京都に行きたくなる。京都が舞台の小説
そうだ、京都に行こう!と思ってもなかなか行けない時、京都が舞台の小説を読んでみるのはいかがでしょうか。
古都ならではの風情溢れる味わいが楽しめる物語を10選ご紹介します。きっと京都に行きたくなることでしょう。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
作者:七月隆文
<あらすじ>
京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて――。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。
数奇な出会いをした不思議な恋の物語
叡山電鉄で出会った二人の描写を読んでいて、叡山電鉄で鞍馬に旅したときのことを思い出しました。二人のしっとりとした雰囲気や京都での各地でのデートは京都のいろいろな思いでがめぐりました。夫の実家が京阪電鉄沿いなので、知ってる地名も多く、より楽しく読めました。映画化もされていて、映画は京都の各地の風景が楽しめておすすめです。(40代女性)
若い男女の儚い恋愛物語
京都の美大に通う主人公。通勤電車内に突然現れた女性に一目惚れをし、声をかけた。そこから2人の距離は縮まっていき、交際に発展した2人は京都の街並みを背景に数々の場所にデートへ出かける。どことなくノスタルジックでレトロな時代の雰囲気が京都の街並みとマッチしていて、都会や時代の喧騒から逃れたい時に何度も見返したくなるような作品。(20代女性)
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の関連テーマ
夜は短し歩けよ乙女
作者:森見登美彦
<あらすじ>
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!
ユニークなファンタジーを絡めた恋愛喜劇
4部構成になった小説で京都の街を舞台に物語が展開します。舞台として下鴨神社、木屋町が登場します。京都の街を舞台に怪しげかつ面白くて笑える要素が入った娯楽作品です。主人公は恋する冴えない大学生で、意中の彼女との仲を深めるためにあれこれの試練を受けることになります。他に類を見ない特性をもつユニークな人物が織りなすクスリと笑える人間模様がとても面白い作品です。(30代男性)
著者による圧倒的な京都愛
まず、本作の見どころとして挙げるべきは、やはり著者の類まれなる京都愛が惜しげもなく感じられる圧倒的なこだわりと言っても過言ではありません。実際に住んでいたからこそ描けるものも多く、まるで京都観光でもしている錯覚にさえさせられます。そして、例によって繰り広げられる森見登美彦ワールドに引きずり込まれ、読む手が止まらなくなること請け合いです。(20代女性)
四畳半神話大系
作者:森見登美彦
<あらすじ>
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい! さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。
私から始まるもしもシリーズ
この物語は私という語り口からはじまる、主人公が大学に入学してからの小津というつかみどころのない人物との特殊な人間関係を描いてもしこうだったらどうなっていたかのようなもしもシリーズがさまざまな分岐点ごとに展開されていくストーリーです。多分この主人公の住んでいるところからみて京都大学に通っているんだろうなと思い、京都で生活を過ごした人ならわかるネタがおもしろいです。(40代女性)
初恋料理教室
作者:藤野恵美
<あらすじ>
京都の路地に佇む大正時代の町屋長屋。どこか謎めいた老婦人が営む「男子限定」の料理教室には、恋に奥手な建築家の卵に性別不詳の大学生、昔気質の職人など、事情を抱える生徒が集う。人々との繋がりとおいしい料理が心の空腹を温かく満たす連作短編集。特製レシピも収録!
京都が舞台のあたたかい料理と愛の物語
京都にある「男子限定」の時間帯の料理教室に通う生徒4人と先生の物語です。料理教室に通う男性が章ごとに主人公になり、それぞれの恋愛を短編にしています。
恋愛をしたことがない人のはじめての「恋」、経験豊富なフランス人男性の「恋」、不器用な男性による長年連れ添ってきた妻への「恋」。色々な年代の人の恋が、料理教室で習う料理と絡め合わさり描かれています。
料理の描写も登場人物の心情の描写もわかりやすく、中高生にもおすすめです。舞台が京都であるため、京都ならではの話も盛り込まれていて、京都に親しくはない私でも京都にいってみたいな、と思えます。
どの年代の人にも一度は読んでもらいたい、とても純粋で読んだら気持ちがあたたかくなる話です。(20代女性)
メイド・イン京都
作者:藤岡陽子
<あらすじ>
婚約したばかりの美咲が、彼の実家のある京都に移住した途端に浴びる数々の洗礼。また実家で豹変する彼に幻滅し、美咲は昔からの趣味であるTシャツ作りにのめり込む。徐々に美咲は京都の地で個人ブランドの独立・起業への道を歩き始める。自分らしい生き方を模索する一人の女性の物語。
女性の生き方選択の物語
結婚して描いていた生活を送ろうと京都へ転居。京都という土地独特の環境、人との接し方に戸惑いながらも、新しい人生を歩もうとする。
希望を持ちながら進むが、いくつもの障害が生じ、数々の人びとの出会いが彼女の人生を変えていく。変わらないのは彼女のもの作りへの情熱だ。応援してくれる人があり 、たいへんな事をいくつもくぐり抜けながら、また人生を進めていく。思うようにならなくても、人生は進んでいく。
京都での生活が厳しくても転居しないところにも彼女の芯の強さを感じる。私自身のこれまでとこれからを考えさせてくれる一冊となった。(50代女性)
異邦人
作者:原田マハ
<あらすじ>
「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。
一枚の絵画が問いかける物語
出産を前に、結婚相手の一輝と住んでいた都内のマンションを離れて、京都にあるホテルにしばらくの間、仮住まいをすることにしました。ある日、鬱々とする気分を拭たくて、ある老舗の画廊を訪れた菜穂は、画廊の応接室に掛けられていた1枚の絵画を見た途端、心を奪われるのでした。絵画を描いた女性は、発音障害を患っていることを知る菜穂。語らずに語られるものに、心を揺らされる物語です。
京都大文字送り火 恩讐の殺意
作者:柏木圭一郎
<あらすじ>
京都のシンボル、東山如意ヶ岳。通称・大文字山の「大」の字を汚すように他殺死体が発見された。被害者は、京都有数の名店「料亭みなみ川」の主人・南川和雄。第一発見者であるカメラマン・星井裕は京都府警の刑事をしている元妻・安西美雪とともに事件の謎を追う。捜査が混迷を極めるなか、またも高名な料理人が死んだ……。千二百年の歴史を背負いながら生きる京都人が、命を賭してでも守り通したいものとは何なのか?
元夫婦が織りなす名推理
京都五山送り火は京都人には外せないお盆の伝統行事です。その一つである東山如意ヶ嶽の大文字送り火が舞台となった殺人事件が起きるのがこの小説の幕開けです。
主人公のカメラマンが第一発見者となってしまい、そこから元妻である女性刑事との謎解きと新たな事件の始まりです。実際に京都で執り行われている馴染のある行事や実在するお店を名を変えて登場させているところ等、京都の風情が味わえながら小説の展開も楽しめるお薦めの作品です。
聖なる怠け者の冒険
作者:森見登美彦
<あらすじ>
社会人2年目の小和田君は仕事が終われば独身寮での夜更かしを楽しみとする地味な生活。ある日、狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」との出会いから、めくるめく冒険の一日が幕を開ける。第2回京都本大賞受賞作!
ヘンテコ冒険ミステリー?
森見登美彦ワールドが炸裂していて、京都の不思議な魔力のような、どこか異世界のようにも感じる魅力が詰まっている。これを読むとつい京都に行きたくなる。
祇園祭には実際に行ったことがないけれど、これを読むとその祭りの熱気がありありと感じられて、お祭りのどんちゃん騒ぎの中に放り込まれる体験をしたような気がする。そのせいか読み終わった後はどこか寂しくなる。(20代男性)
きつねのはなし
作者:森見登美彦
<あらすじ>
「庭に誰かいますか」私が尋ねると、天城さんはふいに顔の皮膚が突っ張ったような表情をした。眼球が動きを止めて、深い眼窩の中で凍りついたように見えた。「庭に? 誰が? 」彼は私の顔を見つめたまま鋭く言った。(本文より)「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝"を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は? 底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
京都の闇を感じる和製ホラー
森見登美彦さんのあの独特の文体ではなく、初めは驚きました。綺麗で薄ら怖く、ひたひたと迫って来るような怪談。
舞台は京都の骨董屋で、4篇からなる奇譚集です。ひとつの出来事を、それぞれの主人公の視点から見た話だと思いました。
雰囲気で読ませてくる感じなので、読み手の経験や受け取り方によって怖さの質が変わりそうで、面白いです。
「きつねのはなし」の関連テーマ
金閣寺
作者:三島由紀夫
<あらすじ>
「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り、31歳の三島が自らの内面全てを託した不朽の名作。
究極の孤独感と歪んだ心情
生来のドモリを持つ主人公が抱く金閣寺の心象イメージと現実の金閣寺に対する差異が非常に繊細に描かれています。そして、主人公の社会に対する究極の孤独感も良く表しています。戦前から戦後直後の京都の描写や思いも、やや歪んだ心象スケッチで描かれていて、非常に興味深い内容になっております。最後に金閣寺を燃やさなければイケないと思った主人公の異常心理も見事に書かれています。(40代男性)