名探偵も登場、海外ミステリ小説おすすめの傑作選

名探偵の代表格のシャーロックホームズにエルキュール・ポアロが登場するミステリ。ミステリーの女王といわれるアガサ・クリスティーの傑作ミステリ。読み始めたら止まらない。怪しい住人・密室・殺人・どんでん返しの数々!
海外のミステリ小説の中からおすすめの17作品をご紹介します
「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作。
あなたもきっと騙される!
三谷幸喜が「黒井戸殺し」でドラマ化している小説。
題名の通り、村の大富豪アクロイド氏が殺害されて物語は始まります。しかし、この事件は謎だらけ。容疑者は殺人と同時に行方をくらませたアクロイド氏の義理の息子ラルフをはじめ7人。そしてその全員が金銭的な問題を抱え嘘をつきます。田舎町に渦巻く金銭問題と男女の関係が犯人特定をさらに難しくしていきます。
本書では読者の我々にも犯人探しに必要な情報が提供されています。そしてさまざまな伏線がはれていて、最後は綺麗に全ては回収されています。
あなたもポアロと一緒に犯人を探してみませんか?このトリックを見破れるでしょうか?(40代女性)
「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作!
男女の秘められた過去が引き起こした恐ろしい殺人事件
孤島に閉じ込められた男女が続々と犠牲となり命を失っていく緊迫感はミステリーの醍醐味といえます。
登場人物たちが、1人ずつ犠牲になる中で登場人物の追い詰められた心理状態や、相手に対して疑心暗鬼になる描写や、張り詰めた精神状態の中で暴走し理性を忘れてしまった行動などがうまく描かれていました。
犯人がだれか全然わからない状況でひたすら真相を知りたいと自然に読み進めていける、サスペンス性が極めて強い小説です。(50代男性)
「チャイルド44」トム・ロブ・スミス

この国家は連続殺人の存在を認めない。ゆえに犯人は自由に殺しつづける――。リドリー・スコット監督で映画化! スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた……。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作!
実話を基にされたリアリティーのあるミステリ小説
実話を基にされて書かれているので、これが実話だと思い読んでいると鳥肌が立ってしまうような恐怖感を感じることができますし、全く先が読めないので続きが気になって仕方なくなります。
また、実話が基ということで、その描き方も詳細まで非常に丁寧で圧倒されてしまいますし、入り込みながら読めるのでとてもお勧めです。(30代男性)
「四つの署名」アーサー・コナン・ドイル

ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという……。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺され、そこには“四つの署名"が――インド王族秘蔵の宝石箱をめぐってテムズ河に繰り広げられる追跡劇!
推理の面白さだけでなくホームズというキャラクター自身の面白さが伝わってくる作品
この作品の面白いところは、小さな証拠でも見逃さずに犯人を推理していく過程はもちろん、ホームズ自身の癖の強すぎる内面が露になっているところです。
そしてそんなホームズの相棒となるワトソンが振り回されつつも、ホームズに的確なサポートをしていくところがカッコいいです。捜査のときには本格的な科学的考察が入ったり、非常に見ごたえのある作品です。(20代男性)
「ナイルに死す」アガサ・クリスティー

美貌の資産家リネットと夫サイモンのエジプトでのハネムーンに暗雲が垂れこめていた。サイモンのかつての婚約者が銃を隠し二人を付け回しているのだ。不穏な緊張感が高まるなか、ナイル川をさかのぼる豪華客船上に一発の銃声が轟く。それは嫉妬ゆえの凶行か? 船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外な真相とは?
船上という名の密室トリックを暴け
豪華客船で起こる、殺人事件。船上という閉鎖空間での密室トリックを名探偵ポアロが暴いてゆきます。
総てはお金と独占欲が絡んだ時から、悲劇は始まっていたのです。
庶民生活とかけ離れた、豪華客船の描写も見どころ。
事件が起きるまで結構長いため、そのぶん船での優雅なひと時が描かれ、なかなか行く機会のない客船でのクルーズに出かけたような気分にさせてくれます。(40代女性)
「緋色の記憶」トマス・H・クック

ニューイングランドの静かな田舎の学校に、ある日美しき女教師が赴任してきた。そしてそこからあの悲劇は始まってしまった。アメリカにおけるミステリーの最高峰、エドガー賞受賞作。
記憶の中にある真実の裏側
トマス・H・クックの記憶シリーズでも最も評価が高かった作品だと思います。
主人公による学生時代の振り返りで話が進みますが、時系列にそって明かしていくというよりは、とにかく小出し、時代が前後する、結果読者は事件の全貌すらなかなか掴めずにイライラします。また、主人公の少年の視点のみしか見えない読者には、周りで本当は何が起こっているのか想像するのは難しい。
しかし、薄皮を向くように全貌に辿り着こうとするその過程が、もどかしくてもぞくぞくするほど魅力的で読むのをやめられません。主人公の見ていたロマンスは本当にあったのか?少年の無垢による残酷さなど、単なる犯人や結果を求めるミステリーと違い、深く余韻が残ります。人を愛するということを考えてしまう一作です。(50代女性)
「クリスマスのフロスト」R.D.ウィングフィールド

ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小さまざまな難問が持ちあがる。日曜学校からの帰途、突然姿を消した少女、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物。続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部のフロストが一大奮闘を繰り広げる。構成抜群、不敵な笑い横溢するシリーズ第1弾!
迷探偵フロスト警部のハチャメチャ事件簿
フロストシリーズは「このミステリーがすごい~海外部門」の常連であり、どの作品も秀作です。
主人公のフロスト警部は幸運で警部に昇格した人物で、通常のミステリ小説に登場するような名探偵ではありません。どのシリーズも必ず同時多発的に事件が発生しますが、行き当たりばったりの作戦とハチャメチャな捜査方法でなぜか最後には事件が解決していきます。
この小説の最大の魅力はフロストと警察署長や仲間たちとの絶妙な会話、フロスト警部の人間的な魅力であり、最後まで引き込まれてしまいます。(50代男性)
「オリエント急行の殺人」アガサ・クリスティー

真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……ミステリの魅力が詰まった永遠の名作。
走る密室で起こる不可解犯罪
オリエント急行の殺人はアガサクリスティの中でも人気の高い作品で舞台化や映画化もしている作品です。
有名な探偵である主人公エルキュール・ポアロ。彼のウィットに富んだジョークや鋭い推理は痛快です。
彼は仕事の関係で急行列車に乗るのですが列車内で起きる密室殺人、被害者の暗い過去、列車内の人間模様。
全てが複雑に絡み合い、最後あっと驚くような結末を迎えます。
アガサクリスティのミステリーの中で1番オススメです。(20代女性)
「グルメ探偵と幻のスパイス」ピーターキング

古今東西の食べ物を知り尽くしたぼく、グルメ探偵が鑑定したのは人類史上もっとも高価といわれる幻のスパイスだ。心をとろけさせる至福の香り、口じゅうに広がる極上の風味―まちがいなく本物だ。無事に仕事を終えて緊張から解き放たれたのも束の間、スパイスがこつぜんと消え、さらに殺人まで起きて、なぜかぼくが第一容疑者に?!超一流の味覚嗅覚フル稼働で真犯人を突き止めてやる!絶品、満腹フルコース・ミステリ。
いつものミステリーと違う、おいしそうな感じがするミステリー
ちょっと変わった、食べ物に関わるミステリーが、楽しめる作品です。
主人公は、古今東西の食べ物を知り尽くしたグルメ探偵。ミステリー小説なので事件が発生しますが、事件以上に物語に出てくる食べ物のブラックマーケットの話などがおもしろいです。
この物語を読んでいて、現実の世界のニュースを思い出します。アメリカに輸出するアボカドにギャングが絡んでる話や、マカダミアナッツのコンテナーを盗難するギャングの話などです。
この物語はフィクションですが、なんかちょっとリアルな感じがします。食べ物がテーマという、ちょっと変わったミステリー作品ですが、楽しめる作品です。(30代男性)
「ダ・ヴィンチ・コード」ダン・ブラウン

ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。
フィクション?ノンフィクション?絵画と宗教のミステリー
「ダ・ヴィンチ・コード」はアメリカで出版され、レオナルド・ダヴィンチのウィトルウィウス人体図を模した殺人事件から、絵画や宗教の謎にせまるミステリーです。
冒頭から奇妙な殺人事件が起こり、絵画の謎や宗教問題などが絡み、まさに謎が謎を呼ぶような展開にページをめくる手が止まりませんでした!モナ・リザなどの有名な絵画や観光名所と言われるような場所が多く登場しながら、架空の秘密結社なども出てくるのでフィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるほど作品に没入してしまいます。(30代女性)
「モルグ街の殺人」エドガー・アラン・ポー

彼がいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかった――世界初の推理小説「モルグ街の殺人」
モルグ街で起きた、密室殺人の謎
モルグ街で殺人が起きて、すぐに警察などが駆け付けたのにも関わらず、犯人がどうやって現場から逃げたのかがとても気になりました。探偵がその調査に乗り出してから読み進めても、読み手にはなかなか密室のトリックだけでなく、犯人の見当すらつかないので読んでいてハラハラしました。短編ながらも最後まで、読みたくなってしまう内容でした。(30代女性)
「モルグ街の殺人」の関連テーマ
「わらの女」カトリーヌ・アルレー

34歳独身のドイツ人女性ヒルデガルトは、ある朝、新聞の求縁広告の一つに目を奪われた。「当方大資産家、良縁求む。願わくはハンブルク出身、未婚、だが世間知らずでなく、身寄りもなく…」すべてはここから始まった。知性と打算に裏打ちされた手紙が功を奏し、大富豪の妻の座は目前だった。ミステリ史上に燦然と輝く、精確無比に組み立てられた完全犯罪の物語。
最後まで気を抜けない海外ミステリーの古典
「わらの女」は人気海外ミステリーであるだけでなく、映画化もTVドラマ化もしているので、原作小説を読んでいなくてもご存知のかたも多いかもしれません。
天涯孤独のヒロイン、ヒルデガルトは新聞広告がきっかけで大富豪の妻となるのですが、それからの展開はミステリーとして緊迫感があり、とても読み応えがあります。
昔フジテレビでやっていたTVドラマ版(ドラマ版タイトルは「美しい罠」)は、かなりアレンジをしているので、ぜひ原作小説である「わらの女」もすすめたくなる、そんな思いをいだかせる、名作ミステリーです。(40代女性)
「ポアロのクリスマス」アガサ・クリスティー

聖夜に惨劇が! 一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉じているのに、犯人はどうやって侵入したのか? 休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが……クリスマス的趣向に満ちた注目作。
意外な犯人に、「お前かい」と思わずツッコんでしまう物語です
この作品を読んで、犯人がわかるところまでいくと、意外過ぎて「お前かい」とツッコんでしまうでしょう。
クリスマスの日に密室で殺された老富豪は、非常にクセがある人物で、恨まれそうなことばかりしているので、周りは犯人候補だらけです。クリスマスのパーティに、数年ぶりに呼ばれたり、はじめて呼ばれてきた人がいるので、本人かどうかも疑わないといけないです。この作品の密室のトリックは、すぐわかる人が多いと思います。しかし、犯人を見つけるには、人と人とのつながりや、不自然な行動などを注意深く読まないといけません。意外な犯人に、びっくりする作品です。(20代男性)
「ブラックサマーの殺人」M・K・クレイヴン

過去に手掛けた事件に冤罪疑惑が持ち上がり、刑事ポーは窮地に立たされるが……『ストーンサークルの殺人』に続くシリーズ第二作
死んだはずの女が生き返る謎の事件
「娘を殺した」という理由である男を逮捕したものの、6年後にその娘が突如現れるというストーリーです。殺人を疑われた男はどう見ても怪しいのに、冤罪の証拠は次々と出てくるので、冤罪なのか何か裏があるのか、先が全然読めません。冤罪事件を引き起こしてしまったかもしれないと悩みながら、事件を再度調べ直す主人公・ポー部長刑事に思わず「頑張れ」と応援したくなります。また、ポーの相棒は天才だけど人付き合いがうまくない女性分析官。二人の友情には心が温まります。(40代女性)
「刑事マルティン・ベック 笑う警官」マイ・シューヴァル

市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる――。
地道で地味な捜査の果てにたどり着く真実。
マルティン・ベック・シリーズの「本格古典警察小説」で、スウェーデンの首都ストックホルムで発生した大量殺人事件において、拳銃を握りしめたまま死んでいた部下を発見した刑事の物語です。
様々なエピソードが絡みつきながら、ストーリー展開が目まぐるしく変化していきますが、それらの小さなピースをかき集めて徐々に事件の真相に迫っていく様子から目が離せなくなっていく警察小説の金字塔ともいえる名作です。(40代男性)
「アリバイのA」スー・グラフトン

わたしのオフィスを訪ねてきたのは、8年間の刑務所暮らしを終えたばかりの女だった。彼女ニッキは有能な弁護士である夫を毒殺した科で有罪を宣告されたのだが、わが身の潔白をなんとしても証明したいというのだ。興味をおぼえ、いま一度当時の事件の洗い直しを始めたわたしは、そこで意外な事実に気づいた。事件に関連のある事務所で働いていた若い女性会計士が同時期に同じ毒薬を飲んで死亡していたのだ―年齢32歳、離婚歴2回、南カリフォルニアのサンタ・テレサに事務所をかまえる女探偵キンジー・ミルホーン登場!新シリーズ第1弾!
自立した女性が真摯に事件に向き合い、泥臭くも真実を追い求める物語
有能だけど、何処か泥臭い。足で捜査をするタイプの女性探偵が主人公の小説です。
元警察官ですが、諸事情により探偵になったため、捜査方法は極めて警察のやり方を踏襲しています。ですが、女性ながら、男性社会でも逞しく生きていき、どんな泥臭い、細かい事でも積み重ね真実を追求する姿は惹かれるものがあります。
またプライベートでも自立心が旺盛ながら、少々ずぼらな所があり、人間味があって好感が持てます。そんな主人公のシリーズの一作品目として、この作品は読んで損する事はなく、むしろシリーズの続きを読みたくなる事間違い無しです。(30代女性)
「利腕」ディック・フランシス

〔競馬シリーズ〕片手の敏腕調査員シッド・ハレーの許にまいこんだ昔なじみの厩舎からの依頼――所属の有力馬が、次々と原因不明のままレース生命を断たれるというのだ。調査に乗り出したハレーを襲ったのは、彼を恐怖のどん底へ突き落とす脅迫だった。
シッド・ハレーは一度死に、そして蘇る
英国の元トップジョッキーだった片手の敏腕調査員シッド・ハレーが、競馬界の不正に立ち向かう、競馬シリーズにおける伝説の名作。
ディック・フランシスの作品は、主人公の男が恐怖や苦痛に立ち向かう、マゾヒズムにも通ずる自分との闘いの描写が魅力ですが、この作品は、自分の利腕を失うかもしれない恐怖に一度は屈してしまうシッドがもう一度立ち上がる、自分との闘いがテーマになっています。
黒幕の男の圧倒的な威圧感はリアリティがあり、シッドとともに、我々読者もその男に恐怖します。ラスト付近の前妻ジェニーとの会話は名文で、原語でも読みたくなりました。(40代男性)