『密室』の謎に挑め! 密室トリックが面白いミステリー小説13選

2022年7月4日

おすすめ『密室』ミステリー小説

ミステリー小説のなかでも『密室トリック』が使われていている面白い作品を集めてみました。
密室ミステリーの古典的名作から、奇想天外な密室トリックまで、挑戦したくなる謎にあふれたオススメの傑作ミステリーの13作品をご紹介します。

「屍人荘の殺人」今村昌弘

屍人荘の殺人
《あらすじ》を見る

普通とは一味違ったミステリーをお探しの方におすすめしたい作品

定番ですが、初めて読んだときの衝撃でこれに勝るものはないと思い、こちらの作品を選ばせていただきました。
この作品を語る上で欠かせないものは、なんと言ってもミステリーサークルの作り方でしょう。初めて読んだときはその型破りのアイデアに度肝を抜かれたし、何よりそのミステリーサークルを利用した密室トリックがとても秀逸で、私には到底推理できませんでした。
序盤から衝撃展開なので、その後のことがすべてネタバレになってしまい、人におすすめしたいのに何も内容のことを喋れないということが本作の唯一の欠点でしょう(笑)。(20代男性)

「ポアロのクリスマス」アガサ・クリスティー

ポアロのクリスマス

<あらすじ>
聖夜に惨劇が! 一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉じているのに、犯人はどうやって侵入したのか? 休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが……クリスマス的趣向に満ちた注目作。

復讐の果て、惨劇のクリスマス

被害者は、非常に性格の悪い誰からも嫌われ者の老人です。完全なる密室、周りにいたのは全て敵であろうと言える状況で、いったい誰が犯人か?密室トリックの種は?クリスティには珍しい、血まみれスプラッタな描写ですが、それに反して古き良きクリスマスの描写がそこかしこに出てきて楽しいですね。個人の感想としては、密室トリックはちょっと奇想天外ですが、犯人の意外性は、さすがクリスティ!という感じです。(50代女性)

「モルグ街の殺人」エドガー・アラン・ポー

モルグ街の殺人

彼がいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかった――世界初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた母娘惨殺事件の謎を名探偵デュパンが華麗に解き明かす。同じく初の暗号解読小説「黄金虫」や、最高傑作と名高い「盗まれた手紙」、死の直前に書かれた詩「アナベル・リー」など傑作を全11編収録。

古典的な密室トリック作品

とあるアパートで殺人事件が起きたけど、窓には釘がうたれていて犯行者がいたとしても脱出出来ない密室状態になっています。それを探偵のデュパンが突き詰めて得くものとなります。古い作品で密室の事件としては古典的なものとなります。トリックについては意外性があるとはいえますが、聞けば単純なもので、ゆえにミステリーの奥深さが分かるお手本の一作ともいえます。(30代男性)

世界中の推理小説家も読んだはず

モルグ街のアパートで暮らす母と娘の両方が殺されてしまうという殺人事件が起こります。部屋の外で発見された母親の死体は首が切り落とされた状態で、娘は絞殺され部屋にある暖炉の煙突に逆さまにされた状態で詰め込まれているのが見つかります。部屋の入り口は施錠されたまま、窓は開けられないように釘が打たれている密室状態です。
謎めいたこの事件の予想もしないことが次々と起こる展開の巧さに一気に読み終えてしまえる短編小説です。密室トリックを扱った初の作品と言われているこの小説は推理小説ファンならずとも是非とも読んで欲しいお薦めの作品です。(50代女性)

「モルグ街の殺人」の関連テーマ

「モルグ街の美少年」西尾維新

モルグ街の美少年

アンコール! もう一度きみと謎解きだ!

美少年探偵団の活躍を覚えておられるだろうか。綺羅星の捜索で幕を開け、指輪学園を退廃から救うための死闘で幕を閉じた――はずだった。めくるめく冒険が綴られた彼らの事件簿には、語られていない事件が一つだけ残されていた。『美観のマユミ』にして語り手・瞳島眉美が今こそ明かす、異端の建築家が設計した五つの美しい密室と六人の「美少年」の顛末を、東西東西、ご笑覧あれ!

密室の為だけに建てられた物件の展覧会へようこそ!

美少年シリーズという一連のシリーズの番外編に相当する作品ですが、単独でも楽しめます。
建築家が密室をテーマに建てた密室の建築物があり、その展覧会に足を運んだ美少年探偵団が、その謎に挑むといった内容。多様な密室が複数登場し、各密室毎に謎を解いていくので1冊で複数の密室を味わうかのような楽しみ方が出来ます。短めの文庫本なので、濃厚な密室モノが苦手な人には入門編として最適です。

「仮面山荘殺人事件」東野圭吾

仮面山荘殺人事件

<あらすじ>
8人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた8人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに1人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。7人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった……。

結末にビックリします!

東野圭吾さんの作品は密室トリックがとても多く使われていますが、その中でも仮面山荘殺人事件はストーリーが二転三転するのでハラハラ&ドキドキ感がかなりあります。この作品は登場人物がとても多いので最初は混乱しますが、それぞれが怪しく謎に満ちているのでキャラクター設定がとても面白いです。最後は信じられない結末にビックリします。読み終わるとすっきり感と高揚感が残り素晴らしい作品です。(40代女性)

「白馬山荘殺人事件」東野圭吾

白馬山荘殺人事件

<あらすじ>
「マリア様が、家に帰るのはいつか」?謎のメッセージを残して兄は自殺した。妹のナオコは友人のマコトと信州白馬の『まざあ・ぐうす』を訪れ、兄の死の真相を探ることに。英国風のペンションに集う、事件に居合わせた人びと――。彼らは何を求めてここに集まるのか? 兄はなぜ死んだのか?
密室トリックの謎とマザー・グースの暗号を解け!

密室あり暗号ありの盛りだくさんミステリーです

東野先生の初期の作品です。兄の死の真相を探しに主人公がペンションに行きます。マザーグースの歌に隠された謎を探していく中で密室殺人に遭遇します。密室殺人の箇所もさることながら、この作品の面白いところは密室含めて謎が盛りだくさんなところです。真実は何だったのかを読みといていくにあたって飽きることなく一気に読みきれます。キャラクターも魅力的でオススメな小説です。(50代男性)

「46番目の密室」有栖川有栖

46番目の密室

<あらすじ>
日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺されたのか――。有栖川作品の中核を成す傑作「火村シリーズ」第1作。

密室で殺された密室の巨匠の謎に、火村&アリスコンビが挑む!

密室を書くミステリー作家の巨匠が、自身の別荘の密室で殺害され、その謎を臨床犯罪学者の火村英生と推理作家のアリスが解き明かすストーリー。
著者の、現在まで長く続いている『火村&アリスシリーズ』の映えある第一作目だけあって、二人の関係性が感じられる会話のやり取りは必読。そして密室殺人で、登場人物たち(事件関係者)も推理作家がいるため、みんな怪しく見えてくる。なので、読者も推理しながら読むと楽しめるのでは。
ラスト、犯人の罪を犯した理由については賛否両論あるのかな?と感じる。個人的には『人間』が感じられて納得できるけれど、読む人によって印象は変わるかも。(40代女性)

「8の殺人」我孫子武丸

8の殺人

<あらすじ>
大胆なトリックで本格ミステリーファンをうならせた傑作長編。建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、2人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。

三兄弟のうちの一人が活躍する物語

上空から見ると数字の8のようになっている屋敷で起こる密室殺人の謎をミステリー好きな登場人物が解いていくという小説です。
ミステリー好きな人は有名なミステリーに関する話題が作中に出てくるので、より楽しめると思います。私は話題になっていたミステリーは読んだことがありませんでしたが、興味を持つきっかけにはなりました。

本編の謎解きですが、トリック自体はそこまで複雑なものではないものの、心理的な誘導があり、純粋な気持ちを持って読めば、いい意味で翻弄されるようになっています。
私は謎解きのある小説を読むときにそんなに予想して読まないので、あまりにも複雑なものだとちょっと疲れてしまうのですが、図解を交えながら分かりやすく状況説明をしてくれていたところも良かったと思います。(40代女性)

「扉は閉ざされたまま」石持浅海

扉は閉ざされたまま

<あらすじ>
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まったその日、伏見亮輔は客室で後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。

全く先の読めないミステリー

大学生グループでのストーリーなので親近感も湧いて入り込みやすかったですし、どんどん内容が濃くなっていくミステリーも非常にドキドキしながら読むことができました。また、犯人など全く誰か分からなかったですし、全員が全員怪しく感じてしまうストーリー展開はとても良かったと思います。引き込まれてしまう世界観も絶妙で非常におすすめです。(30代男性)

「姑獲鳥の夏」京極夏彦

姑獲鳥の夏

<あらすじ>
「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」。昭和27年の夏、三文文士の関口巽(せきぐちたつみ)は東京は雑司ケ谷にある久遠寺(くおんじ)医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の1年先輩だった。

常識を揺さぶる妖怪ミステリ

私が大学生の時に出会ったミステリ小説で、今なおこれ以上はないと思っている。
えぇっ! そんなのありかよ! と言わせるトリックなのだが、そこに至るまでの主人公中禅寺秋彦の語る妖怪うんちくで「すでに解説されている」という構成の見事っぷりが素晴らしい。
読み終えてもう一度読み返したくなる小説は、名作中の名作だと思っている。(30代女性)

「姑獲鳥の夏」の関連テーマ

「卒業」東野圭吾

卒業

<あらすじ>
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?

人気シリーズ加賀恭一郎の原点

作者の東野圭吾さんが、まだエンジニア時代に書き上げた、学園ミステリーです。その後人気シリーズになっていく加賀恭一郎が、学生時代に遭遇する最初の事件です。このシリーズ後半の新参者など、テレビや映画で、観たことがある方に、加賀恭一郎の原点が分かる一冊です。東野圭吾さんって、会社員してても小説が書けるなんて凄い才能です。(50代女性)

「卒業」の関連テーマ

「すべてがFになる」森博嗣

すべてがFになる

<あらすじ>
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

超難解な謎に迫っていく楽しさ

まさしく理系分野に特化した超難解な謎に頭を悩ませるのが実に楽しく、先の読めない展開にもどかしさを覚えながらも、果たしてこの先に何が待っているのだろうかと、純粋な興味による楽しみでいっぱいになります。不気味かつ不可思議な謎に迫っていく楽しさは筆舌に尽くし難いです。また、トリック以外の部分、即ち登場人物にまで細かな設定を加えているため、個人的に読みやすいなと感じました。(20代女性)

「本陣殺人事件」横溝正史

本陣殺人事件

<あらすじ>
江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。

名探偵による和のミステリーの傑作

この作品の特徴はふたつあります。ひとつは日本推理小説界の巨匠、横溝正史による金田一耕助シリーズの第1作目だということ。ふたつめは、作品舞台が日本というだけでなく、事件現場が日本家屋であり、なおかつ密室トリックによる殺人事件が書かれているということです。

『日本にある洋館』という設定ならば、密室という設定を作りやすいイコール、西洋の推理小説のトリックのセオリーをアレンジしやすいですが、日本家屋ゆえに横溝正史の作家性があらわれた作品になっています。(40代女性)