「2巻で完結するなんて信じられない…」読書体験が変わる激推しマンガ11作

二巻完結マンガ
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※小説やコミックの発売巻数や既刊などの情報は記事が書かれた当時のものとなります。

長い物語には長い物語の良さがある。何十巻もかけて積み上げた世界の重みは、やっぱり代えがたい。

でも、たった2冊で人生を揺さぶってくる作品に出会ったとき、それはもう別種の衝撃だ。削ぎ落とされているからこそ、一コマ一コマの密度が高い。余白に読者の感情が流れ込む。2巻完結のマンガには、そういう特別な読書体験がある。

今回は、ジャンルも時代もばらばらだけれど、どれも「2巻で完結しているのが信じられない」と思わせてくれる作品を11作、集めてみた。休日の午後に、ぜひ一気読みしてほしい。

目次

ソラニン

著者: 浅野いにお 出版社: 小学館(ヤングサンデーコミックス) 巻数: 全2巻

ソラニン

あの頃の自分に、まだ届いていない手紙のような物語

大学を出て社会人になったばかりの芽衣子と、バンドを続ける恋人の種田。なんとなく同棲して、なんとなく日々を過ごして、なんとなく将来が不安で。そんな二人のゆるくて脆い日常が、ある出来事をきっかけに大きく動き出す。

浅野いにおが描く空気感は、ぬるま湯に浸かっているような心地よさと、その水温がいつ変わるかわからない不安のあいだにある。夢を追うことの無力さ、それでも手を伸ばさずにはいられない衝動。20代の頃に読んだ人も、30代、40代になってから読み返すと、また違う場所が痛む。2010年に宮崎あおい主演で映画化されたことでも知られる、青春マンガの金字塔。

All You Need Is Kill

原作: 桜坂洋 作画: 小畑健 出版社: 集英社(ジャンプコミックス) 巻数: 全2巻

All You Need Is Kill

死んで、目覚めて、また死ぬ。それでも明日を掴みにいく

異星生物「ギタイ」との戦争が続く世界。初年兵のキリヤ・ケイジは、初陣であっけなく命を落とす。ところが目を覚ますと、再び出撃前日の朝に戻っていた。繰り返される戦場の一日の中で、彼は「戦場の牝犬」と呼ばれる最強の女性兵士リタ・ヴラタスキと出会う。

桜坂洋のライトノベルを、『DEATH NOTE』の小畑健がコミカライズした本作は、2巻という圧縮された巻数の中にループSFの醍醐味を凝縮している。繰り返しのたびに研ぎ澄まされていく主人公の戦闘力と、その代償としてすり減っていく何か。ハリウッド映画版とはまた異なるラストが、胸に深く刺さる。

タコピーの原罪

著者: タイザン5 出版社: 集英社(ジャンプコミックス) 巻数: 全2巻

タコピーの原罪

「ハッピー」を知らない子供たちと、「不幸」を知らない宇宙人

地球にハッピーを広めるためにやってきたハッピー星人・タコピー。彼が出会ったのは、笑わない少女・しずかちゃんだった。いじめ、ネグレクト、壊れかけた家庭。タコピーの便利道具では、どうにもならない現実がそこにある。

連載中からSNSで爆発的に話題となり、「このマンガがすごい!2023」オトコ編3位に選出。子供たちを取り巻く残酷な環境を容赦なく描きながらも、最後に残る一筋の光が読者の胸を打つ。全16話、たった2巻。だからこそ、最初から最後までテンションが途切れない。2025年にはアニメ化も実現した。

遥かな町へ

著者: 谷口ジロー 出版社: 小学館(ビッグコミックス) 巻数: 全2巻(上下巻/合冊版全1巻もあり)

遥かな町へ

もし48歳の記憶を持ったまま、14歳に戻れたなら

48歳のサラリーマン・中原博史は、出張帰りにふと故郷の鳥取県倉吉に立ち寄る。母の墓前で突然のめまいに襲われ、目を覚ますと、14歳の自分に戻っていた。そしてその年の夏、父は家族を捨てて失踪する。大人の心を持った少年は、父の失踪を止めることができるのか。

1998年の作品ながら、いま読んでもまったく古びない。それは谷口ジローの緻密な筆致と、物語の根底にある「やり直せない人生への祈り」が普遍的だからだ。フランスではアングレーム国際マンガ祭で最優秀脚本賞を受賞し、2010年にはフランスで映画化。さらに2026年には日本でも実写映画の公開が予定されている。今こそ読み直したい一作。

さよならソルシエ

著者: 穂積 出版社: 小学館(フラワーコミックスα) 巻数: 全2巻

さよならソルシエ

「炎の画家」を世界に送り出した、もうひとりのゴッホの物語

19世紀末のパリ。天才画商テオドルス・ファン・ゴッホは、権威と保守に支配された美術界に風穴を開けようとしていた。その傍らにいたのは、無名の画家である兄フィンセント。生前1枚しか絵が売れなかったゴッホが、なぜ今日これほど有名なのか。その裏にあった弟テオの策略と、兄弟の深い絆を描く。

「このマンガがすごい!2014」オンナ編1位を獲得した本作は、史実をベースにしながらも大胆なフィクションを織り交ぜ、2巻で見事にドラマを完結させている。テオの鮮やかな手腕に引き込まれるうちに、最後に明かされる「さよなら」の意味が、静かに胸を貫く。

春の呪い

著者: 小西明日翔 出版社: 一迅社(ZERO-SUMコミックス) 巻数: 全2巻

春の呪い

亡き妹が遺した「呪い」は、姉の恋を縛り続ける

19歳で病死した妹・春。彼女には親が決めた婚約者、柊冬吾がいた。春の死後、家の都合で冬吾と付き合うことになった姉の夏美は、彼に「春と二人で行った場所に連れて行ってほしい」と頼む。妹の面影を追いながら、妹の心を奪った男と過ごす日々。それは夏美にとって、贖罪であり、呪いだった。

「このマンガがすごい!2017」オンナ編2位に輝いた本作は、作者・小西明日翔の初連載作品でもある。罪悪感と恋心、喪失と執着。相反する感情が2巻の中でぎりぎりまで絡み合い、最後にほどける瞬間がある。後に『来世は他人がいい』で人気を博す作者の、原点とも言える作品。

子供はわかってあげない

著者: 田島列島 出版社: 講談社(モーニングKC) 巻数: 全2巻(上下巻)

子供はわかってあげない

水泳少女と書道男子の、ゆるくて甘い夏の冒険

水泳部のサクタさんと、書道部のもじ君。屋上でアニメの絵を描いていたもじ君との出会いをきっかけに、サクタさんは生き別れの実の父を探す「ひと夏の冒険」に踏み出す。探偵役はもじ君の兄(現・姉)。新興宗教、超能力、父親探し。要素だけ並べるとハードなのに、読むと不思議なほど心地いい。

田島列島の独特の空気感は、力の抜けた線と、登場人物たちのとぼけた会話から生まれる。深刻な話を深刻にしすぎない、でも軽くもしない。その絶妙な温度が、読後にじんわりと残る。2021年に実写映画化もされた、唯一無二のボーイミーツガール。

銀河の死なない子供たちへ

著者: 施川ユウキ 出版社: KADOKAWA(電撃コミックスNEXT) 巻数: 全2巻(上下巻)

永遠に死ねない姉弟が問いかける、「生きること」の意味

人類が滅亡してから、もう何万年も経った地球。不死の姉・πと弟・マッキは、謎めいた母「ママ」と三人で暮らしている。ある日、宇宙船の不時着で人間の赤ちゃんが現れる。二人はその子を「ミラ」と名づけ、こっそり育てることにするが、ミラだけが成長し、老い、やがて……。

「このマンガがすごい!WEB」2017年11月オトコ編1位。手塚治虫の『火の鳥』にも通じるテーマを、施川ユウキは独自のタッチで軽やかに、しかし深く描き切る。不死の子供たちの視点から問いかけられる命のかたちが、読むたびに違う重さで響く。

百万畳ラビリンス

著者: たかみち 出版社: 少年画報社(ヤングキングコミックス) 巻数: 全2巻(上下巻)

百万畳ラビリンス

バグだらけの異空間で、二人の女子大生が「攻略」を始める

人と関わるのが苦手な礼香は、ゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしている。ある日、ルームメイトの庸子と一緒に、木造建築が無限に続く謎の迷路空間に迷い込んでしまう。現実なのか、ゲームの中なのか。脱出の手がかりを求めて、二人は異空間の「ルール」を解き明かしていく。

たかみちの美麗な画力で描かれるパース感のある構造物は、見ているだけで気持ちいい。ゲーム攻略的なワクワク感と、生身の人間が異空間に放り込まれるスリルが同居する、新感覚のSFミステリー。コミュニケーションが苦手な礼香が、この異常事態の中でこそ能力を発揮していく姿も痛快だ。

星守る犬

著者: 村上たかし 出版社: 双葉社(アクションコミックス) 巻数: 全2巻(『星守る犬』+『続・星守る犬』)

星守る犬

犬の目を通して語られる、ある「おとうさん」の最期の旅

朽ち果てた車の中で、寄り添うように見つかった男性と犬の遺体。男性は死後1年、犬は死後3か月。この時間差は何を意味するのか。物語は犬のハッピーの視点で語られる。仕事を失い、家族に去られ、行き場をなくした「おとうさん」との旅の記憶として。

雑誌『ダ・ヴィンチ』の「BOOK OF THE YEAR 2009」では「泣ける本ランキング」1位、「読者が選ぶプラチナ本」1位をダブル受賞。2011年には西田敏行主演で映画化もされた。犬は人間の事情を理解しない。だからこそ、ただ寄り添い続けるハッピーの姿が、残酷なほどに純粋で、胸を締めつける。2巻目の『続・星守る犬』では「もう一匹の子犬」の物語が語られ、1巻の余韻がさらに深まる。

メランコリア

著者: 道満晴明 出版社: 集英社(ヤングジャンプコミックス) 巻数: 全2巻(上下巻)

メランコリア

世界の終わりが近づく中、人は何を思い、どう笑うのか

巨大彗星メランコリアが地球に向かっている世界。しゃべる猫、吸血鬼、引きこもり少女、エイリアン、人魚。一見バラバラなショートストーリーが、AからZまでのアルファベット順に26話並んでいる。読み進めるうちに、話と話が少しずつ繋がり、やがて大きなひとつの物語が浮かび上がる。

道満晴明はショートストーリーの鬼才だ。シュールで、ときにブラックで、でもどこか優しい。個々の話はカオスなのに、オチまで綺麗にまとめる構成力に唸らされる。一度読んで「ん?」と思ったところを読み返すと、新しい発見がある。何度でも味わえる、中毒性の高い2巻。


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