じっくり読みたい長編小説のおすすめ13選

2022年8月30日

おすすめの長編小説

秋の夜長におすすめしたい長編小説を集めてみました。
人気シリーズ物とか、面白そうと思いながらもなかなか手が出しづらいところがあったりしますが、少し涼しくなってきた読書の秋の今の季節に、読み始めてみるのはいかがでしょうか。
読み始めたら止まらない、面白い長編小説を13作品ご紹介します。

精霊の守り人(守り人シリーズ)

作者:上橋菜穂子

精霊の守り人
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人の世界と精霊の世界、その2つが交錯する中で運命と戦う人々の物語

アジア的な雰囲気を持つ、作者独特のファンタジー世界で、主人公の女用心棒バルサと、彼女に守られる王子チャグムたちの冒険が描かれます。
巻が進むにつれて、やがて物語は国と国との争いを含む大きなスケールに発展し、主人公たちもそれに巻き込まれていきます。
登場人物たちが魅力的なのと、作品を支える世界観の設定や作者のイメージがとにかく豊かで、架空の世界にもかかわらず非常にリアリティを感じさせます。
また、作中度々登場する料理や食事の描写が匂いまで感じられるほど鮮明で、より物語の世界に引き込んでくれる一因となっていると思います。(40代男性)

槍使いバルサの冒険物語

上橋菜穂子の守り人シリーズが大好きです。異世界ファンタジーには珍しく、主人公のバルサは30代の女性です。作者の描き出すバルサを取り巻く世界の言語や文化、伝説などが緻密に組み立てられていて、それはもう見事です。
いろんなところに伏線があって、思わぬところでつながって何回も読み返したくなります。スピンオフ作品も発表されていて、バルサの周りの人たちも主人公になっているのでおすすめです。(40代女性)

和菓子のアン(既刊3巻)

作者:坂木司

和菓子のアン

<あらすじ>
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。

甘い和菓子のような癒しを与えてくれる物語

「和菓子のアン」「アンと青春」「アンと愛情」の三冊が出ています。
主人公のあんちゃんがとにかく可愛らしいです。少しネガティブなところはありますが、何事に対しても素直に一生懸命に誠実に対応していて、応援せずにはいられなくなります。そしてあんちゃんを取り巻く職場の方たちも良い人ばかりで、微笑ましいです。和菓子の魅力にも出会え、デパートの和菓子売り場についつい行ってみたくなります。(30代女性)

「和菓子のアン」の関連テーマ

風神雷神 Juppiter,Aeolus(上下巻)

作者:原田マハ

風神雷神 Juppiter,Aeolus
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少年時代の宗達の夢と旅

俵屋宗達の「風神雷神図」をもとに、現代と過去の歴史をいったりきたりして謎にせまっていく作品。人物のキャラクターがはっきりしていて、生き生きと描かれています。自分の夢に向かってあくなき挑戦をする宗達のすばらしさに感動しました。ローマやミラノなどの風景描写も、絵を見ているように美しく表現されていて、少年たちと一緒に旅をしているようです。(60代女性)

忍者だけど、OLやってます(既刊4巻)

作者:橘もも

忍者だけど、OLやってます

<あらすじ>
一見普通のOL・陽菜子には秘密がある。実は代々続く忍者の里の頭領娘で、忍者の生き方に嫌気がさして里を抜けだしたのだ。ある日、会社の上司・和泉沢が仕事の重要書類を紛失する。どうやら盗まれた可能性があり、陽菜子はこっそり忍術を使い書類を取り戻そうとするが、背後には思いがけない陰謀が待ち受けていて……!?

都会で忍者は、諜報員として活躍する

忍者の里で生まれ育ち、修行を受けてきた主人公の陽菜子が、忍者を辞めて里を去り、東京で働く話です。同居人の穂乃香も同じ里の出身で、彼女は現役の忍者。
この忍者というテーマが興味深い。そしてまるで色気のない陽菜子と、夜のお勤めが似合う穂乃香の正反対なコンビがいい味を出しています。また、仲がいいようで陽菜子を監視する穂乃香の威圧感、女の子のふたり暮らし、この危うさもドキドキします。
そういう些末なことも大事ですが、全体的に穂乃香が勤める企業で機密漏洩の問題が起こり、その対処に忍者たちが駆け回る、この展開は読み応えありです。あと、マヌケな御曹司が陽菜子の上司で、この御曹司が陽菜子の保護者精神をくすぐってしまうあたりも見逃せません。(50代女性)

機龍警察(機龍警察シリーズ)

作者:月村了衛

機龍警察

<あらすじ>
テロや民族紛争の激化に伴い発達した近接戦闘兵器・機甲兵装。新型機〈龍機兵〉を導入した警視庁はその搭乗員として三人の傭兵と契約した。警察組織内で孤立しつつも彼らは機甲兵装による立て籠もり現場へ出動する。だが事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた……日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞の“至近未来”警察小説シリーズ第一作を徹底加筆した完全版。

異色の警察官を描いた物語

近未来の世界で人型の二足型機動兵器、通称[キモノ]が犯罪に使用され、警察の新チームを立ち上げキモノに関する犯罪捜査が物語の根幹です。それに政治、企業がらみの陰謀と官邸からの圧力によって真相にたどりつくのが困難になっています。陣頭指揮は外務省からの出向エリートで3人のパイロットも前職が元警察官、テロリスト、傭兵の3人で彼らの因縁も交わり絡み合う物語でした。(40代男性)

図書館の魔女(全6巻)

作者:高田大介

図書館の魔女

<あらすじ>
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

言葉の持つ力とその意味

「言葉」とは何なのか、ということを考えさせられる本です。
ファンタジーでありながら、随所に散りばめられた伏線を最後に綺麗にまとめ上げられている感は、ミステリー的な要素も含んでいます。登場人物のキャラクターも際立っていて、ぜひ映像化してほしいと思っています。難解な言葉の羅列と言語学的な専門知識の難しさに、正直根をあげそうになりますが、それを乗り越えるだけの価値はあります。(40代女性)

ねじまき鳥クロニクル(全3巻)

作者:村上春樹

ねじまき鳥クロニクル

<あらすじ>
「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)

時間や空間を超えるファンタジー小説

妻と二人暮らしで現在無職の主人公が、その妻の失踪から壮大な冒険に巻き込まれていくファンタジーです。
家の裏の路地にいる猫から始まりいつしか戦争の時代の痛々しいエピソードに話がつながっていき、私たちが普段何気なく暮らしている街やそこに住んでいる人も、辿っていくと70年前の戦争やそれに付随する暴力につながっていく、戦争は決して違う世界の出来事ではないんだなと感じる本でした。(30代女性)

銀河英雄伝説(全10巻)

作者:田中芳樹

銀河英雄伝説

“常勝の天才”ラインハルトと、“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリー。ふたりの名将が現れたとき、帝国と同盟の抗争は新たな段階を迎えた。圧倒的なスケールを誇る宇宙叙事詩、スペースオペラの金字塔。

壮大な宇宙空間で繰り広げられる人間ドラマ

かなりボリュームのあるシリーズですが、これだけの重厚な世界観と深いストーリーを展開するにはこれだけのボリュームは必要であることは一読してもらえたら分かっていただけると思います。信条の異なる二人の天才を軸に話は展開していきますが、それは1世代だけではなく、次の世代にもわたっていき、しかも、登場人物も魅力的な人物ばかりで、必ず自分が推したくなる人物が出てくると思います。この壮大な世界観を多くの人にぜひ体験してもらいたいです。(40代男性)

姑獲鳥の夏(京極堂シリーズ)

作者:京極夏彦

姑獲鳥の夏

<あらすじ>
「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」。昭和27年の夏、三文文士の関口巽(せきぐちたつみ)は東京は雑司ケ谷にある久遠寺(くおんじ)医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の1年先輩だった。

不気味な怪事件を「拝み屋(京極堂)」が解決していくホラーミステリー

不気味な怪事件を妖怪(の設定)と関係させながら物語が進んでいく小説です。
昭和時代が舞台なのでノスタルジックな雰囲気を感じると同時に思わずぞっとするような恐い描写があるので日本特有のホラーミステリーが好きな人は夢中で読めると思います。そんな中でも個性的で癖のある登場人物達が次々と事件を解決していくのもこの小説の魅力ですね。
他にも同じ妖怪シリーズが数多く出ているので興味を持った方はまず一巻目であるこの小説から読んでみるのをおすすめします!

「姑獲鳥の夏」の関連テーマ

鬼平犯科帳(全24巻)

作者:池波正太郎

鬼平犯科帳

<あらすじ>
斬り捨て御免の権限を持つ、江戸幕府の火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官・長谷川平蔵。その豪腕ぶりは、盗賊たちに“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、その素顔は「妾腹の子」として苦労をし、義理も人情も心得ている。昔は大いに遊び、放蕩無頼の限りを尽くしたことも。

清濁併せ呑んだ組織で、江戸に巣くうダニを蹴散らす時代劇

江戸時代の実在の人物である火付盗賊改方・長谷川平蔵を主人公とするが、時代劇・歴史という先入観を完全に裏切る軽妙な文章で、とても読みやすい。
主人公は最強格ではあるものの、組織としての動きが描かれ、それを率いるための人心掌握描写も手を抜いていない。

味方の同心や協力者達から敵の盗賊までキャラクタが立っていつつ、いわゆる記号的なキャラとして完結しておらず、前の話で頼りなかった者が巻が進むうちに先輩の立場になっているなど、きちんと世界が動いている感触がある。基本的に1話完結だが、前のエピソードで起きた事件はしっかり残っている為、1人当たりの情報量も増えて行くのである。
また、非合法な協力者を活用する警察組織である事から、敵は必ずしも死ぬ訳ではなく、仲間に寝返る可能性が常にあり、展開を安易に先読みさせない。(40代男性)

誰か―Somebody(杉村三郎シリーズ)

作者:宮部みゆき

誰か―Somebody

<あらすじ>
菜穂子と結婚する条件として、義父であり財界の要人である今多コンツェルン会長の今多嘉親の命で、コンツェルンの広報室に勤めることになった杉村三郎。その義父の運転手だった梶田信夫が、暴走する自転車に撥ねられて死亡した。葬儀が終わってしばらくしてから、三郎は梶田の娘たちの相談を受ける。亡き父についての本を書きたいという姉妹の思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた彼の前に、意外な情景が広がり始める――

身のまわりに潜む狂気

大企業の会長の娘婿になった平凡な男が色々な事件に巻き込まれていく話で、小泉孝太郎主演でドラマ化もされています。
登場人物たちの背景やその行動に至るまでの経緯が気味が悪い程リアルに描かれて、自分のすぐそばにも狂気が潜んでいるのかもしれないとぞくぞくします。少し古い本ですが、軽い文体で面白く読みやすいです。(30代女性)

薬師寺涼子の怪奇事件簿(既刊11巻)

作者:田中芳樹

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿

<あらすじ>
警察のお偉方が大集合しているビルで、突然出入りが不能となる異常事態が発生した!? 右往左往する上役を睥睨しつつ、従僕(?)を従えて、颯爽と登場する美女が一人。彼女こそ、警視庁きっての危険人物、「ドラよけお涼」こと薬師寺涼子警視その人だった。女神の美貌と悪魔の性格を兼ね備えたスーパーヒロインが怪物退治に挑む!

スカッとするアクション物語

主人公の警部補 泉田と才色兼備な直属の上司お涼が邪魔を蹴散らしながら圧倒的武術や頭脳を駆使して怪奇事件解決していく伝奇アクション小説です。
著者はアルスラーン戦記で有名な御歳70になる田中芳樹先生。きっちりとした句読点は読んでいて苦痛がなく、日本語を駆使して正しく表現をして下さる方です。惚れ惚れする情景描写(特に戦闘シーン)は臨場感たっぷりなのでとてもオススメです。(10代女性)

屍鬼(全5巻)

作者:小野不由美

屍鬼

<あらすじ>
人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躙したかのように散乱していた――。闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも……。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。

ある村で起きたホラーサスペンス物語

独特な世界観があり読み始めからどんどん引き込まれていきましたし、この独特な世界観を文章のみで描かれているのは、圧倒されほどに素晴らしかったです。
また、長編でありながら読んでいても全く飽きないですし、読めば読むほどにハマってしまうサスペンス作品で、ラストまでどうなるか分からないこの展開には夢中になれました。(30代男性)