 / 101分 / アメリカ・ドイツ・イギリス / 原題:Isle of Dogs

犬ヶ島

架空の日本で、すべての犬が追放された

近未来の日本。メガ崎市の小林市長は、犬インフルエンザの流行を口実に、すべての犬をゴミの島「犬ヶ島」に追放する。市長の養子である少年アタリは、愛犬スポッツを探すために単身で犬ヶ島に渡り、島で暮らす5匹の犬たちと出会う。

ウェス・アンダーソンが日本文化への偏愛を詰め込んだストップモーション・アニメーション。黒澤明へのオマージュ、太鼓の響き、和食のディテール、そして日本語と英語が入り混じる独特の言語設計。犬たちの会話は英語で、人間の日本語は字幕なしで流れるという構造が、犬と人間の間にある「通じない」壁を体感させる仕掛けになっている。政治風刺やメディア批評も織り込みながら、最後に残るのは「犬と少年」というシンプルな絆の物語。アンダーソン映画の中でも異色の傑作だ。


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