大人だからこそ感じる感動、泣ける小説13選

2022年12月11日

感動して泣ける小説

30代以上の大人が読んで感動で泣ける小説を集めてみました。
色々な人生を経験して大人になったからこそ感じ取れる感動、また、若い頃に読んだ本も大人になって読み返すと、そのときとは違う感動を味わえたり。
成熟した大人の人におすすめしたい感動して泣ける小説13作品をご紹介します。

「その日のまえに」重松清

その日のまえに

<あらすじ>
余命の告知を受けた妻と、新婚時代のアパートを訪ねる僕たち…「その日のまえに」。妻の最期を、二人の息子とともに見届ける「その日」。妻が亡くなった病院の看護師さんから、ある日、お目にかかりたい、と連絡がきた…「その日のあとで」。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか──。死と向かいあう人々の切なくもけなげな姿を描き、幸せの意味をみつめる連作短篇集。“王様のブランチ”で「BOOK大賞」を受賞した涙の感動作!

つれあいを亡くすということ。

ネタバレを書かないで感想を書くのが大変難しい小説です。もともと「涙なしでは読めない」と言われていて、一組の夫婦のお話です。そしてこれぐらいは書いてもいいかもしれないと思って書きますが「その日」とはどちらかが亡くなってしまう日のことです。
亡くなる前、亡くなったあともとても繊細な描写が続き、心からじわじわと感じ入って読みました。(50代女性)

「その日のまえに」の関連テーマ

「永遠の0」百田尚樹

永遠の0

<あらすじ>
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。

はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!

生きるとは、祖父の託した想い

主人公が自分の本当の祖父がどのようにして第二次世界大戦で亡くなったのかを、当時祖父に関わった人たちを順番に訪ねていくストーリーなのですが、徐々に鮮明となっていく祖父の姿に読み終わった後、涙が止まりませんでした。
戦争の戦闘シーンから登場人物たちの感情まで生々しく書かれており、そこから戦争の残酷さ、生きるということがとても大変で尊いことであることを改めて教えられた気がして胸を打たれました。

「ツナグ」辻村深月

ツナグ

<あらすじ>
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

後悔しない生き方とは何かを考えさせられる一冊

死んだ相手にもう一度だけ会って話がしたいと願う人々が、死者に会うことで様々な感情を露わにする場面です。死んでしまった相手に会いたいと願う人々には、それぞれに理由があり、その背景を知った後にいざ再会の場面を読むと、つい感情移入してしまいます。
死者と依頼者との面会の場を設ける「ツナグ」の役目をする少年・歩美が、その仕事の中で自身の過去にも向き合い、心を成長させていく様子も心を熱くします。(30代女性)

「西の魔女が死んだ」梨木香歩

西の魔女が死んだ

<あらすじ>
大好きなおばあちゃんは本物の魔女。生きる力も本物だった――。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。

祖母から学ぶ清い人生の送りかたが分かる

主人公はまだ若い学生の少女です。もう独りのキーパーソンは、主人公少女の優しくも偉大な祖母です。この祖母の言動にほっこりする要素を感じます。実際に人間は、大きなるたびにおばあちゃんとの思い出を愛しく感じるようになるはずです。本作には、優しいおばあちゃんと親しむ孫という気持ちのよい風景が見える点に良さがありました。(30代男性)

「落日」湊かなえ

落日

<あらすじ>
わたしがまだ時折、自殺願望に取り付かれていた頃、サラちゃんは殺された──新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。十五年前、引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた『笹塚町一家殺害事件』。笹塚町は千尋の生まれ故郷でもあった。香はこの事件を何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。そこには隠された驚愕の「真実」があった……令和最高の衝撃&感動の長篇ミステリー。

ある女性監督に関わる一連の事件の真相がここに!

ある女性映画監督、その近所に住んでいたある家族の幼少期にあった出来事についてです。女性映画監督は、そのことがずっと引っかかっていて、それを映画にするために、現在になって調査を進めていきます。そして、その出来ごとに関わる事件が徐々に明らかになっていきます。
幼少期と現在の描写が交互に描かれており、最後まで読むのが止まらなくなります。(30代男性)

「憑神」浅田次郎

憑神

<あらすじ>
時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった! とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。傑作時代長篇。

武士が武士でいられなくなった幕末にあって、武士の本義を忘れなかった男の物語

才覚がありながら、次男に生まれたというそれだけで兄夫婦の家に肩身の狭い居候生活をする貧乏侍の彦四郎。婿入りした先では跡取りができた途端に放り出されてしまい、愛する妻にも子にも会えない。そんな彦四郎が拝んだ祠にいたのは貧乏神だった。と筋書きは滑稽噺のようですが、この話は理不尽な世の中にあって、男は、いや、人はいかに生きるべきかを描いた熱い小説です。

とにかくこの不運の塊のような主人公の彦四郎が、格好いいのだ。自分より才の無い人間が、生まれだけを頼りに出世していく武士の世界。しかし彦四郎は腐らない。自分をがんじがらめにしている武士の世を、それでも守ろうとする彦四郎の姿に、最後は感涙します。(40代男性)

「手紙」東野圭吾

手紙
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兄の罪、弟の罰。砕けた兄弟の絆。

弟のために犯罪を犯してしまった兄と、犯罪者の弟との関係です。
手紙で兄は、弟のことを知ろうとしますが、回数を重ねるうちにやりとりは遠のいていき、弟は完全に兄をいないものように扱います。
それでも、兄は獄中から必死に手紙を送ります。兄にとっては唯一の肉親である弟しかいないのです。ここの兄弟の乖離が、悲しく、涙を誘います。
ラストシーンで感動し、ページを濡らしたのを覚えています。(20代男性)

「恋」小池真理子

恋

<あらすじ>
連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬。当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が!?香りたつ官能、美しき異端、乾いた虚無感。比類なき美と官能に彩られた小池文学の最高峰!ジャンルを越えて絶賛された直木賞受賞作。

普通の恋心に留まらない想い

「恋」というタイトルなので、普通の恋愛小説を思い浮かべる場合が多いと思うのですが、この作品は普通の恋心に留まらない、人間としての深い精神性が表現されていると思います。主人公の女性が抱いた男性とそのパートナーへの思いに、誰もが心の奥速に待っている、少し歪みながらも純粋なものを感じ、ラストの描写で涙しました。(50代女性)

直木賞受賞作のテーマ

「秘密」東野圭吾

秘密
《あらすじ》を見る

何を持って夫婦なのか

夫婦の愛を描いた作品です。
妻と娘を乗せたバスが崖から落ち、意識不明のまま病院に運ばれました。そして、病院で夫に看取られながら妻はなくなりますが、植物状態だった娘は目を覚まします。しかし、娘の中身は妻でした。
娘の中身が妻であることを他人に隠しながらの生活が始まります。
最初は仲良く生活する二人ですが、娘の姿で成長していく妻と夫の間には徐々に嫉妬や妬み、葛藤などが生じ、最後に妻が下した決断が辛く感動します。(20代女性)

「黄泉がえり」梶尾真治

黄泉がえり

<あらすじ>
あの人にも黄泉がえってほしい―。熊本で起きた不思議な現象。老いも若きも、子供も大人も、死んだ当時そのままの姿で生き返る。間違いなく本人なのだが、しかしどこか微妙に違和感が。喜びながらも戸惑う家族、友人。混乱する行政。そして“黄泉がえった”当の本人もまた新たな悩みを抱え…。彼らに安息の地はあるのか、迫るカウントダウン。「泣けるリアルホラー」、一大巨編。

生と死における人間模様

人々の、もう亡くなってしまった人たちへの思いや後悔、伝えたかった言葉や感謝、やってあげたかったことなど…生きていたらきっと誰しもが思う気持ちや願いなどからくる人間模様が本当に気持ちがえぐられるほどに共感してしまって涙が流れてきます。また、亡くなってしまった人たち側の気持ちや大切な人を残してしまった申し訳なさなども本当に感動で涙が溢れてきます。ぜったいおススメの1冊です。(30代女性)

「カラフル」森絵都

カラフル

<あらすじ>
生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。
真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになる……。

悪いことはいつかは終わる、人生はカラフル

初読は中学生の時で、当時は「へー文体も捏ねてなくて読みやすいな」と思っていた程度だったのですが、改めて最近読み直して、大人になると自分はこういう人間だ、と決めつけて生きているなと痛感しました。
自分の考え方、捉え方で人生は大きくカラフルに変わるんだなと思いました。自分の行動で周りがどう感じるか、改めて意識しながら生きたいと思いました。(30代女性)

「カラフル」の関連テーマ

「容疑者Xの献身」東野圭吾

容疑者Xの献身

<あらすじ>
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

何が何でも愛した女性とその家族を守りゆく一人の男の献身過ぎる愛の形

天才数学者の主人公石神が、毎日通うお弁当屋さんの女性の従業員に淡い恋心をいだきながら生きていますがその女性が仕方がなかったとはいえ犯罪を犯してしまいます。
感動した部分はその女性と子供を守るためにありとあらゆる方法を構築して警察に挑んでいきますが、誰しもが考え付かないような方法でその女性と子供を守る為の献身的な愛の形が最後に読み手に押し寄せるところです。(40代男性)

「容疑者Xの献身」の関連テーマ

「塩の街」有川浩

塩の街

<あらすじ>
「世界とか、救ってみたいと思わない?」。塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。崩壊寸前の東京で暮らす男と少女に、そそのかすように囁く男が運命をもたらす。全ての本読みを熱狂させるロマンチックエンタテインメント!

世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた

現実世界では起こりえない塩害という状況の中で人々がどのように過ごし、散っていったのかを見ることができる。主人公の秋庭と真奈の心の動きはもちろんだが、二人が関わっていく人達がどんな気持ちでそんな状況になってしまったのかが丁寧に書かれている。
最終章では、あることが原因で父親と折り合いが悪い秋葉と父が再会する。秋葉が思わず言ってしまった言葉に真奈は大変ショックを受けてしまうのだがその理由も台詞も全てを知っている読者からすると涙がこぼれてしかたない。(30代女性)

「塩の街」の関連テーマ