大正ロマンが咲き誇る、大正時代が舞台の小説7選

大正時代が舞台のおすすめ小説

大正時代、和洋折衷の華やかさがある時代の中で紡がれた、美しく情熱的な物語を集めてみました。
大正ロマンが咲き誇る小説の魅力に焦点を当て、時代背景と共に心を打つ名作たちをおすすめしています。
大正時代の雰囲気や文化を感じながら、小説の中に引き込まれることでしょう。大正ロマンスの甘美な空気を感じる物語、7作品をご紹介します。

わたしの幸せな結婚

作者:顎木あくみ

わたしの幸せな結婚

<あらすじ>
名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞。大勢の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく―。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

和風シンデレラストーリー

可哀想な出で立ちの少女が嫁に行くことになり、そこで自分の問題と向き合いながらも旦那様との仲も深めていく話です。
結婚することになる2人の恋物語としても面白いですが、魔法のようなものを使える世界観になっており、主人公の女の子がそのせいで不遇な目にあっていたものの本当は隠された力をっています。その力についての謎が少しずつ明かされる展開も面白いです。(30代女性)

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天切り松闇がたり

作者:浅田次郎

天切り松闇がたり 1 闇の花道

<あらすじ>
夜更けの留置場に現れた、その不思議な老人は六尺四方にしか聞こえないという夜盗の声音(こわね)「闇がたり」で、遥かな昔を物語り始めた――。時は大正ロマン華やかなりし頃、帝都に名を馳せた義賊「目細の安吉」一家。盗られて困らぬ天下のお宝だけを狙い、貧しい人々には救いの手をさしのべる。義理と人情に命を賭けた、粋でいなせな怪盗たちの胸のすく大活躍を描く傑作悪漢小説(ピカレスク・ロマン)シリーズ第一弾。

義理と人情で大正・昭和を生きた粋でいなせな盗人たちの物語

一話完結の短編集でシリーズになっていいます。
華やかな大正ロマンの時代の盗人一家に拾われた少年・松蔵、大親分の目細の安、説教寅弥、黄不動の栄治、百面相の常、振袖おこん、など盗人一家の個性的な面々たちが「悪人から盗み貧しい人たちを助ける」というのがお決まりのストーリー展開になっています。
社会の弱者を義理と人情だけで救済するストーリーは現代でいう「スカッと系」の要素もあり、終始笑いあり涙ありで読んでいて爽快です。

盗人一家の紅一点である「振袖おこん」の服装や持ち物がお洒落で、モダンで華やかな大正ロマンをイメージしやすく表現されています。
さらに山県有朋など実在の人物も登場し、所々で史実もベースにしながら物語を進めるので、近代史の勉強にもなる小説です。
また、少年だった主人公がシリーズを追うごとに大人に成長していくのを見守るのもこの天切り松シリーズの楽しみの一つです。(40代女性)

シトロン坂を登ったら

作者:白鷺あおい

シトロン坂を登ったら

<あらすじ>
わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕!

少女たちのファンタジー冒険譚

大正時代の魔女学校のお話だけど、魔女学校であり、妖怪モノでもありという、結構盛り沢山な内容でしたが、読みやすかったです。大正ロマンというかファンタジーというか迷うところですが、それでもやっぱり舞台は大正なので、大正ロマンだと思う。
個人的には、古い時代がモデルになっている話はとっつきにくいので、この作品は読みやすかったです。(30代女性)

戻り川心中

作者:連城三紀彦

戻り川心中

<あらすじ>
大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に愛したのは? 女たちを死なせてまで彼が求めたものとは? 歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情――ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作5編。

耽美と詩情を帯びた哀悼の物語

花を共通テーマにした短編集でミステリー構成ながら犯人やトリックを突き止めるような内容ではないので、大正とはどんな時代だったかを知れる作品です。
明治で文明開化となり、大正には和洋両方の文化が入り乱れるような甘美な時代にタイムスリップしたような気持ちになる美しい文体が魅力的です。
口語文語の使い分けや心象表現・写実表現など著者の日本語力に頭が上がりません。(40代男性)

鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様

作者:朱川湊人

鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様

<あらすじ>
大正三年、東京。画家を志して家を飛び出した槇島功次郎は、雪の無縁坂で、容姿端麗な青年画家・穂村江雪華(ほむらえせっか)と出会う。風変わりだが聡明、ずば抜けた画才を持つ雪華は、この世に未練を残して死んだ者の魂を絵で成仏させる、驚くべき能力の持ち主だった。果たせぬ恋、罪深き業……死者たちの断ち切れぬ思いが、二人の周囲に不可思議な現象を巻き起こす。幻想と怪奇に満ちた、大正怪異事件帖。

大正時代を舞台にした怪奇譚

「みれいじゃ」。この世に未練を残して死んだ者。この世のものと変わらない姿をしているが、得体のしれないもの。画家を目指す主人公・功次郎が知り合った雪花は、その「みらいじゃ」を絵によって成仏させる絵師だった。
物語には上野博覧会・浅草凌雲閣・竹久夢二など、明治~大正に話題になった出来事や活躍した人物の名がちりばめられていて、読者を過去に連れて行ってくれます。無骨な功次郎と美男子雪花のコンビにも注目です。(40代女性)

風よ嵐よ

作者:村山由佳

風よ嵐よ

<あらすじ>
明治大正を駆け抜けた婦人解放運動家、アナキスト伊藤野枝。その鮮烈な生涯を描き出す、圧巻の評伝小説!

明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に……!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出し──。野枝自身、そして野枝を巡る人々──平塚らいてう、大杉栄らの視点で織りなす、圧巻の評伝小説。第55回吉川英治文学賞受賞作。

厳しい時代を駆け抜けた情熱をもった女たち

明治時代から大正時代にかけて婦人解放運動に人生をかけた実在の人物、伊藤野枝の生き様を描いています。ほとばしるような情熱を持った女性で、社会運動だけでなく恋多き人でもありました。今の日本では考えられないくらい、当時の女性は自由な恋愛観を持っていることに驚きましたし、熱い思いを持った人も多くいたことに胸打たれました。(30代女性)

春の雪

作者:三島由紀夫

春の雪

<あらすじ>
ともに華族に生まれた松枝清顕と綾倉聡子。互いに惹かれ合うが、自尊心の強さから清顕が聡子を遠ざけると、聡子は皇族との婚約を受け入れてしまう。若い二人の前に、燃えるような禁忌の道が拓かれ、度重なる密会の果て、ついに恐れていた事態を招来する──。
三島が己れのすべてを賭し、典雅なる宿命世界を描き尽くしたライフワークたる『豊饒の海』第一巻。

若き青年と少女の儚い禁断の恋

超大作で、輪廻転生をテーマとした作品です。禁断の恋の末、儚い結末を迎えてしまうのがとても切ないです。
三島由紀夫の作品は、皇族であったり生と死をテーマとして、遠い存在なのに我々にも起こりうる出来事を描いており、物語に引き込まれやすいです。
現代にはない、いい意味での不便さとロマンを交えた恋愛の作品だと感じました。(20代女性)

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