歴代【直木賞】受賞作からのおすすめ16選

2022年6月26日

おすすめ!直木賞受賞作

「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

<あらすじ>
江戸時代の大坂・道頓堀。穂積成章は父から近松門左衛門の硯をもらい、浄瑠璃作者・近松半二として歩みだす。だが弟弟子には先を越され、人形遣いからは何度も書き直させられ、それでも書かずにはいられない。物語が生まれる様を圧倒的熱量と義太夫のごとき流麗な語りで描く、直木賞&高校生直木賞受賞作。

人生の機微を知りつつ浄瑠璃作りに命をかける男の物語

人形浄瑠璃作者、近松半二の物語。
歌舞伎にはちょっと興味がありますが、人形浄瑠璃の世界は知らずで読んでもわかるかなと思っていたのですが、大島さんの筆の力で楽しく楽しく読み通せました。文楽と歌舞伎が競いながら、庶民の娯楽でもあった時代がイキイキと描かれています。
大阪弁のことばのリズムも音楽のようで、半二を取り巻く人たちとの会話が多いのでわかりやすいです。半二自身が人生の機微を経験しながら、浄瑠璃を作っていく過程にエールを送りつつ読み通せます。(50代女性)

「容疑者Xの献身」東野圭吾

容疑者Xの献身

<あらすじ>
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

愛情と人間関係の物語

ガリレオシリーズで映画にもなった作品です。殺人事件が起きますが、容疑者にはアリバイがあり、アリバイが崩せない警察と、犯人とそれにかかわる家族の話になります。犯人と家族の関係性、湯川教授との関係性がとても深く、ラストの真相、心理描写で涙が出ました。警察と湯川教授がタッグを組んで事件を解決していくのですが、変わり者の先生と警察官の関係性が面白いと思います。おすすめのシリーズです。(30代女性)

「容疑者Xの献身」の関連テーマ

「私の男」桜庭一樹

私の男

<あらすじ>
私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳の淳悟が引き取り、海のみえる小さな街で私たちは親子となった。物語は、アルバムを逆からめくるように、花の結婚から二人の過去へと遡ってゆく。空虚を抱え、愛に飢えた親子が冒した禁忌、許されない愛と性の日々を、圧倒的な筆力で描く直木賞受賞作。

男女の深い繋がりの素晴らしさと恐ろしさ

映画化もされた作品です。地震で孤児になってしまった花を、淳悟が引き取ります。ふたりの関係は、どう表現すればよいのか分からない、愛情なのか、寂しさによるつながりなのか、単純な言葉では表現できないふたりの関係、過去、現在と章ごとに切り替わる展開に気持ちが引き込まれていきます。読み終わった後になんとも言えない余韻の残る作品でした。(50代女性)

「私の男」の関連テーマ

「ホテルローヤル」桜木紫乃

ホテルローヤル

<あらすじ>
【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。

人間の本能を知らしめる作品

主人公が同じ人物ではないという設定で、ラブホテルという場所で繰り広げられる人間模様に焦点を当てている短編集。
作者の実家がラブホテルを家業としていて、作者自身の体験をもとに描かれている作品で、このホテルが完成する当時の経緯を知るところが最後の1編に登場するのですが、経営者である人物の物語が、まるで舞台となっているこのラブホテルの中で起きている非日常的な行為であるかのように感じさせられる、人間の本能を垣間見ることができるお薦めの作品です。(50代女性)

「利休にたずねよ」山本兼一

利休にたずねよ
《あらすじ》を見る

ただ一人の女の為に美を追い求めた生涯

茶道界のレジェンド、歴史のフィクサーなど様々な人物像で小説が書かれる千利休が主人公。誰よりの美を追い求め、茶の湯に向き合った利休。その情熱はなぜ生まれたのか。利休最大の謎に迫った本作では、利休の秘められた初恋をテーマにしています。
忘れようにも忘れられない、唯一人の女の為に茶を点て続けた利休を様々な人の目線から鮮やかに描き上げた作品です。最終章で明かされる秘められた恋の物語の切なさに誰もが、利休が茶の湯に人生をかけ、切腹までした事を納得すると思います。(30代女性)

「利休にたずねよ」関連テーマ

「梟の城」司馬遼太郎

梟の城

<あらすじ>
織田信長によって父母と妹、そして一族を惨殺された怨念と、忍者としての生きがいをかけて豊臣秀吉暗殺をねらう伊賀者、葛籠重蔵。相弟子で、忍びの道を捨て仕官をし、伊賀を売って、重蔵を捕えることに出世の方途を求める風間五平。
戦国末期の権力争いを背景に、二人の伊賀者の対照的な生きざまを通して、かげろうのごとき忍者の実像を活写し、歴史小説に新しい時代を画した直木賞受賞作品。

迫力がありスピード感のある復讐劇

とにかく全体的にテンポ感のある作品なので、最初からラストまで一気に読めますし、時代背景も非常にリアルに描かれているので、読みながら自然とその背景が浮かんでくるような感覚がしました。また、復讐劇なので妙に共感できたり感情移入できる場面も多かったですし、一度読み始めると時間を忘れてしまうほどに夢中になれるのでおすすめです。(30代男性)

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小説