馬漫画のおすすめ11選!競馬・牧場・騎手が織りなす名作ドラマ

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競馬中継を観ていると、ゴール前で必死に追うジョッキーの姿や、最後の一完歩で差し切る馬の姿に、つい拳を握ってしまうことがある。でも、ターフの上で繰り広げられるドラマは、ほんの数分間のレースだけではない。

その馬が生まれた牧場で、どんな人がどんな想いで育てたのか。騎手はどれだけの苦悩と挫折を乗り越えてあのゲートに立っているのか。馬主は、調教師は、そして馬自身は、何を背負って走っているのか。

今回は、そんな「馬と人の物語」を描いた漫画を11作品紹介したい。ド定番の名作から、知る人ぞ知る良作まで。競馬に詳しい人も、まったく知らない人も、きっとページをめくる手が止まらなくなるはずだ。

目次

みどりのマキバオー

著者:つの丸 出版社:集英社(ジャンプコミックス) 全16巻 掲載誌:週刊少年ジャンプ(1994年〜1998年) 受賞:第42回小学館漫画賞 児童部門

みどりのマキバオー

カバみたいな見た目の白毛馬が、日本競馬の頂点をめざして走り出す

北海道の小さな牧場で生まれた白毛馬ミドリマキバオーは、犬のような外見をした珍馬。当初は食肉用に処分されかけるが、その走りには並外れた素質が眠っていた。相棒のネズミ・チュウ兵衛や騎手の山本菅助とともに、宿命のライバル・カスケードが待つクラシック戦線へ挑んでいく。

見た目のコミカルさに騙されてはいけない。この作品の本質は、弱点を抱えた者同士が互いを補い合い、強敵に立ち向かう少年漫画の王道にある。序盤はギャグ色が強いが、皐月賞からダービー、そして有馬記念へ至る物語の熱量は凄まじい。チュウ兵衛が命を懸けてマキバオーを導くダービーのシーンは、競馬漫画の枠を超えた名場面として語り継がれている。「競馬を知らなくても泣ける」と言われる所以は、馬と人、馬とネズミの絆を、つの丸が全力で描き切ったからだろう。

じゃじゃ馬グルーミン★UP!

著者:ゆうきまさみ 出版社:小学館(少年サンデーコミックス) 全26巻 掲載誌:週刊少年サンデー(1994年〜2000年)

じゃじゃ馬グルーミン★UP!

北海道の牧場で始まる、馬と恋と「自分探し」の青春ドラマ

北海道をバイクで旅行中、ガス欠と空腹で行き倒れかけた高校生・久世駿平。偶然助けられた渡会牧場で競走馬の育成に魅せられ、高校を中退してまで牧場に就職する。四姉妹の次女・ひびきへの恋心を抱えながら、駿平は「ダービー馬を育てる」という大きな夢に向かって歩きはじめる。

『機動警察パトレイバー』のゆうきまさみが描く、牧場を舞台にした大河青春ドラマ。競馬漫画でありながら、レースシーンよりも馬の種付けや出産、育成、セリ市といった「馬が生まれてからレースに出るまで」が丹念に描かれている点が大きな特徴だ。連載6年で作中4年強を描く丁寧なペースのおかげで、登場人物たちが本当に年月を重ねて成長していく手触りがある。牧場で働く人々のリアルな日常、血統を巡るロマン、そして不器用な恋愛模様。競馬ファンだけでなく、じっくり人間を描いた物語が好きな人にこそ薦めたい一作だ。

風のシルフィード

著者:本島幸久 出版社:講談社(少年マガジンコミックス) 全23巻 掲載誌:週刊少年マガジン

風のシルフィード

致命的な欠陥を抱えた仔馬と、少年騎手が人馬一体で駆け抜ける

名馬サザンウインドの仔であるシルフィードは、速く走ることを宿命づけられたサラブレッド。しかしその体には、競走馬として致命的な弱点が隠されていた。パートナーとなる若き騎手とともに、ハンディを乗り越えながらライバルたちとの激戦に挑んでいく。

少年漫画らしいストレートな熱さが魅力の競馬漫画だ。身体的なハンデを抱えた馬と、その馬を信じる騎手が一体となって困難を乗り越えていく構図は、読んでいて素直に応援したくなる。レースシーンの疾走感も見事で、ゴール前の攻防には思わず手に汗を握る。続編『蒼き神話マルス』ではシルフィードの世界がさらに広がるので、気に入ったらぜひ併せて読んでほしい。

優駿の門

著者:やまさき拓味 出版社:秋田書店(少年チャンピオン・コミックス) 全33巻 掲載誌:週刊少年チャンピオン

優駿の門

天涯孤独の天才騎手が、地方競馬から中央の頂へ駆け上がる

幼い頃に両親を失い、天涯孤独の身となった少年・光優馬。地方競馬の騎手としてデビューした彼は、10年に一度と言われる天才的な騎乗センスを持っていた。相棒の馬アルフィーとの出会いを経て、地方から中央競馬のクラシック戦線へと挑んでいく壮大な物語。

全33巻という長編でありながら、読み始めると止まらない吸引力がある作品だ。主人公が「努力型」ではなく「天才型」である点がユニークで、圧倒的な才能を持ちながらも孤独や喪失と向き合い続ける姿には独特の切なさが漂う。馬の生と死を真正面から描く場面も多く、競走馬という存在の儚さを強く印象づけられる。続編『優駿の門GI』『優駿の門−ピエタ−』と続く長大なシリーズの原点として、まずはこの1作目から入ってみてほしい。

令和 優駿たちの蹄跡

著者:やまさき拓味 出版社:双葉社(アクションコミックス) 全4巻

令和 優駿たちの蹄跡

ディープインパクト、ゴールドシップ……実在の名馬と、その傍にいた人々の実話

1994年から続く『優駿たちの蹄跡』シリーズの令和版。取材をもとに、実在の競走馬とその馬に関わった人々のエピソードをオムニバス形式で描く。ディープインパクト、ゴールドシップ、タイキシャトル、ナイスネイチャ、オジュウチョウサンなど、競馬ファンにはおなじみの名馬たちが次々と登場する。

フィクションの競馬漫画とは異なり、実際に起きたエピソードが元になっているからこそ胸に迫るものがある。華やかなG1の舞台裏にいる厩務員や牧場スタッフ、引退後の馬を見守る人々。一頭の馬の生涯を通して、競馬というものが多くの人の想いで成り立っていることを静かに教えてくれる。競馬を知っている人にはより深く、知らない人には入口として、どちらにもフィットする作品だ。

ウイニング・チケット

著者:小松大幹(原案協力:河村清明) 出版社:講談社(ヤングマガジンコミックス) 全21巻(続編『ウイニング・チケットII』全4巻) 掲載誌:週刊ヤングマガジン(2006年〜2012年)

ウイニング・チケット

卓越した「相馬眼」を武器に、馬商がオーナーブリーダーとして競馬界に挑む

馬の素質を見抜く「相馬眼」を持つ馬商・二階堂駿。かつて父を破滅に追い込んだ外国人の存在を知った駿は、自ら牧場を立ち上げ、オーナーブリーダーとしてダービー制覇と復讐を誓う。北海道日高を舞台に、馬の生産・育成・レースを一気通貫で描く本格競馬ドラマ。

競馬漫画は騎手や馬が主人公になるケースが多いが、本作の主人公は経営者だ。馬産地のリアルな経済事情や、生産者・馬主・調教師それぞれの思惑が絡み合うビジネス的な視点が新鮮で、競馬を「産業」として捉える面白さがある。復讐劇としてのドラマ性も高く、読みごたえは十分。競馬の裏側を知りたい人にとっては、この作品ほど適した教材はないかもしれない。なお、主人公が中央競馬の馬主となってからの物語は続編『ウイニング・チケットII』(全4巻)で描かれるので、1部を読み終えたらそのまま続けて楽しんでほしい。

ダービージョッキー

著者:一色登希彦(原案:武豊 / 構成:工藤晋) 出版社:小学館(ヤングサンデーコミックス) 全22巻

ダービージョッキー

現役トップジョッキー武豊が原案、騎手の内面に迫るリアリズム

馬が大好きという一心で競馬学校に入った上杉圭。だが卒業間近になっても成績は振るわない。そんなとき、誰もが手を焼く気性の荒い練習馬フラワーカンパニーと出会い、圭の騎手人生が動き始める。現役騎手・武豊の原案のもと、一人の凡才が本物のジョッキーへと成長していく過程を描く。

武豊が原案に関わっているだけあって、騎手の技術論や心理描写のリアリティが段違いだ。レース中に騎手が何を考え、どんな判断を下しているのか。体重管理の苦しさ、馬との信頼関係の築き方、勝てない日々の焦燥。華やかに見えるジョッキーの世界の厳しさが、圭の目を通してひしひしと伝わってくる。努力型の主人公が少しずつ実力をつけていく王道の成長譚は、競馬に興味がなくても共感できるだろう。

競馬狂走伝ありゃ馬こりゃ馬

原作:田原成貴 作画:土田世紀 出版社:講談社(ヤングマガジンコミックス) 全17巻

競馬狂走伝ありゃ馬こりゃ馬

三流ジョッキーのどん底コメディが、いつしか本格派競馬ドラマに変貌する

ギャンブル好きで借金まみれ、騎乗中に腹を下す三流ジョッキー・氷室翔。レース中の脱糞シーンや恋人との珍騒動など、序盤は徹底したギャグ漫画として展開する。しかし八百長事件に巻き込まれたことを転機に、北海道で名馬シンケンと出会い、物語は一気に本格競馬ドラマへと舵を切る。

この作品の面白さは、ギャグ路線からシリアス路線への劇的な変貌にある。原作の田原成貴は当時現役のトップジョッキーであり、騎手にしか描けないリアルな騎乗技術や駆け引きが物語の説得力を支えている。作画の土田世紀も中盤以降は圧倒的な画力でレースの臨場感を叩きつけてくる。1〜2巻で脱落した人がいたら、3巻から読み直すことを強くすすめたい。まったく別の漫画に変わっている。

スピーディワンダー

原作:綱本将也 作画:山根章裕 出版社:秋田書店(ヤングチャンピオン・コミックス) 全17巻

スピーディワンダー

小さな地方牧場に生まれた「金色の馬」が、競馬界に旋風を巻き起こす

北海道の小さな生産牧場で、「金色の馬」と呼ばれる一頭のサラブレッドが誕生する。大手牧場がひしめく競馬界で、零細牧場から生まれた馬がどこまで走れるのか。生産者、調教師、騎手、馬主……一頭の馬を取り巻くさまざまな立場の人間ドラマが交錯する。

競馬コラムの連載経験を持つ原作者の綱本将也による丹念な取材が土台にあり、馬産地のリアルな描写に厚みがある。「強い馬に乗ることがいかに難しいか」「主戦騎手であり続けることの重さ」など、普段は見えにくい競馬の内側を描いてくれるのが本作の醍醐味だ。地方の小さな牧場が大手に挑むという構図には自然と感情移入してしまうし、一頭の馬の活躍に関わる人々それぞれのドラマが丁寧に描き分けられている。

白星のギャロップ

著者:西連助 出版社:小学館(裏少年サンデーコミックス) 全3巻 掲載:マンガワン(2016年〜2017年)

白星のギャロップ

競馬を憎む少年が、それでもジョッキーをめざす理由

乗馬の腕は確かなのに、競馬そのものを激しく嫌悪する少年・森颯太。彼の目標はただひとつ、トップジョッキー・藤宮将二をその座から引きずり下ろすこと。競馬学校に入学した颯太は、異なる背景を持つ同期の仲間たちと競い合いながら、過酷な訓練に身を投じていく。

全3巻というコンパクトな巻数ながら、競馬学校という特殊な環境のリアルさと、少年たちの群像劇が濃密に詰まっている。父への復讐心という暗い動機を抱えた颯太が、同期との切磋琢磨の中で少しずつ変化していく姿が見どころだ。体重管理に苦しむ仲間、乗馬未経験から挑む仲間など、それぞれが異なる壁と戦っている。短いからこそ一気に読める。「ジョッキーになる」ということの厳しさと青春の輝きを、凝縮された3巻で体感してほしい。

ウイナーズサークルへようこそ

著者:甲斐谷忍 出版社:集英社(ヤングジャンプコミックス) 全9巻 掲載:ジャンプ改 → となりのヤングジャンプ(2012年〜2016年)

ウイナーズサークルへようこそ

馬に乗らず、走りもしない。「予想する側」から見た競馬という知的格闘技

漫画家の夢に挫折した山川七緒は、怪しげな占い師の導きで競馬場にたどり着く。たまたま勝ち馬を言い当てたことで、競馬予想集団「ウイナーズサークル」のメンバーに「天才予想家」と勘違いされてしまい、否応なく競馬予想の世界に巻き込まれていく。

競馬漫画でありながら、騎手も馬も主役ではない。主役は「馬券を買う側」だ。パドックでの馬体チェック、データ分析、レース展開の読み。ギャンブルとしての競馬ではなく、知的格闘技としての競馬予想がここまで面白く描かれた作品は珍しい。『LIAR GAME』の甲斐谷忍が原作を手がけているだけあって、心理戦や騙し合いの要素も効いている。全9巻と手に取りやすいボリュームなので、競馬漫画の変化球を楽しみたいときにぴったりだ。


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