おすすめの【戦国時代】歴史小説9選

織田信長、武田信玄、上杉謙信、真田幸村などなど、有名な戦国武将がしのぎを削る群雄割拠の争乱の時代。
歴史が苦手な人でも織田信長や豊臣秀吉の名前は聞いたことがあると思います。歴史小説は歴史を題材にしたフィクションですけれど、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康は本当に実在していて、生きて、天下統一に命をかけていたことを感じとれるとより楽しめると思います。厳しい戦国時代の男達の生き様、女達の生き様を感じとってもらえると幸いです。
戦国時代が舞台となっているお勧めの小説9作品をご紹介します。
「村上海賊の娘」和田竜

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊――。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く――。
生き様を決める決意ができる物語
私は小説は読みますが、歴史小説があまり得意ではありませんでした。しかし、この「村上海賊の娘」は、丁寧なのにとても読みやすく、簡単に読み終わってしまいました。
おそらく一般的な戦国時代が舞台の小説では珍しくフィクションであり、所謂戦国武将ではなく海賊が主役です。ゆっくりと丁寧に詰められて、最後、怒涛のように押し寄せる戦のシーンが楽しいです。
色々な登場人物がでてきますが、ほとんど全ての人物を応援したくなるのも、序盤から至極丁寧に書かれているからこそでしょう。主人公がかっこうよくて、ノンフィクションだったら良かったのに、とさえ思ってしまう出来です。
私のように歴史小説が苦手な方でもぜひ読んで欲しいです。(10代女性)
誰よりも熱く戦国時代を走り抜けた女の物語
主人公の景は、戦国時代に瀬戸内海を席巻した村上水軍の当主・村上武吉の娘です。
女として生まれながらも、男勝りに海賊として活躍しているのですが、時代の渦に巻き込まれ大きな戦に身を投じることになります。戦に挑む中で、誰よりも熱い気持ちで戦う姿と、女ゆえに苦悩する姿に胸が熱くなります。
絶体絶命の状況でも体当たりで巨大な敵に向かっていきがむしゃらに壁を乗り越える姿に、生きる希望をもらえる作品です。(30代女性)
「黒牢城」米澤穂信

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。
歴史の裏を書く戦国推理小説
戦国時代の籠城中の城が舞台で、そこに幽閉中の軍師が探偵役になる歴史物かつ推理物でボリュームがあって読み応えがあった。実際にいた人物をモデルにしてあるので歴史小説として読んでいっても楽しめるし、歴史を知らなくてもその時代の習わしや武士の矜持など読んでて面白くて勉強になる。時代特有の殺伐とした仄暗い感じがずっと漂っているのが良い。(30代女性)
「火天の城」山本兼一

信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。安土山のいただきに巨大な城を築け、天にそびえる五重の天守を建てよ! と命じられた岡部又右衛門と息子の以俊は、その難題を形にする、前代未聞の巨大プロジェクトに挑む。いまだかつてない、南蛮風の天守にせよ。見上げれば、思わず掌を合わせとうなるほど秀麗な…信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫、膨大な労力──すべてをのみこんで完成した、安土城。その築城の真相に迫る、松本清張賞受賞作。
戦国時代の裏舞台を描いたドキュメンタリー小説
戦国時代が舞台の小説といえば、武将を描いたものが圧倒的に多い中、この小説の主人公は匠たちです。
戦が日常茶飯事だった戦国時代は城が飛躍的に発展した時代です。
それはもちろん軍事上の必要性からではありますが、織田信長が戦国の覇者として台頭し始めた頃からは、自らの強大さを世間に誇示し、精神的に人々を支配してその上に君臨する、日本の最高位者の象徴でもありました。
安土城はその最たる城ですから、信長にとっては自分の分身といってよい重要な城だった筈です。
そしてそんな重要な城を建てるのは当然信長自身ではありません。
それは城造りの匠たちであり、彼らがこの小説の主人公なのです。
信長そのものと言っても過言ではない城を造る。
それが如何に重大な行為であるかは、信長自身が命を懸けて人生を生きていることからも想像ができます。
それはただ単に建物を建てる、ということではありません。
命を懸けて生きる信長を造ることに他ならず、当然、匠たちはその人生を、命を懸けてその仕事に取り組まねばなりません。
そんな城造りの匠たちの必死の生き方を、見事に描き出したこの小説は、戦国時代の舞台裏の実際を覗き見ている面白さがあります。(60代男性)
「利休にたずねよ」山本兼一

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭に昇り詰めていく。
刀の抜き身のごとき鋭さを持つ利休は、秀吉の参謀としても、その力を如何なく発揮し、秀吉の天下取りを後押し。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、理不尽な罪状を突きつけられて切腹を命ぜられる。
利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出したものとは何だったのか。また、利休の「茶の道」を異界へと導いた、若き日の恋とは…。
「侘び茶」を完成させ、「茶聖」と崇められている千利休。その伝説のベールを、思いがけない手法で剥がしていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。
利休の茶道の道の原点を探る物語
この小説は、直木賞受賞作品です。
面白いのは、この小説が利休が秀吉に命じられて切腹する日から始まり、章を追っていくに連れて、過去へ遡るように書かれていることです。また、それぞれの章は違った人々の視点で描かれており、戦国の有名人も多く名を連ねています。
また、利休のおもてなしの精神も素晴らしく、例えば、春の食材が通常よりも早く手に入るように、土にござを被せてそこだけ暖かくさせるなどの工夫が面白いなと思いました。
千利休や茶道に関心のある方はもちろん、歴史好きの人も十分に楽しめる作品だと思います。(30代女性)
「利休にたずねよ」の関連テーマ
「関ヶ原」司馬遼太郎

東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか?
戦国時代の勝利者である徳川家康の戦いの様子を描いた作品
豊臣秀吉の後継者を目指す徳川家康と、豊臣家を守るため家康打倒を目指す石田三成との壮大な駆け引きが極めて興味深く描かれています。
特に石田三成を助けるため行動を起こす親友の大谷吉継の固い決意や、会津の直江兼続と構想した、徳川家康を東西から攻撃する構想を家康が実にうまく切り抜けていく様子は戦国時代を生き抜いてきた武将たちの知恵が凝縮された感じがしました。戦国時代の小説としては合戦の様子もリアルに記述されていて読みごたえがあると感じます。(50代男性)
「江(ごう)姫たちの戦国」田渕久美子

2011年NHK大河ドラマ原作。戦国から江戸へ。時代を中心で目撃した江の波瀾の生涯を、田渕久美子が書き下ろす。
幼い頃に戦乱で父母を亡くし、幾度もの結婚を余儀なくされながら、将軍正室にまでなった浅井三姉妹の三女・江。信長を伯父、秀吉を義兄、家康を義父とした江は、戦国を代表するスーパーセレブであった。戦国から江戸への移り変わりを、常に時代の中心点で直に目撃した、江の波瀾の生涯を、田渕久美子が書き下ろす。
江の目を通した家族や武将たちの人生
市の娘・江目線で綴られているので、堅苦しくなく戦国時代の移り変わりを女性の立場で読んでいく事ができたのが良かったです。この時代に女性として生きて行く事の不安や葛藤が身近に感じられつつ、家族のきずなの強さや愛にも触れられているのも素敵でした。私には遠い存在だった信長なども目の前で見ている気にさせられたのも気に入っている点です。(50代女性)
「戦国自衛隊」半村良

日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如<時震>が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。 <歴史>は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。日本SF界に衝撃を与えた傑作が新装版で登場。
戦国時代の刀剣と近代兵器、勝つのはどっち?
タイトルの通り、戦国時代に自衛隊がいたらどうなるか?というSF小説です。
最初の舞台は近代で、自衛隊の演習中に30名の自衛隊員が大量の補給物資や近代兵器などと共にふとしたきっかけで、タイムスリップをして戦国時代に飛ばされます。隊員たちは自分たちがどこに飛ばされたのかもわからないまま、ひとりの戦国武将と出会うことになります。その男は長尾景虎こと、後の上杉謙信で、隊員たちは次第に戦国時代の荒波に飲みこまれていき、戦国時代の刀剣と近代兵器の激しい闘いが繰り広げられていくことになります。(40代男性)
「天と地と」海音寺潮五郎

「これはおれの子ではないのかも知れない」為景は思った。長尾為景、63歳。妻は袈裟、21歳、その早過ぎる妊娠が、そんな疑惑を生んだ。が、生まれた赤ん坊は、輝きの強い眼を持つ男の子で、虎千代と名づけられた。のちの謙信である。虎千代は、父に疎んじられる不満を抱きつつ、百姓出の娘松江、忠臣金津新兵衛らに守られて育つ。越中・越後の争乱は絶え間無く、やがて父為景は合戦で討たれ、兄晴景が守護代を継ぐが、それを不満とする長尾俊景が兵を挙げた。
「不犯の名将」のたった一度の恋物語
名将・上杉謙信の半生を描いた物語です。早くに母を亡くし、父親からは「自分の子ではない」と思われていた不遇な幼少時代から、兄に代わって越後を統一し、武田信玄と戦う有名な川中島の合戦までのお話です。
この物語の一番の見どころは、家臣である宇佐美定行の娘・乃美とのもどかしい恋の行く末です。10代のころから知り合っている二人ですが、互いの気持ちを知らないまま、それが恋なのかそうでないのか判然としないまま時は過ぎ、読んでいるこちらとしてはもどかしくて仕方ありません。川中島の合戦を前にして謙信が病身の乃美を見舞うシーンは胸に迫るものがあります。(40代女性)
「豊臣家の人々」司馬遼太郎

殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
秀吉をとりまく家族たちも大変としみじみわかる物語
司馬遼太郎といえば、さまざまな歴史上の有名人を描いた歴史小説や時代小説の第1人者ですが、この「豊臣家の人々」は日本史上まれな、一代で権力の頂点に立った豊臣秀吉をとりまく家族に焦点をあてた作品です。
たくさんの人物(淀君など有名人物だけでなく、秀吉の妹や弟など大河ドラマにも登場するものの、スポットライトはあたりづらい役どころであることが多い人物たちも含む)をあつかっているかわりに、一人ひとりが主人公として語られる物語は短編なので、「戦国時代を舞台にした小説は長編小説が多いので読破に時間がかかるのが難点」と考えているかたにもおすすめです。(40代女性)