事件の核心を追え!おすすめ警察小説12選
面白いおすすめの警察小説を集めてみました。
警察小説は、主人公が警察官などの警察組織に属していて、事件などに関わる小説です。
警察小説にはクライムサスペンスやミステリーな面白さに加えて、主人公が警察組織に属してることによる警察内部の問題に触れたりすることもあるので、同じような事件を扱うものでも探偵らが活躍する推理小説とはまた違った面白さがあります。
主人公が刑事・警官ならではの面白さが詰まった警察小説12作品をご紹介します。
陰の季節
作者:横山秀夫
<あらすじ>
警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下りポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた……。「まったく新しい警察小説の誕生」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第一弾!
組織内は本当に複雑怪奇な人間関係と妄執の塊であるということが分かる警察物語
既に有名な作者で映像化作品も沢山ある著者の最初期の短編集。長編もいいが横山さんは本当に中短編が上手くて、これは警察小説でも人事のほうを主役にした組織小説といった方がいい作品。
とにかく足の引っ張り合いがすごい。表題作「陰の季節」の二渡が天下り先のOBがいつまでもポストを開けないことに説得にいくが、それが事件と関係して見事にミステリになっている。組織と人を描かせたら本当にトップクラス。
長編はなかなか読むのが大変という人にはぜひここから入ってもらいたい。(40代男性)
SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室
作者:富樫倫太郎
<あらすじ>
警視庁に新設された広域捜査専任特別調査室、通称「SRO」。総勢7名の小所帯にもかかわらず5人がキャリアという、管轄の枠を越えた花形部署のはずが、その内実は訳ありだった。山梨で発見された白骨死体をきっかけに、史上最凶の連続殺人犯「ドクター」を追う調査員たち。警察組織の限界に迫る、新時代警察小説の登場。
シリアルキラーと警察の頭脳戦
広域捜査という、警察の管轄とか縄張り関係なく捜査出来るので、変な煩わしさがないのがいいし、シリアルキラーと山根たちの対決が面白い。
この本を読むまでは、シリアルキラーとサイコパスの違いなんて考えたこともなかったけれど、サイコパスと違って、シリアルキラーってこんなにも知能が高くて、そこらへんにいる普通の人なんだって思うとゾッとします。(30代女性)
隠蔽捜査
作者:今野敏
<あらすじ>
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。原理原則を遵守するその朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身命を捧げるべきだ。私はその信条に従って生きているにすぎない、と──。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。
独特の信念を持つ主人公の葛藤
この作品は主人公が独特で、本音しか言わない原理原則を大事にするなど、今までにないタイプの主人公ですね。警察庁の官僚というのも新鮮で、現場ではない雲の上の存在の官僚の世界が詳しく描かれていて斬新でした。
自分は官僚にいいイメージが全くなかったのですがこの作品を読み終えると評価が180度変わりました。本作品の見所は独特の信念を持つ主人公にある出来事があり苦悩し葛藤するのですがそこでどんな答えを出すのかが注目です。(40代男性)
御子柴くんの甘味と捜査
作者:若竹七海
<あらすじ>
長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。傑作ミステリー・葉村晶シリーズ第一弾『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、スイーツ&ビターなミステリー短篇集。
甘味が絡んだミステリー小説
主人公の御子柴刑事が、難事件を担当するストーリー展開ですが、ちょっと変わった設定がある小説です。
それは、必ず和菓子から洋菓子まで幅広いジャンルの甘味が絡んでいることです。
クセのある登場人物や、どんでん返しのような展開が待っていたりと、とても楽しいミステリーになっています。
甘味については、実際に存在する物もあるので、読み終わった後についその甘味を検索してしまいます。(30代女性)
切り裂きジャックの告白
作者:中山七里
<あらすじ>
東京都内の公園で臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見された。やがてテレビ局に“ジャック”と名乗る犯人から声明文が送りつけられる。その直後、今度は川越で会社帰りのOLが同じ手口で殺害された。被害者2人に接点は見当たらない。怨恨か、無差別殺人か。捜査一課のエース犬養刑事が捜査を進めると、被害者の共通点としてある人物の名前が浮上した――。ジャックと警察の息もつかせぬ熾烈な攻防がはじまる!
繋がれた命のあり方と人のさまざまな想い
臓器を抜かれるという特徴の連続殺人事件。そして切り裂きジャックを名乗る犯人からの犯行声明がテレビ局に届く。被害者は皆臓器移植の経験があるという共通点。切り裂きジャックの狙いはなんなのか。
事件を捜査する警視庁一課の犬飼隼人だがそこにはドナー提供によるプライバシーの保護や臓器提供をしたドナーの遺族の想いなどさまざまものが浮き彫りになっていくのでした(30代女性)
小鳥を愛した容疑者
作者:大倉崇裕
<あらすじ>
銃撃を受けて負傷した警視庁捜査一課の鬼警部補・須藤友三は、リハビリも兼ねて、容疑者のペットを保護する警視庁総務部総務課“動植物管理係”に配属された。そして、そこでコンビを組むことになったのが、新米巡査の薄圭子。人間よりも動物を愛する薄巡査が、現場に残されたペットから名推理を披露。難事件を解決する!
動物をめぐるさまざまな難事件に挑む名コンビ
警視庁捜査一課の鬼警部補の須藤友三が怪我をします。
リハビリを兼ねた転属先は動植物管理係。容疑者が飼っているペットを保護するのが任務。
新米の動物好きの薄圭子巡査との名コンビが、動物をめぐるさまざまな難事件に挑む姿は秀逸です。動物好きにはたまらないミステリー小説です。
テレビドラマ化もされ、渡部篤郎と橋本環奈が好演しています。(60代男性)
百舌の叫ぶ夜
作者:逢坂剛
<あらすじ>
能登半島の突端にある孤狼岬で発見された記憶喪失の男は、妹と名乗る女によって兄の新谷和彦であると確認された。東京新宿では過激派集団による爆弾事件が発生、倉木尚武警部の妻が巻きぞえとなり死亡。そして豊明興業のテロリストと思われる新谷を尾行していた明星美希部長刑事。錯綜した人間関係の中で巻き起こる男たちの宿命の対決。その背後に隠された恐るべき陰謀。迫真のサスペンス長編小説。
テンポが良く、ハードボイルドな雰囲気を楽しめる作品
スピーディーな展開の中にも細かく謎や伏線が仕掛けられており、二転三転していく事件の真相に惑わされていく感覚を楽しめました。
警視庁と警察の複雑な関係も描かれているので、どこまで本当かわからないけれど一般の民衆には伝わらない裏社会の事情を垣間見れるような気がします。過酷な現実を突きつけてくるハードボイルドな描写も含め、重厚なストーリーを楽しめました。(20代男性)
身元不明
作者:古野まほろ
<あらすじ>
定年間近の無気力(ゴンゾウ)巡査部長・浦安圭吾に、若き異色のキャリア警視・箱崎ひかりとコンビを組む特命が下る。被害者は全員身元不明、さらに身体の一部が取り除かれていた。真逆の二人が噛み合い始める時、オリンピックで激変した東京湾岸に潜む、国を覆す陰謀の蓋が開く。元警察官僚が喝破するリアル警察小説。
警察を舞台にした組織論の物語
誰しもが「あったらいいな」と思っているかもしれない架空の鉄道である東京メトロ湾岸(環状)線を舞台に繰り広げられる連続殺人事件。
舞台の捜査にあたる定年間近の無気力な巡査の男性と、やり手の警視庁捜査一課の最年少管理官の女性の不釣り合いなコンビが面白い。捜査の過程で主人公が実感する、組織における「人」についての感慨には読んでいて胸が熱くなる物語。(50代男性)
時効警察
作者:三木聡 その他
<あらすじ>
クセになる笑い満載の大ヒットドラマ『時効警察』の完全ノベライズ!
時効になった事件を趣味で捜査する警察官・霧山修一朗vs犯人。クセになる笑いが満載のノベライズ、早くも文庫で登場!巻末には、脚本・監督はもちろん、熊本課長も演じている岩松了による書き下ろし短編を収録。
クセのある笑いと切ない時効の物語
謎解き要素と人間ドラマが絶妙に絡み合った面白い小説でした。
趣味を持っていない主人公の警察官が趣味で始めてしまった時効を迎えた事件捜査が全ての始まり。
主人公やその同僚にシリアスな雰囲気は一切なく、軽い笑いが多分に含まれておりテンポよく読み進めることができます。主人公にシリアスさが無い一方、犯人たちの心情や葛藤は丁寧に描写されておりバランスの良い内容です。
時効という法律の意味や限界を考えさせられる一作であり、読後には考えさせられることが多かったです。(50代男性)
連続殺人鬼カエル男
作者:中山七里
<あらすじ>
マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。
現実に起こったら悲惨すぎるが、あり得ないこともないギリギリのライン
犯罪の手口がグロテスクで、描写表現もストレートに表現されているため、ミステリー小説としてかなり読み応えがありました。グロテスク表現が苦手な方は避けた方が良いかもしれません。物語の展開としても二転三転していくので、登場人物のほとんどが怪しく思えてきて、物語の終盤になればなるほどのめり込んで読んでしまいました。(30代女性)
富豪刑事
作者:筒井康隆
<あらすじ>
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。
思わぬ方法で捜査をする刑事小説
富豪で刑事でもある主人公が、思わぬ方法で事件を解決していくのが面白いです。
父親が資産家なので、通常の刑事には到底できない方法を次々に用いるのが凄いです。そのため、主人公がどんな手段を使って捜査をするのか気になります。それでありながら、これまで解決できなかった事件を解決していくので、飽きずに読むことができます。(30代女性)
刑事マルティン・ベック
作者:マイ・シューヴァル / ペールー・ヴァールー
<あらすじ>
市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる――。
10年間で変わりゆく人と社会
10年かけて10冊のシリーズが出版されて行きましたが、主人公のマルティン・ベック警視がストックホルム市警の刑事として活躍されていく様が描かれています。
このシリーズは10年間という実社会の変化も表現しています。かつリアリティ溢れる描写、緻密に計算された物語構成、そして個性豊かなキャラクターが登場するミステリーの傑作です。(30代男性)