マリンスポーツ映画おすすめ13選|サーフィン、ダイビング、ヨットまで海に魅せられる名作

マリンスポーツ映画おすすめ
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海は、物語の舞台として特別な場所だ。陸の上では味わえない浮遊感、自分の体ひとつで自然と向き合う緊張、そして見渡すかぎりの青。マリンスポーツを描いた映画には、勝ち負けの先にある「海とどう生きるか」という問いが、いつも静かに横たわっている。

今回はサーフィン、フリーダイビング、スキューバ、ヨット、漕艇――海を中心に、水の上で競い、水と向き合う人々を描いた映画を12本集めた。漕艇のように湖や川を舞台にするもの、プールで競うものも交ざっているが、いずれも水に懸けた物語だ。誰もが知る古典から、いま観返したい一本まで。波の音が恋しくなったら、どれか一本のぞいてみてほしい。

目次

グラン・ブルー

1988年/フランス・イタリア合作/監督:リュック・ベッソン/出演:ジャン=マルク・バール、ジャン・レノ、ロザンナ・アークエット

グラン・ブルー

海の底にこそ、帰りたい場所がある

実在の伝説的フリーダイバー、ジャック・マイヨールをモデルにした一本。幼い頃に海辺で出会ったジャックとエンゾは、大人になってフリーダイビングの記録を競い合う。陽気で負けず嫌いなエンゾと、イルカと心を通わせるように静かに潜るジャック。二人は互いに影響を与え合いながら、より深い青へと潜っていく。一方でジャックは、彼に想いを寄せるジョアンナと、人間の世界と海への憧れとの間で揺れていく。

競技を題材にしながら、記録の数字よりも「海に魅入られてしまった人間」の業を描くのがこの映画の核だ。エリック・セラの音楽と、どこまでも続く深海の映像が、フリーダイビングという競技の孤独と陶酔をそのまま観る者に手渡してくる。初公開版のほか上映時間の異なる完全版なども存在し、版によって印象が変わるのも面白い。

ぐらんぶる

2020年/日本/監督:英勉/原作:井上堅二、漫画:吉岡公威(講談社)/出演:竜星涼、犬飼貴丈

ぐらんぶる

海に潜る前に、まず酒で溺れる

タイトルや作中のダイビングショップ名は「Grand Blue」で、深い青の海を題材にする点で前掲『グラン・ブルー』と並べると緩急が効く一本。海に囲まれた離島の大学に進学した北原伊織は、叔父が営むダイビングショップに下宿し、華やかなキャンパスライフを夢見ていた。ところが彼が足を踏み入れたのは、酒と裸とノリにあふれた男だらけのダイビングサークルだった。

人気青春コメディ漫画の実写化で、まずは徹底したバカ騒ぎで笑わせにくる。その一方で、いざ海に潜るシーンになると海の透明感がきちんと画面を満たし、スキューバダイビングの気持ちよさが伝わってくる。深く重い海洋ドラマの合間に、肩の力を抜いて楽しめるダイビング入門編として置いておきたくなる。

ビッグ・ウェンズデー

1978年/アメリカ/監督:ジョン・ミリアス/出演:ジャン=マイケル・ビンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジー

ビッグ・ウェンズデー

伝説の大波は、過ぎ去った青春の岸に届く

サーフィン映画を語るうえで外せない古典。1960年代初めのカリフォルニア。マット、ジャック、リロイの三人は、いつか水曜日に来るという伝説の大波「ビッグ・ウェンズデー」を夢見て、波乗りとパーティに明け暮れる日々を送っていた。しかしベトナム戦争が彼らの青春を引き裂き、三人はそれぞれの道を歩んでいく。やがて長い歳月を経て、待ち続けたその大波がついに訪れる。

波乗りの爽快さだけを描く映画ではない。無軌道だった若者たちが時代に翻弄され、大人になり、それでも海に呼び戻されていく。その時間の流れそのものが主題だ。ベイジル・ポールドゥリスの叙情的な音楽と、ラストで大波に向かう三人の後ろ姿が、長く記憶に残る。

ブルークラッシュ

2002年/アメリカ/監督:ジョン・ストックウェル/出演:ケイト・ボスワース、ミシェル・ロドリゲス

ブルークラッシュ

怖い波ほど、もう一度乗りたくなる

舞台はハワイ・オアフ島のノースショア。ホテルで働きながらプロを目指す女性サーファー、アン・マリーが主人公だ。かつて大きな波に呑まれて溺れかけた経験から、彼女は恐怖を抱えている。それでも、同じ場所で開かれる大きな大会に再び挑もうとする。

女性サーファーの視点から、恐怖との向き合い方と仲間との友情を描いたのが新鮮だ。特筆すべきは波の映像で、うねり立つ大波を実写主体で捉えた迫力には、画面越しでも息を呑む。サーフィンを「スポ根」として真っすぐ描いた青春映画として、気持ちよく観られる。

ソウル・サーファー

2011年/アメリカ/監督:ショーン・マクナマラ/出演:アナソフィア・ロブ、ヘレン・ハント、デニス・クエイド/原作:ベサニー・ハミルトンの自伝

ソウル・サーファー

片腕で、もう一度海へ

実在のプロサーファー、ベサニー・ハミルトンの実話をもとにした作品。ハワイ・カウアイ島で育った13歳のベサニーは、プロを夢見るほどの腕を持つ少女だった。ところがサーフィン中にサメに襲われ、左腕を失ってしまう。一度はすべてに絶望し海から離れた彼女が、家族や友人に支えられ、再びボードの上に戻っていく。

派手な演出に頼らず、喪失と再起をていねいに描いているのが信頼できる。片腕でどうバランスを取り、どう波に乗り直すのか──その一つひとつの工夫が、そのまま彼女の強さの物語になっている。家族の支えの描き方も温かい。

ハートブルー

1991年/アメリカ/監督:キャスリン・ビグロー/出演:キアヌ・リーブス、パトリック・スウェイジ/製作総指揮:ジェームズ・キャメロン

ハートブルー

波の向こうに、追いかけたい背中があった

純粋な競技ものとは少し毛色が違うが、海と自由への憧れを描いた一本として挙げたい。歴代大統領のマスクをかぶった銀行強盗団を追うFBI捜査官ユタは、犯人をサーファーと睨み、サーフィン集団に潜入する。そこで出会ったカリスマ的なリーダー、ボーディの自由で危うい生き方に、ユタは次第に惹き込まれていく。

監督は後に『ハート・ロッカー』でアカデミー監督賞を獲るキャスリン・ビグロー。サーフィンやスカイダイビングを捉えた躍動感あふれる映像と、立場の違う二人の男の奇妙な友情が見どころだ。なお原題は Point Break で、同じ原題のまま2015年に作られたリメイクの邦題は『X-ミッション』(日本公開2016年)。別の作品なので混同しないようにしたい。

ライディング・ジャイアンツ

2004年/アメリカ・フランス合作/監督:ステイシー・ペラルタ/出演:グレッグ・ノール、ジェフ・クラーク、レイアード・ハミルトンほか

ライディング・ジャイアンツ

なぜ人は、死ぬほど大きな波を追うのか

ここで一本、実物の凄みを見られるドキュメンタリーを挟みたい。ビッグウェーブサーフィンの歴史をたどる作品で、サーフィン発祥の歴史から、ハワイ・ワイメアベイの大波への挑戦、北カリフォルニアの伝説的スポット「マーヴェリックス」、そしてジェットスキーで牽引して巨大波に乗るトウインサーフィンの登場までを追っていく。

語り手は、実際に伝説を築いてきたサーファーたち本人だ。グレッグ・ノールやレイアード・ハミルトンらの証言と、ひたすら巨大な波に挑む映像が交互に積み重なっていく。劇映画のドラマとは別の角度から、「人間はなぜ命がけで大波を追うのか」という問いに迫ってくる。

マーヴェリックス/波に魅せられた男たち

2012年(日本公開2013年)/アメリカ/共同監督:カーティス・ハンソン、マイケル・アプテッド/出演:ジョニー・ウェストン、ジェラルド・バトラー、エリザベス・シュー

マーヴェリックス/波に魅せられた男たち

大波に挑む少年に、海を教えた男がいた

『ライディング・ジャイアンツ』でも語られた伝説のスポット「マーヴェリックス」を、今度は一人の青年の物語として描いた、実在のサーファー、ジェイ・モリアリティをモデルにした青春ドラマだ。舞台はカリフォルニア州サンタクルーズ。映画では、幼い頃に海で溺れかけたジェイを、隣人のベテランサーファー、フロスティ・ヘッソンが救い、それをきっかけにジェイがサーフィンに魅せられていく姿が描かれる。やがて15歳になったジェイは、世界最大級の大波マーヴェリックスが自分の暮らす海の近くにあると知り、フロスティに弟子入りを志願する。半信半疑だったフロスティは、心身の両面から、大波に挑むための準備をジェイに叩き込んでいく。

この映画の心臓部は、教える者と教わる者という関係を超えて、中年のフロスティと少年ジェイが父と子のような絆を結んでいく過程にある。共同監督はカーティス・ハンソンとマイケル・アプテッド。モデルになったジェイ・モリアリティが実在の人物で、22歳の若さでこの世を去ったことを念頭に観ると、波の上で輝く一瞬の青春がいっそう深く心に残る。記録映像で見た怪物の波が、生身の人間の物語として立ち上がってくる一本だ。

オール・イズ・ロスト 最後の手紙

2013年(日本公開2014年)/アメリカ/監督:J・C・チャンダー/出演:ロバート・レッドフォード

オール・イズ・ロスト 最後の手紙

海の上に、ただ一人

インド洋を単独で航海していた男のヨットが、漂流していたコンテナに衝突する。船内は浸水し、無線も航法装置も故障。そこへ嵐が襲いかかり、男はついにヨットを捨て、救命ボートで漂流することになる。登場人物は実質ひとり、台詞もほとんどない、徹底した海上サバイバル劇だ。

主演はロバート・レッドフォード。説明的な台詞を削ぎ落とし、浸水を防ぎ、針路を読み、嵐をやり過ごすという一連の動作だけで、男の焦りと諦め、そして意地を見せていく。セーリングの知識と判断がそのまま生死に直結する緊張感は、ほかの海洋映画にはない手触りだ。

ウインズ

1992年(日本公開1993年)/アメリカ・日本合作/監督:キャロル・バラード/製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ/出演:マシュー・モディーン、ジェニファー・グレイ

ウインズ

一度負けた海へ、もう一度

世界最高峰のヨットレース、アメリカズカップを正面から扱った一本。ヨットマンのウィルは、富豪のクルーとして憧れのアメリカズカップに挑むが、敗北を喫してしまう。失意のなか、彼はかつて何でも共に挑んできた相棒ケイトや、航空学者ハイザーらを巻き込み、新しいヨットの設計から再挑戦に乗り出す。一度は離れたケイトとの関係も揺れ動きながら、物語は次のレースへと向かっていく。

帆を操る駆け引きや、風を読むセーリングの戦術が、競技ドラマとしてきちんと描かれる。日本人プロデューサー山本又一朗が企画に名を連ね、コッポラが製作総指揮に回った米日合作という成り立ちも興味深い。ヨットレースという題材の映画は数少なく、その意味でも貴重な一作だ。

白い嵐

1996年/アメリカ/監督:リドリー・スコット/出演:ジェフ・ブリッジス、スコット・ウルフ/原作:チャック・ギーグの手記

白い嵐

海は、人と人の結束を試す

1960年、海洋学校に入学した17歳のチャックは、仲間の訓練生たちとともに、シェルダン船長が指揮する帆船アルバトロス号に乗り込む。バミューダ諸島からの長い航海のなかで、少年たちは航海術を学び、ぶつかり合いながら絆を深めていく。だが帰途、彼らは「ホワイト・スコール」と呼ばれる伝説の大嵐に遭遇する。実際の事件をもとにした映画だ。

帆船をみんなで動かすという行為そのものが、そのまま少年たちの成長と結束の物語になっている。監督はリドリー・スコットで、海と帆船の映像は重厚で美しい。海の大きさと恐ろしさを正面から描いた航海ドラマである。

ボーイズ・イン・ザ・ボート ~若者たちが託した夢~

2023年/アメリカ/監督:ジョージ・クルーニー/出演:カラム・ターナー、ジョエル・エドガートン(日本ではPrime Videoなどで配信)

ボーイズ・イン・ザ・ボート ~若者たちが託した夢~

八本のオールが、一艘の艇になるまで

大恐慌時代のアメリカ。学費すら払えないほど困窮していたワシントン大学の学生ジョーは、給料と寮が得られると聞いてボート部の門を叩く。労働者階級の若者たちで組まれた弱小チームが、コーチのもとで力をつけ、やがてベルリン五輪を目指していく。実話をもとにしたスポーツドラマだ。

漕艇のエイトは、八人の漕ぎ手と舵を取るコックスが呼吸をひとつに合わせて初めて速く進む競技だ。バラバラだった若者たちのオールが少しずつそろっていく過程に、この映画のいちばんの気持ちよさがある。俳優としても知られるジョージ・クルーニーが監督を務め、王道を手堅くまとめている。

ウォーターボーイズ

2001年/日本/監督:矢口史靖/出演:妻夫木聡、玉木宏ほか

ウォーターボーイズ

男だけのシンクロが、ひと夏を変える

舞台は海ではなくプールだが、水の上で競う青春映画として最後に置きたい一本。廃部寸前の男子高校水泳部に、若く美しい女性教師が顧問としてやってくる。男子たちはこぞって入部するが、彼女が課したのは競泳ではなく、シンクロナイズドスイミングだった。ほとんどの部員が逃げ出すなか、残された数人が学園祭での発表を目指して特訓を始める。

実在の高校水泳部をモデルにした矢口史靖監督の青春コメディで、男子シンクロという意外性を笑いと汗で押し切っていく。不格好だった彼らの演技が、練習を重ねるうちに形になっていく終盤は爽快だ。海洋映画の重さの締めに、からっと明るい水のスポーツものとして観てほしい。

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