ハードボイルド小説の傑作おすすめ11選

2022年10月20日

ハードボイルド小説

ハードボイルドという渋い男性とか探偵とか暴力描写とかのイメージがありますが、文芸用語としては無駄な修飾を極端に省いた写実的で簡潔な文体のことをいうそうです。
歴史的には1920年代のアメリカ小説から始まって、ハメットの「血の収穫」や「マルタの鷹」、レイモンド・チャンドラーの「さらば愛しき女よ」「長いお別れ」などで人気を博したジャンルとなります。

ハードボイルド小説は暴力描写が多くて苦手、という人もいるかもしれませんが、でも決してハードボイルド=暴力描写ではありませんので、自分の信念を曲げないないストイックで格好いい主人公が登場する作品も多いですので、お気に入りのハードボイルド作品を探してみるのはどうでしょうか。

「不夜城」馳星周

不夜城
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暗黒街を跋扈する裏社会の男たちの熱い戦いと美学!

日本のヤクザと中国マフィアがしのぎを削る裏社会で、主人公がなんとか泳ぎきっていくハラハラドキドキ、手に汗握る物語です。
主人公に次々と命を脅かす難題が振りかかりますが、運とタイミングですんでのところで切り抜けて、さあ次はどうなるかとページをめくる手が止まりません。長編ですが、一気に読んでしまいました。
生きている以上、何があっても生き続けなければならないという主人公は、図太く、しぶとく、野性の勘を活かし生きていきます。
それは社会に飼いならされた私達一般人にとっては、平穏や道徳といったものからはかけ離れた生き方ですが、物語の中ではギラギラと輝いて見えます。さまざまな人の思惑や企み、罠が錯綜しますが、最後は誰が生き残れるのかと目が離せません。
読後感は決して爽やかなものではありませんが、主人公と一緒に裏社会を駆け抜けたような充実感を覚える一冊です。(40代女性)

「孤狼の血」柚月裕子

孤狼の血
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緊迫感に満ちた警察とヤクザの抗争を堪能できる作品

この作品は警察とヤクザの抗争を描いているのですが、血の臭いが伝わってくるような生々しい描写が特徴的だと思いました。新人の刑事とベテランの刑事がお互いに任務をこなしていくうちに信頼関係を結んでいったり、人間ドラマの部分でも結構見どころがあって良かったです。過激な描写もありますが、それも含めて抗争の激しさをリアルに伝えてくれている作品です。(20代男性)

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、かくて火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド八人の首にかかった賞金を狙って、決死の狩りを始めた! 現代SFの旗手が斬新な着想と華麗な筆致で描く悪夢の未来世界!

本物と偽物の差は無いのかもしれない

映画化もした有名なSFハードボイルド作品です。
仕事熱心な主人公の男は、火星から地球へ逃亡したアンドロイド達を探して処理する任務を与えられます。
人間とそっくりの見た目をしており、記憶や感情がプログラムされているアンドロイドは本物の人間と区別がつきにくく、特殊なテストを使って判断します。
そして主人公はアンドロイドの疑いがある女性と出会い、特別な感情を持ちます。
彼女は本当にアンドロイドなのだろうか?アンドロイドだった場合、彼女を処理していいのだろうかと苦悩します。
それまで仕事ばかりしていた主人公が初めて自分のやってきたことに疑問を抱き、他人が定義したルールに従って思考することは果たして本物だと言えるのだろうか?と考えます。
自分や社会が本物だと思っているものが実際は違っているかもしれないと言う視点で見ると、普段とは違った見え方で物事を考えられるなと思いました。(20代女性)

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の関連テーマ

「長い別れ」レイモンド・チャンドラー

長い別れ
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元祖ハードボイルドな探偵ミステリー

私立探偵である主人公が依頼を受けたことで、妙な事件に巻き込まれていくストーリー展開が良かったです。主人公以外の登場人物の人間関係が思いのほか複雑に絡んでいるので、読み進めてもなかなか事件の真相が見えてきません。小説が探偵の視点から書かれているので、読み手もハードボイルドの探偵になったかのような気分になれ所が面白いです。

ミステリー関連のテーマ

「テロリストのパラソル」藤原伊織

テロリストのパラソル
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捨てたと思っていた過去に囚われる男の物語

東京都内の公園で爆発事件が発生。死者もでる大惨事となります。警察が捜査を進めるなかで、使用された爆発物についてわかってきます。学生運動が華やかだったころに使用されていたものに酷似していたのでした。そこで走査線上に浮かび上がってきたのが、都内でバーを営む主人公の男。
主人公が作るホットドッグが印象的なのですが、主人公の男が学生運動に挫折していて、その中で愛した人との別れも経験して、そこに現代の事件が絡んでくるというミステリー仕立ての物語が、日本独自のハードボイルドといった感じで描かれていて、作者の藤原伊織さんの代表作になっています。(40代男性)

「テロリストのパラソル」の関連テーマ

「砂のクロニクル」船戸与一

砂のクロニクル

イランを舞台に描く壮大な一大叙事詩。
舞台は、イラン、イラク、旧ソビエト、そしてヨーロッパ・・・。壮大なスケールで描く超大作。ペルシアの地を目指した、2人の日本人が、苛烈な運命に翻弄されながらも強く生きる。

宗教と国が交錯する中東世界の人々の生きざま

中東のイランを舞台に、独自の国を持たない流浪の民クルド人の武器を調達する日本人武器密輸商人と、イラン革命を間近でみてきた日本人の2人を中心に描かれる群像劇で、揺れ動く中東の正義や裏切り、金や宗教などを織り交ぜたハードボイルド小説です。革命に揺れ動くイランから始まるストーリーは、イラクや旧ソビエト、ヨーロッパ諸国を巻き込みながら、時代に翻弄される人々の心情を見事に描き切っています。(50代男性)

「ヒートアイランド」垣根涼介

ヒートアイランド
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渋谷を舞台に男たちが繰り広げる闇の大金を巡る闘い

渋谷でストリートギャングのグループ「雅」を率いるアキとカオルは、ある夜ひょんなことから大金の入ったバッグを手にします。その大金をめぐってヤクザと強盗とストリートギャングの三つ巴の戦いが始まります。アキとカオルもですが個性的な強盗団の面々もハードボイルドでとにかくかっこいい!スピード感があるスリル満載の展開で一気に読めます。(40代女性)

「みな殺しの歌」大藪春彦

みな殺しの歌
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血を求める凶銃の行方

『野獣死すべし』、『蘇える金狼』等の作品が有名で数多くの作品が映像化されている日本のハードボイルドの礎を築いた大藪春彦。前述の代表作ももちろん傑作なのだが、私個人が面白く何回も読み返してしまう一冊を挙げるとすると『みな殺しの歌』を挙げます。タイトルの通り一丁の銃・凶銃ワルサーP38の魔力に憑りつかれた男の復讐譚です。ターゲットだけでなく無関係な人々も容赦なく殺していく主人公に初めて読む際は驚愕します。(30代男性)

「マリアビートル」伊坂幸太郎

マリアビートル
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殺し屋たちの思惑が交差する新幹線

凄腕の殺し屋たちがたまたま1つの新幹線に乗り合わせるというストーリー。
幼い我が子が襲われ、仇を討つべく新幹線に乗車した「木村」その仇敵はまだ中学生だが、狡猾で残忍かつ頭もよく周囲の大人たちを騙し数々の悪事を働いてきている「王子」そして同じ車内には別の仕事を遂行するために殺し屋の「檸檬」「蜜柑」という2人組、更に世の中の貧乏神を一身に背負ったと言わざるを得ない凄腕の殺し屋「七尾」までもが同乗する。そして車内の異変に気付きながらも乗り込んでくる人間もいたりして。
こんな無理な設定を、無理と思わせず展開していくストーリー。クスっと笑える場面もありつつ、スリリングに展開していく車内の動きから一瞬たりとも目が離せない。
最後の展開には「え、そうくる?」という驚きもあり目が離せません。イチ押しです。(40代男性)

「太陽は動かない」吉田修一

太陽は動かない
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暗躍する産業スパイの激闘

孤児である鷹野が産業スパイとなり、国の威信をかけたビックプロジェクトである巨大エネルギーにまつわる案件のため国を跨いで暗躍する作品です。もともとこちらは三部作として製作されたものの第二部にあたる作品となり、主人公・鷹野が一番ノリに乗っている旬の時期でスケールもデカく読み応えのある内容になっています。のちに映画化もされています。現実的にもあり得る内容の問題を扱っているところもあり虚実を含んだところがよりリアリティを感じさせます。裏社会や巨大企業などを相手に後ろ盾があるとは言えない立場の鷹野がどう立ち回って解決へ導くのがが最大の見どころになります。(40代女性)

「真夜中は別の顔」シドニー・シェルダン

真夜中は別の顔
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ノエルのなりあがりぶりと最後のどんでん返しにワクワクする作品

ヒロイン・ノエルが自分の美貌と性的魅力を利用して成り上がっていく様子に、彼女のたくましさを感じる作品です。でも最初はそれを望んだわけではなく、父親に裏切られた結果だという点に哀愁を感じてしまう作品でもあります。彼女は夢のセレブな生活を手にしても、かつての恋人ラリーに執着するところに女の執念を感じるはずです。夫に裏切られたキャサリンには多くの女性が同情するはずです。とにかく人物の心理描写が細かい小説です。(50代女性)