オススメ!芸能人が書いた小説11選

2022年4月27日

オススメ!芸能人が書いた小説

芸能人が執筆することで生まれる独自の視点やストーリーは、彼ら独自の経験や感性が反映され、プロの小説家とはまた違った世界を読ませてくれます。
光り輝くステージの上ではなく、ページの上で新たな才能を開花させた芸能人たち。そんな芸能人によって書かれた小説を紹介します。歌手、俳優、タレントとしての顔のみならず、作家としての顔を持つ彼らの作品は、多くの読者に未知の魅力を提供しています。

芸能人が書いた小説といってすぐ思いつくのは芥川賞を受賞した又吉直樹さんの「火花」ですね。
もちろん芸能人が書いた小説は「火花」だけではありません。
しかし芸能人のエッセイは多いですけれど、小説の執筆となると数はそれほど多くないようです。
その中でも芸能人が書いたオススメの小説11作品をご紹介します。

「陰日向に咲く」劇団ひとり

陰日向に咲く

<あらすじ>
ホームレスを夢見る会社員。売れないアイドルを一途に応援する青年。合コンで知り合った男に遊ばれる女子大生。老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー。場末の舞台に立つお笑いコンビ。彼らの陽のあたらない人生に、時にひとすじの光が差す―。不器用に生きる人々をユーモア溢れる筆致で描き、高い評価を獲得した感動の小説デヴュー作。

哀しくも、おかしな人間模様

日の当たらない、さえない主人公が社会復帰するまでの哀しく、切ない6つのストーリーからなる短編がオムニバス小説なので、飽きが来なくて、サラッと読んでしまいました。それぞれの主人公はどこにでもいるような人間を、劇団ひとりさんの独特な千里眼で、掘り下げて、誰にでもある、人間の弱さや醜さを表現されていて面白い作品です。(50代男性)

人生捨てたもんじゃない

題名のとおり、なかなか日のあたらない人生を生きる人たちを描いた短編集。それぞれの話自体面白いのですが、実は全てが少しずつ関わっているところに作者のうまさを感じます。芸能人が書いたということを差し引く必要もなく楽しめる作品です。登場人物に向ける作者の目線の温かさに作者の人となりを感じます。文章が歯切れよく、すいすい読み進められる点もおすすめです。(50代男性)

人生につまずいたときに読む活力本

人生につまずいたときに読むと勇気がもらえる作品です。社会人を10年近くやってきた私は、職場の人間関係に翻弄され、うつ病を発症し、休職してしまいました。何かやる気力もなくなったときにこの作品に出会いました。
この作品に登場する、陽に当たらない落ちこぼれな6人が色々翻弄されながらも社会復帰をしていく姿に、勇気と元気をもらいました。この作品を読み終わったら、生活に対する活力が自然と戻ってきました。それから部署内異動して、無事に復職を果たしましたが、この作品に出会えなかったら退職していたかもしれません。感謝で一杯です。(30代男性)

「アナログ」ビートたけし

アナログ

<あらすじ>
手作り模型や手書きのイラストにこだわるデザイナーの水島悟は、ある日自らが内装を手掛けた喫茶店「ピアノ」で謎めいた女性・みゆきと出会う。自分と似たような価値観を持つ彼女に徐々に惹かれていく悟。意を決して連絡先を聞くも、「お互いに、会いたい気持ちがあれば会えますよ」と言われ、連絡先は交換せず、毎週木曜日ピアノで会う約束を交わす。会える時間を大切にして、ゆっくりと関係を深めていく2人。しかし、突然彼女はピアノに現れなくなってしまい……。毎週同じ日、同じ場所で会う約束。時代に逆らうような“アナログ”な関係を描く、珠玉の恋愛小説。

携帯を持たないアナログな愛

北野武の小説『アナログ』は、独特な筆致で登場人物の内面を深く描写し、読者を物語の世界に引き込みます。北野武ならではの風刺やユーモアも際立ち、独自の世界観が存分に表現されています。
時にシニカルでありながら、人間の複雑な感情や人生の哀歓をリアルに伝える点が魅力的です。登場人物たちの心情や葛藤が丁寧に描かれ、読者に考えさせられる要素もあります。
現代に携帯を持たないという点も興味深いです。北野武のファンなら、彼の作風や独特な視点を楽しめる一冊です。(30代女性)

「オルタネート」加藤シゲアキ

オルタネート

<あらすじ>
高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繋がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。渾身の青春小説。

高校生たちの等身大の悩みや、夢を追いかける難しさが伝わってくる作品

三人の高校生がメインの登場人物なのですが、それぞれに平等にスポットライトが当たっていて、人の数だけ悩みや夢があるということがリアルに伝わってきました。
高校生限定のマッチングSNSを出してくる発想もユニークですし、現代だからこそSNSをテーマにすることは多くの人からの共感や親近感を得られると思いました。
若者だけでなく、大人でも十分楽しめる作品です。(30代男性)

「これはちゃうか」加納愛子(Aマッソ)

これはちゃうか

終わりのないおしゃべり、奇想天外な町、日常から一歩はみ出したホラー、変化球のハートウォーミング。
時代の最前線で笑いをつくる著者が多彩に編み出した全6篇の陽気な作品集。
そこには“意味”も“救い”も“共感”も、あるのやらないのやら――
「元気なときに余力で、クッキーこぼしながら読んでくれたら嬉しいです」――加納愛子

女芸人ならではのちょっと卑屈な目線で描かれた短編小説集

短編の小説が6つ収録されており、どれも違った世界観の作品なので飽きずにあっという間に読み進められる作品。
女同士のたわいない日常を描いたものから、グッと引き込まれるホラータッチや非日常が楽しめた。普段からお笑いのネタを書いてる人ならではの、ちょっとクスッと笑える卑屈な目線、言葉使いが面白く、かしこまらず気楽に読めたところが良かった。(30代女性)

「窓ぎわのトットちゃん」黒柳徹子

窓ぎわのトットちゃん

戦後最大のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』。単行本、文庫、絵本の国内の累計は800万部! 世界じゅうで愛読されています。本書はその新組版。字が大きく絵も鮮やかになりました!トットちゃんがユニークな教育のトモエ学園で、友達とのびのび成長していく自伝的物語。深い愛情で子どもたちの個性を伸ばしていった校長先生が、トットちゃんに言い続けた言葉「きみは、本当は、いい子なんだよ」は、今も黒柳徹子さんの宝物です。

これが未来の黒柳徹子です

黒柳徹子さんの自伝的小説で、小さいころに初めて読みました。当時、既に黒柳さんはテレビのクイズ番組をはじめ、たくさんの番組で見かけていたのですが、いくらこの人が筆者だよと言われても、小説のトットちゃんと黒柳さんが自分の中でなかなか一致しませんでした。

舞台、時代設定は戦時中ということもあり暗い時代なのですが、トットちゃんが不思議な子(今で言うと発達障害などに、もしかしたら該当するのでしょうか)で大人を困らせるのですが、それがコミカルでおもしろい、子供って本来こうだよなと思わせてくれます。
冒頭にもあるとおり、この小説自体は小林先生という恩師に捧げるために執筆したもののようで、私もお世話になった先生のことをときどき思い出します。自分では大人しくてそんなに迷惑かけたつもりはなかったのですが、もしかしたら先生方はトットちゃんのように私の言動に辟易していたかもしれません。
そうそう、トットちゃんというのは偽名ではなく、テツコが子どもの耳にはトットに聞こえたかららしいです。最近数十年ぶりの続編が話題になっていますが、これを機に続編含め、トットちゃんをまた読み返してみたくなりました。(40代男性)

「解夏」さだまさし

解夏

<あらすじ>
ホームレスを夢見る会社員。売れないアイドルを一途に応援する青年。合コンで知り合った男に遊ばれる女子大生。老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー。場末の舞台に立つお笑いコンビ。彼らの陽のあたらない人生に、時にひとすじの光が差す―。不器用に生きる人々をユーモア溢れる筆致で描き、高い評価を獲得した感動の小説デヴュー作。

涙腺崩壊、悲しくも優しい物語

「解夏」とは仏教僧が修行を乗り越え悟りを開くことを指す言葉だそうです。主人公はべーチェット病により失明の危機にあり、失明への恐怖におおびえます。故郷の景色を脳裏に焼き付けるため故郷を歩きます。彼を支える恋人の気持ち。その恋人の将来を思いやる主人公。彼を取り巻く周囲の人のやさしさに涙します。そして彼に訪れる「解夏」の瞬間、涙なしでは読めない一冊です。(40代女性)

人生の葛藤と解放の物語

短編小説集の中の表題作。
泣きました。
病によって徐々に視力を失っていく主人公。
自分ならその時どうするかな…。
そしてその恋人の立場なら…。
現実を受け入れながら、相手の立場を思いやる。
難しいです。
そして周りの人の優しさが身に染みました。
今見えている物、景気。そしてそばにいてくれる人達。
なに気ない日常を大切にしようと思わせてくれる作品です。(40代女性)

「ピンクとグレー」加藤シゲアキ

ピンクとグレー

<あらすじ>
大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが…。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。

二人の青年がかけ進んできた思い

まず目次の各章に注目してみてください。年齢ごとに設定されたタイトルの付け方がオシャレなんです。大阪から初めてやってきた新しい土地でのワクワク感とそこで知り合った友達との出会い小学生から青年への生き方の描写が真っ直ぐわかりやすくスラスラと読めます。いろいろな経験と二人の青年の感情表現に入り込み、切ないストーリーが最後涙なしでは終われません。芸能界にいる彼だからこそピンクとグレーという仕上がった作品になっています。(40代女性)

心理描写が巧みな作品

同じ年齢の2人の男性に視点を当て、現在と過去を作品の中で行き来するスタイルを取り、関係性の変化を仔細に綴っているため、他人事と言うよりもまるで自分の身に起こったかのような生々しさと鮮やかさで訴えかけられた感覚がありました。見事なまでの心理描写が痛々しくも普遍的で共感せざるを得ない部分があり、没入して一気読み必至です。(20代女性)

「トラペジウム」高山一実(元乃木坂46)

トラペジウム

《あらすじ》
高校1年生の東ゆうは「絶対にアイドルになる」ため、己に4箇条を課して高校生活を送るが――。
現役トップアイドルが、アイドルを目指すある女の子の10年間を描いた感動の青春小説!

アイドルという夢をつかむために奮闘する女子高生たちの友情物語

現役アイドルが小説を書く、しかもそのテーマは「アイドルを目指す女子高生」
最初はアイドル活動の傍らで片手間に書いた「なんちゃって小説」かと変な先入観を持って読み始めましたが、なかなかどうしてしっかり書けていて引き込まれる作品です。特に主人公の女子高生ゆうが脇目も振らずただひたすらアイドルになるという夢をつかもうと努力する姿は妙なリアリティをもって伝わってきます。やはり作者が現場にいて自らの体験としてアイドルをやっているからこその説得力だと言えます。

また、東西南北の少女たちが力を合わせながらアイドルを目指すというのは、高山さんの出身地である千葉を舞台にした「南総里見八犬伝」をうっすらとモチーフにしているようで、その点に気づくと物語をより重層的に楽しむことができます。(40代男性)

「青天の霹靂」劇団ひとり

青天の霹靂

<あらすじ>
学歴もなければ、金もなく、恋人もいない三十五歳の晴夫。一流マジシャンを目指したはずが、十七年間場末のマジックバーから抜け出すことができない。そんなある日、テレビ番組のオーディションではじめて将来への希望を抱く。だが、警察からの思いもかけない電話で、晴夫の運命が、突如、大きく舵を切る―。人生の奇跡を瑞々しく描く長編小説。

家族の愛を感じられる物語

大ヒットを記録した「陰日向に咲く」に次ぐ、劇団ひとりさんの2作目の小説。すでに大泉洋さん主演で映画化もされています。
良い意味でサクッと読みやすいので、活字に慣れていない人でも無理なく楽しめそうな作品です。また、作品を通して感じられる家族愛にホッコリとした気持ちになれたところも良かったです。自分がダメダメだと色々なことが嫌になりますが、それでも両親が望んでくれたから自分が生まれてきた。そのことを改めて感じ、精一杯頑張って生きていきたい。そんな前向きな気持ちになれました。(30代女性)

「浅草キッド」ビートたけし

浅草キッド

多くの芸人からバイブルのように読みつがれた
ビートたけしの自伝的な青春小説、
待望の復刊決定!

客に笑われるな、笑わせろ。

ビートたけしの自伝的青春小説。目的も行き場も無いたけしは寂れた街浅草にやってくる。そこで出会った人々は懸命に生き、等身大で、それでいてカッコ良く、たけしの心を躍らせる。
深見千三郎に弟子入りし彼が言い放った「客に笑われるな、笑わせろ」は、小説全体の、そして以後のたけしの人生を決めるキーワードとなり、おもしろくも悲しく展開する。
NETFLIX映画では大泉洋と柳楽優弥が名演技で泣かせてくれるのは間違いなし。(60代男性)

「MOON CHILD【鎮魂歌】レクイエム篇」Gackt

MOON CHILD【鎮魂歌】レクイエム篇

<あらすじ>
映画「MOON CHILD」のもうひとつの物語―。失われたものへの、哀しみの連鎖。「MOON」の長い物語には、残酷ゆえに美しい思い出がちりばめられている。音楽・映画では語られていない、「MOON」の断片がまたひとつここに生まれ落ちた―。残酷なほど哀しい、だからこそ美しい…。

近未来のアジアを舞台にした悲しき絆の物語

Gacktさんが原案・主演を務めた映画『MOON CHILD』の続編的小説となっており、近未来のアジアにある移民の町・マレッパを舞台に様々な国籍や境遇を持つ人間たちの友情や絆を描いた小説となっております。Gacktさんは昨今ではバラエティ番組での体育会系なイメージが強いですが、この小説には彼の一番の魅力であった耽美な魅力が文章から伝わってきます。バラエティやYoutubeでGacktさんに興味を持った方はぜひ読んでほしい小説です。(30代男性)