驚きのSF世界へ、おすすめ日本のSF小説13選

2023年8月8日

オススメ日本のSF小説

面白い日本のSF小説を集めてみました。
SF小説というと海外の作品で有名なものが多い印象がありますが、もちろん日本のSF小説でも面白い名作はたくさんあります。アニメの原作になってるものや映画化されてるものもありますので、面白い日本のSF小説を見つける参考にしてみてください。

アイの物語

作者:山本弘

アイの物語

<あらすじ>
数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。機械を憎む青年に、アンドロイドは、かつてヒトが書いた物語を読んで聞かせるのだった――機械とヒトの千夜一夜物語。

人とAIが織り成す可能性の未来の物語

SF好きなら誰もが知っている作家『山本弘』のAI(ロボット)をテーマにした短編を集め、そこに書き下ろし二篇を加えて連作短編集として発表したのが本書。

舞台は、ロボットとの共存に失敗し、人が衰退した遠い未来。
主人公は女性型アンドロイド【アイビス】と出会い、アイビスから人とAI(ロボット)が歩んできた物語を読み聞かされてゆくというストーリー。2006年発表の古い作品ですが、その内容は今読んでも考えさせられる物語ばかりです。遠い宇宙旅行の話であったり、介護用AIロボットという近い将来ありえなくもない話であったりと。人間とAI(ロボット)は、どう付き合ってゆくべきなのかという事が丁寧に描かれています。

ChatGPTなどのAI技術が様々な議論を巻き起こしている今だからこそ、一読の価値はあると思います。(50代男性)

新世界より

作者:貴志祐介

新世界より

<あらすじ>
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

微妙な違和感から徐々に世界の秘密がわかってくる

とても有名な本作。文庫版で上中下と三冊あるし、それも一冊そこそこ太いから読破までにずいぶん時間がかかるなぁ。と思ったが、最初の違和感がだんだんと世界の謎が解けていくにつれてなくなっていくと、ページを捲るのが止められなくなってしまいました。
日本なんだけど、どこか日本ではない神栖66町。大人は何かを隠しているんだけど、自分達が子供だから教えてくれない。小さな出来事が世界を揺るがすことに繋がっていく。
3冊でここまで壮大な物語が味わえることに感動しました。(30代女性)

日本沈没

作者:小松左京

日本沈没

<あらすじ>
伊豆諸島・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。

自分たちの土地がすべて消えてしまう物語

文字通り、日本が沈没するというお話です。
どのような仕組みで日本列島が沈没するのか、という科学考証の部分に、大変な説得力があり、これがまず魅力のひとつです。
しかし、それ以上にこの作品の魅力となっているのは、列島の沈没を控えて、うろたえる日本人の心を描いているところです。
上は政府高官から、下は普通の庶民まで。なにしろ自分たちのよって立つ土地が消えてしまうのですから、うろたえるのは当然で、この小説はその心理をリアリティあふれる筆致で描いているところが、個人的には一番好きです。(60代男性)

日本以外全部沈没

作者:筒井康隆

日本以外全部沈没

<あらすじ>
2011年、原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈む。大統領はじめ国外脱出しようとする人々で大混乱に。をの後、中国大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸が沈没。田所博士は日本列島だけが無事だった理由を解明していた。避難民で人口の増えた日本社会はどうなるのか。食料問題、移民問題、独裁者によるテロ行為……。そして田所博士は日本も沈むと予言する。作品の完成度の高さに小松左京を嫉妬させた、世界が舞台の未曽有のパニック小説。

世界から日本以外の国が消えたなら

小松左京の日本沈没はとても有名な小説だが、小松左京のライバルでもあり親友でもある筒井康隆が本人に許可を得て書いたパロディSF小説である。
まさに逆転の発想でありえないことがけども、小さな島国日本だけが水没を免れたために世界中のセレブたちが日本になんとか逃げ込みたくて、あの手この手で日本政府や日本社会に取り入ろうとする姿が涙がでるくらい切なくで好きです。

時をかける少女

作者:筒井康隆

時をかける少女

<あらすじ>
放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。この匂いをわたしは知っている──そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床に倒れてしまった。そして……目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始める。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時を超え、未来へと引き継がれる。

未来へつながる青春物語

一夏の間、タイムリープする能力をもった主人公の物語。最初はやりたい放題好きなようにタイムリープの能力を使ってしまいますが、物語が進むにつれてタイムリープや未来人の正体が明らかになっていきます。使うたび減っていくタイムリープ。残り数回に限られた時にどんな選択をするのか、ハラハラドキドキする展開が待ち受けています。(20代女性)

百億の昼と千億の夜

作者:光瀬龍

百億の昼と千億の夜

<あらすじ>
西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた……プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は、世界が創世から滅亡へと向かう、万物の流転と悠久の時の流れの中でいかなる役割を果たしたのか?——壮大な時空間を舞台に、この宇宙を統べる「神」を追い求めた日本SFの金字塔。

人間とは、神とは何か、壮大な問いかけ。

SFの大家、光瀬龍作品だしSFだろうと思って読み始める。物語の初めの舞台は古代ギリシア、主人公はプラトン。哲学漫画か?と眉をひそめると、シッタータ(釈迦)が悪鬼・阿修羅と出会うシーンへと続く。同じ頃、ナザレのイエスとイスカリオテのユダもエルサレムに登場。宗教漫画か!と驚いていると、プラトン・シッタータ・阿修羅が未来都市で出会い、ここで神とは、人間とは何なのかという問いが明示される。その問いを胸に、地球の外・宇宙と対峙する三人の姿は気高く、人の尊厳を体現しているようだ。

こんな壮大な小説は未だかつて読んだことがない。物語世界は破滅に向かっている。その空虚な雰囲気が漂う中、メカニックの描写や哲学的思想などをふんだんに盛り込み、破綻なくまとめあげた手腕は圧巻の一言に尽きる。
実は萩尾望都が漫画化した方を先に読んだのだが、原作とはかなり違うので、別個の作品として楽しんだ。(20代女性)

復活の日

作者:小松左京

復活の日

<あらすじ>
生物化学兵器を積んだ小型機が、真冬のアルプス山中に墜落。感染後5時間でハツカネズミの98%を死滅させる新種の細菌は、雪解けと共に各地で猛威を振るう。世界人口はわずか1万人にまで減ってしまい――

ウイルスの恐怖と人類再生の物語

イギリス陸軍が開発中のウイルスがスパイが盗み、飛行機で移動中にアルプスに墜落しウイルスは増殖をはじめ世界人類が死滅し、南極で観測中に世界各国の探検隊員と米国とソ連の原子力潜水艦の乗組員だけが生き残ります。
そして生き残った人々は、人類の種の保存のため女性隊員16人の妊娠と出産を義務化します。さらに巨大地震の到来や米ソの核の報復で、人類は絶滅の危機を招くというストーリーです。
また現在も完全に収束していないコロナパンデミックを小説が発表された1964年に予言したとして再評価されている小説です。復活の日は草刈正雄主演で映画化され、ハリウッドからオリビアハッセーを招き話題になりました。(60代男性)

闇が落ちる前に、もう一度

作者:山本弘

闇が落ちる前に、もう一度

<あらすじ>
”宇宙の真の姿”について独創的な理論を構築した宇宙物理学者。だがこの理論に従うと宇宙はわずか8日前に誕生したことになる。恋人と自分の実在を確かめようとした彼は……表題作ほか4編収録。

多分純愛の物語のはず

表題の短編集の中の短編です、秀逸としか言いようのない小説です、一人称で遠くにいる恋人にメールで語り掛けていく男の独白が続きます、それは進めば進むほどゆっくりと語られる世界が広がっていきすべてが懐疑的になっていく男の様相がつづられていき、そして…。幻想的でもあり少しホラーのエッセンスもありますが純粋なSFです一気に読めますし何度も読み返したくなります。(40代女性)

Gene Mapper -full build-

作者:藤井 太洋(Taiyo Fujii)

Gene Mapper -full build-

バーチャルリアリティ技術と遺伝子組換作物が浸透した近未来、謎の塩基配列を持つ稲に秘められた陰謀に迫る、本格SFサスペンス。

今とのつながりを感じられる、近未来テクノロジー小説

物語の舞台は2014年にインターネットが崩壊した後の2037年、拡張現実や遺伝子工学が発展普及した世界です。
この作品の魅力は作中に登場する架空の技術に(2012年当時の)現在の技術とのつながりを感じさせるところです。例えば主人公は遺伝子された作物の農場で絵や図を描く仕事をしていますが、この見た目を制御する遺伝子コードと作物の生育に関する遺伝子コードは分離されており、見た目を制御しても生育に影響を与えないようになっています。これは現在のWEBページのHTML+CSSによる「意味と見た目の分離」と同じであり、作中でもそこから発展した技術だとされています。

その他にも、2038年問題が作中のニュースで触れられていたり、拡張現実を利用したまるで現実のような遠隔会議と、インターネット崩壊の原因など突拍子もないところもあるものの、現在の技術・社会が発展したらこうなるのかなという現実味を感じられます。
遺伝子工学をテーマにしているものの、どちらかというと情報技術に興味・知識を持った人のほうがニヤリとできるような作品です。(20代男性)

永久帰還装置

作者:神林長平

永久帰還装置

<あらすじ>
火星で目覚めた素性不明の男は、自らを永久追跡刑事と称した。この世界を創造し、自由に改変する能力を持つ犯罪者・ボルターを追っているという。戦略情報局のケイ・ミンはその話を疑いつつも、彼の真摯で誠実な態度に惹かれていく。ボルターの巧妙な世界改変による攻撃に対抗しつつ絆を深め合う二人だが、情報局の人工知性体・マグザットの介入も加わり火星崩壊が迫る――虚実混交の中で信頼と陰謀がせめぎ合う傑作長篇。

仮想現実世界における真実の愛と冒険

登場人物の言葉が世界そのものを形作る、著者お得意の物語です。
舞台は未来の火星ですが、主人公の設定がまた良くて、元は昭和生まれの日本の警察官です。いったいどうやってそんな人物がこの世界と関わって行くのでしょうか。
主人公が語る言葉で、この世界自体の存在がゆらぎます。
ここはコンピュータが作り出した仮想現実世界で、住んでいる人たちは単なるプログラムに過ぎない、自分はこの世界に逃亡した犯罪者を追う、永久追跡刑事である・・・。

本当にこの世界が仮想現実なのか、主人公の頭がおかしいだけなのか?真実がどれなのか、読者は悩むこととなります。また、ここから三つ巴の冒険と戦いが始まり、想像し得ない方向に物語は進みます。
そしてタイトルの永久帰還装置の正体は、驚愕的で、ひどく切ない。いろいろ考えさせられる物語です。(50代男性)

裏世界ピクニック

作者:宮澤伊織

裏世界ピクニック

<あらすじ>
仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で“あれ”を目にして死にかけていたときだった――その日を境に、くたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!

女同士の友情を越えたSFホラーストーリー

裏世界っていう、別の世界の存在が面白かったし、その世界で起きる様々な現象が、ネットとかで都市伝説になっている噂や怪談が元になっているSFホラーっていうのが新しかったです。あまり私はこういう噂知らなかったけど、色々あるのね。そしてそんな世界で出逢った空魚と鳥子というキャラも良かったです。二人が頼もしいので、不思議な空間の不思議な現象も、スイスイ読めました。(30代女性)

スカーレット・ウィザード

作者:茅田砂胡

スカーレット・ウィザード

<あらすじ>
海賊王の異名を持つ一匹狼のケリーに、エネルギーと情報の二つの分野を支配するクーア財閥の総帥ジャスミンから仕事の依頼が舞い込んだ。だが話を聞きに出向いてみると――出されたものは『婚姻届』で……? しかも承諾か拒否かの決着は宇宙での追いかけっこで決めることに?? かなり異色な恋愛小説が文庫で登場!

本格SF小説であり、恋愛小説でもあり、コメディ小説でもある

本格的なSF小説です。しかし、キャラクターたちの規格外の行動や言動が一つ一つコミカルで、私の中ではSFコメディに分類しています。主人公が結婚する羽目になり、子供もできるのですが普通の価値観でパートナーと子供に接していません。いい例として、子供を高い高いしていて子供が目を回すまで、数メートルの高さまで放り投げたりしています。(30代女性)

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

作者:富野由悠季

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

<あらすじ>
宇宙世紀0093。行方不明になっていたシャア・アズナブルは、ネオ・ジオン軍を再興して地球連邦政府に戦いを挑んできた。地球に人工的な氷河期をもたらすべく敢行される「隕石落とし」。多くの罪なき人々が、シャアの手によって粛正される……。だが因縁の相手アムロ・レイが、再びシャアの野望の前に立ちふさがるのだった!
アムロとシャア、最後の戦いを描く、傑作劇場作品のオリジナル版ストーリー。

ガンダム史上最高の物語

劇場版機動戦士ガンダムの脚本の第1稿として描かれた物語で、映画とは多少内容の異なる物語が特徴的な本作ですが、内容としてはとても重厚な物語で、こちらの物語を映像化されなかったことが残念に思えるほどの構成となっています。本作の原作者である冨野氏の最高傑作とも言える物語でとてもよく出来た小説だと思います。(40代男性)