おすすめのホラー小説。怖さレベル付き

オススメのホラー(恐怖)小説をご紹介します。ホラーが少し苦手という人は怖さレベルが付いてますので参考にしてみてください。
- ★レベル1.それほど怖くない。ホラー初心者にもお勧め
- ★★レベル2.ちょっと怖い。ホラー初心者もなんとか読めそう
- ★★★レベル3.まあまあ怖い。ホラー初心者には厳しいかも
- ★★★★結構怖い。ホラーが好きな人向け
※怖さの感覚は人によって全然違いますので、目安として参考にしてください
「天帝妖狐」乙一
怖さレベル:★

とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…。表題作ほか、学校のトイレの落書きが引き起こす恐怖を描く「A MASKED BALL」を収録。
こっくりさんで起こった物語
「こっくりさん」をキッカケに起こった出来事を描いたストーリーです。
こっくりさんは、昔からある心霊話なので知っている人も多く、すんなりと小説の世界観が入ってきます。冒頭は1人の女性に宛てた手紙から始まりますが、読み進めていくと、この手紙の意味が次々とわかってきて、もう1度この手紙を読み返してしまいました。(30代女性)
「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子
怖さレベル:★

「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
人間が一番きょうてえ
岩井志麻子さんと言えば、ヒョウ柄の着ぐるみに身を包んで下ネタを連発する、変わった女性タレントと認識されている方もおられるかもしれませんが、本業は作家です。
そして、この作品は日本ホラー大賞、山本周五郎賞も受賞した岩井志麻子さんの代表作です。妖怪や幽霊が出てくるホラーというよりは、人間の悲しさを表した怖い話です。
結局、何者より生きている人間が一番怖い!明治の岡山のねっとりしっとりとした湿度と閉塞感を感じながら、綴られている岡山弁に酔いしれながら読んで欲しいです。(40代女性)
「玩具修理者」小林泰三
怖さレベル:★

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
生物と無生物の違いを考えさせられる、グロテスク系ホラー小説
この話には幽霊や呪いなどはでてきません。ただ、何でも直すことができるという得体の知れない人物と、得体の知れない彼の家で行われる不条理な出来事がジワジワと恐怖をあおります。それを目撃した子供目線での観察による回顧話としてストーリーが進んでゆくので、良く分からないことも受け入れてしまう子供の残酷な無邪気さと、つじつまの合わない気持ち悪さとを感じながら一気に読んでしまった作品でした。(40代女性)
「向日葵の咲かない夏」道尾秀介
怖さレベル:★★

明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。―僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した
じわじわと迫りくる違和感
級友の”Sくん”が首つり自殺をしているところを偶然発見してしまった”ぼく”。しかし、忽然と死体は消え、Sくんは蜘蛛の姿になってぼくの元に現れる。消えた死体の謎を探すため、ぼくとSくんと妹で謎を解いていくが…読んでいくにつれ少しずつ感じる違和感と、衝撃の結末にぞわぞわします。奇妙な感覚になる一冊です。(20代女性)
「向日葵の咲かない夏」の関連テーマ
「パラサイト・イブ」瀬名秀明
怖さレベル:★★

事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。
ミトコンドリアが意志を持つホラーストーリー
現代のコロナパンデミックは、オリジナルのコロナ株から、どんどん新しい株が派生していきました。それはまるでコロナ株が意志を持っているかのようです。パラサイトイブは、本来なら単なる人間の細胞の1つであるミトコンドリアが意志を持ち、増殖し、人間界をおびやかすという小説です。目に見えないミトコンドリアがひたひたと人格を形成していく姿が恐ろしいです。この小説は日本ホラー小説大賞を受賞しています。(40代女性)
「姑獲鳥の夏」京極夏彦
怖さレベル:★★

「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」。昭和27年の夏、三文文士の関口巽(せきぐちたつみ)は東京は雑司ケ谷にある久遠寺(くおんじ)医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の1年先輩だった。
人の本質は昔から変わらない。
日本の夏の湿度を作品から感じられます。現実に起こる奇妙な事件との落とし所を拝み屋である京極堂が日本の妖怪の話を交えながら解決へと導きます。空想上の妖怪も元は人間を風刺した物もあります。登場人物も個性豊かで、京極堂シリーズ一作目である姑獲鳥の夏から後の作品まで関係している部分も伏線で出てくる所も作品のクオリティが素晴らしいと思います。(40代女性)
「姑獲鳥の夏」関連テーマ
「黒いピラミッド 聖東大学シークレット・ファイル」福士俊哉
怖さレベル:★★

将来を嘱望された古代エジプト研究者の男が、教授を撲殺し、大学屋上から投身自殺した。「黒いピラミッドが見える……あのアンクは呪われているんだ」
男の同僚の日下美羽は、彼が遺した言葉をヒントにエジプトから持ち込まれた遺物"呪いのアンク"の謎を追う。
次々に起きる異常な事件。禁断の遺跡にたどり着いた美羽を待ち受けるのは、想像を絶する恐怖と、"呪い"の驚くべき秘密だった。
第25回日本ホラー小説大賞受賞作。
エジプトの呪いから始まるホラー
古代エジプトの謎の遺物を手に入れた事で呪いにかかり惨事が起きていく少しオカルト要素の入ったホラー小説です。主人公がその謎に迫るのですが前半後半と分かれており前半は日本での話。後半はエジプトでの話になっています。特に後半はどんどん面白くなっていきエジプトの呪いより更にスケールの大きい話になっていきます。SFとホラーが合わさった面白い作品です。(30代女性)
「残穢」小野不由美
怖さレベル:★★

この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが―山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
残った穢れの正体を探すリアリティあるホラー
普通のホラーだと、幽霊が出て来て…その呪いを解くために、スポットなんかに行って…お祓いをして、怖い目にあって…という流れだと思います。しかしこのお話は、どうしてそこで「出来事」が起こるのか。それを解明していくお話になります。じわじわと煽ってくる恐怖感は、とても身近なものに感じられて、最高の盛り上がりどころがないのに、ずっと不快感のような、気持ちの悪い怖さが付きまとうのが個人的には好きでした。(30代女性)
「異端の祝祭」芦花公園
怖さレベル:★★

甘い言葉にご用心、と心得るような怖さがひしひしと近づいてくるホラー。
就活浪人生となった島本笑美は、幼い頃から生きている人間とそうではないものの区別がつかないことが就活に関係しているのではないか、と思っていた。そんななか、ダメ元で応募したモリヤ食品の面接で”ヤン”と名乗る青年と出会い、その後、内定を得て研修らしきものに参加するようになる。島本笑美が就職後、連絡を取れなくなったことから彼女の兄が、心霊専門の佐々木事務所に彼女を取り戻すことを依頼し、佐々木事務所の佐々木と青山が調査し始める。
この作品では、怪異による怖さというよりも、人が誰かを洗脳した時、洗脳された人がどうなってしまうのか、ということが描かれている。また、民俗学や宗教のことなどにも通じるようなことも語られていることも合わさって、目に見えないものの恐怖であったり、不気味さを楽しめる作品。(30代女性)
「きつねのはなし」森見登美彦
怖さレベル:★★

京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は―。
ジワジワやってくる恐怖
わかりやすく怖がらせてくるタイプのB級ホラーとは大きく異なる点が良かったです。読み進めるとジワジワやってくる背筋がゾクッとするようなえも言われぬ恐怖感が不思議とクセになります。また、著者ならではの独自性のある世界観に引きずり込まれる感覚もたまりません。類まれなる筆致に圧倒されること間違いなしの1冊です。(20代女性)
「きつねのはなし」の関連テーマ
「ペット・セマタリー」スティーブン・キング
怖さレベル:★★★

競争社会を逃れてメイン州の田舎に越してきた医師一家を襲う怪異。モダン・ホラーの第一人者が“死者のよみがえり”のテーマに真っ向から挑んだ、恐ろしくも哀切な家族愛の物語。
家族への愛が生んだ悲劇
幼い息子を失った主人公は、悲しみに暮れるあまり墓を掘り起こし、先住民の力が宿ると言われる土地に息子を埋葬します。
息子は生き返り、父親の元へと帰ってきますが、それは息子の姿をした別の何かでした。
蘇った何かに狙われる恐怖もありますが、それ以上に失った家族を取り戻したいという父親の愛や切なさを感じる作品です。
悲しみのあまり、主人公が徐々に狂気へと引き込まれていく過程も楽しめます。(20代男性)
「夏と花火と私の死体」乙一
怖さレベル:★★★

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。
田舎の夏の異様なストーリー
舞台が夏で幼い頃の夏を思い出しつつホラー要素があるので、そのギャップは読んでいるだけでも異様な空気感を感じてきますし、死体からの角度で物語が進んでいくので、尚更怖さを感じました。また、登場人物の兄弟も無表情と言うかあまり感情を感じられないですし、セリフも凄く冷めているような感じがあり怖さに拍車がかかります。(30代男性)
「殺戮にいたる病」我孫子武丸
怖さレベル:★★★

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
殺戮者のリアルな心境が読める
お化けが出るなどではないですが、人間の内面に潜むリアルな狂気性を描く事に恐怖する内容となっています。人を殺す男がいて、その過程における心理描写をしっかりとしています。殺人者のリアル性ある語りで心境が読めてくる点に意外性と新鮮味がありした。そういうことをしておいて平然としていられる神経に真に恐怖する内容になっています。場面によって人物の視点が切り替わる見せ方に面白みがあります。(30代男性)
「GOTH―リストカット事件」乙一
怖さレベル:★★★

森野が拾ってきたのは、連続殺人鬼の日記だった。学校の図書館で僕らは、次の土曜日の午後、まだ発見されていない被害者の死体を見物に行くことを決めた…。触れれば切れるようなセンシティヴ・ミステリー。
薄ら怖いボーイミーツガール小説
人には言えない趣味嗜好を持った少年少女があらゆる《死》に触れる物語です。
主人公の「僕」とクラスメイトの「森野夜(よる)」。
二人に共通するのは殺人や異常犯罪に興味があり、あらゆる《死》を日常の水面化で求めていることでした。
そんな2人に引き寄せられるように、周囲でも不可解な事件が起こります。
もしかしたら私たちの知っている人も内面はこんね風に残酷なのかもしれない…と背筋が凍るような人間の怖さを感じられる小説です。(30代女性)
「姉飼」遠藤徹
怖さレベル:★★★★

さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は―。蚊吸豚による、村の繁栄を祝う脂祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を振り回しながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして、「姉」を手に入れたい…。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。「選考委員への挑戦か!?」と、選考会で物議を醸した日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」はじめ四篇を収録した、カルトホラーの怪作短篇集。
純愛なのか狂気なのか
この作品の「姉」の設定がすごいのですが、この作品の「姉」とは女性の姿形をした生き物を串刺しにした人間のような生き物であり言葉も話すことはできず、串刺しにされても数か月は生き延びる生命力のある狂暴な生物。姉を購入した人はその命が尽きるまで彼女を嬲り苦しむ姿を見ることで性的興奮を得るのでした。姉以外の世界観はわたしたちが暮らす現実と変わらないのですが、この作品の「姉」が狂気の世界を演出している、とてつもなく不気味な存在となります。この作品の主人公の少年はある日、同級生の女の子と一緒に隠れて「姉」が鞭でいたぶられるのを覗くのですが、その家の主人に見つかってしまいます。翌日同級生の女の子は行方不明。ここだけでもうゾッとするところであり、嫌な予感しかしません。しかし主人公の少年は「姉」に対して興奮と欲望が支配していき、大人になってから「姉を飼う」だけのために必死で働き、全財産を投げうってでも次々と姉を飼っていく姿はおぞましいです。次第に人の道を外れた行為にも手を伸ばして…、と次第に姉と普通の女性との区別がつかなくなっていくなど狂気と底知れぬ闇を感じる作品です。最後まで目が離せない作品ですね。(30代男性)
「天使の囀り」貴志祐介
怖さレベル:★★★★

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
人間の心理状態がだんだんおかしくなっていく描写がリアルで恐ろしい
この作品の怖いところは、頭の中に謎の声や音が聞こえてきて、その結果として死を選んでしまう不条理さが丁寧に描かれているところです。そしてその音の正体に主人公が迫っていく中で、衝撃の事実がどんどん明らかになっていくところもかなり面白いです。後半になるにつれてスケールも広くなっていき、全くもって次の展開が予想できないところも面白い作品です。(20代男性)