九州・沖縄が舞台のおすすめ小説10選

九州・沖縄が舞台のおすすめ小説

九州や沖縄が舞台となっている面白い小説を集めてみました。
日本の南に位置するこれらの地域は、豊かな自然、深い歴史、そして独自の文化を有しています。古くから伝わる伝統や神話、戦時中の悲劇、現代の日常まで、さまざまな時代と人々の生活を反映した物語を通じて、九州と沖縄の深い魅力に迫ります。

地域ごとの風土が生んだ独特の人間関係や、自然との共生、時には厳しい歴史の影を乗り越えてきた人々の強さと優しさを描いた作品を選りすぐって紹介します。九州や沖縄が舞台の小説を読むことでその地の空気を感じることができ、まるでその場所を訪れたかのような体験を提供してくれます。
そんな九州や沖縄が舞台となっている小説を10作品ご紹介します!
九州や沖縄を愛する方はもちろん、これらの地域にまだ足を踏み入れたことのない方々にも、新たな旅のきっかけとなることを願っています。

カフーを待ちわびて

作者:原田マハ

カフーを待ちわびて

<あらすじ>
「嫁に来ないか。幸せにします」
「絵馬の言葉が本当なら、私をお嫁さんにしてください」
から始まるスピリチュアルなほどピュアなラブストーリー。
ゆるやかな時間が流れる、沖縄の小さな島。一枚の絵馬と一通の手紙から始まる、明青(あきお)と幸(さち)の出会い。偶然に見えた二人の出会いは、思いも寄らない運命的な愛の結末へ。
第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞作品。

ほっこりとした恋愛小説

ヒットメーカー、原田マハさんのデビュー作で、沖縄の離島・与那喜島が舞台となっています。祖母から雑貨店を引き継いだ主人公・明青のもとに、ある女性から「私をあなたのお嫁さんにして下さい」という手紙が突然届いて…というストーリーです。
タイトルの「カフー」が「いい知らせ」という意味の沖縄の方言だったり、ユタという霊能力をもつ〝おばあ“が出てきたりと、沖縄の風をしっかりと感じられる一冊です。(40代女性)

「カフーを待ちわびて」の関連テーマ

佐賀のがばいばあちゃん

作者:島田洋七

佐賀のがばいばあちゃん

<あらすじ>
泣いた! 笑った! 感動した!全世界で累計800万部の国民的ベストセラー!文庫刊行20周年記念の決定版!ばあちゃんの言葉をもとに、島田洋七が作った詩も収録!昭和三十三年、広島から佐賀の田舎に預けられた八歳の昭広。そこでは厳しい戦後を七人の子供を抱えて生き抜いたがばい(すごい)祖母との貧乏生活が待っていた。

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パワフルなおばあちゃんの言葉から、力をもらおう。

映画にもなった小説です。著者がお笑いコンビB&Bを組んでいた島田洋七さんということでも話題になりました。
舞台は、佐賀県の田舎です。物語は主人公が広島から佐賀の祖母に預けられることになったところから始まります。主人公の祖母の家は、ものすごく貧乏でした。しかしそれを吹き飛ばすほどの明るさと生活の知恵を祖母は持っていたというお話です。
主人公の祖母の生活の知恵が詰まった言葉がおもしろいです。例を言うと「悲しい話は夜するな。どんなつらい話も、昼したら大したことない。」「貧乏には二通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。」などなど。この小説を読むと、本当にパワフルなおばあちゃんだと感心すると思います。(30代男性)

此の世の果ての殺人

作者:荒木あかね

此の世の果ての殺人

<あらすじ>
史上最年少、選考委員満場一致。
「大新人時代」の超本命!

《あらすじ》を見る

終末世界での謎解きミステリー

あと2ヶ月後には、隕石が落下して世界が滅亡するってわかっている状況なのに、福岡県太宰府市で、主人公は教習所に通い続けているって状況がまず面白いけれど、こんな世界が滅亡する直前に、教習車のトランクから遺体を発見し、その犯人を探すというミステリーが本当に面白かったです。
江戸川乱歩賞に輝いているだけあって、ミステリー要素ももちろん面白いし、主人公と教習所の先生という異色のバディのやり取りも良かったです。(30代女性)

首里の馬

作者:高山羽根子

首里の馬

<あらすじ>
問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。

沖縄の歴史や地理を入れながら、上手くSF作品として昇華させている。

この作品は沖縄が舞台になっているのですが、SF作品なので架空の地域も出てきたりするのが特徴です。
実際に主人公は遠くはなれた見知らぬ地域の人たちにリモートクイズを出すという珍妙なお仕事をしていて、それを通じた人との交流を見ることができます。そんな主人子が宮古馬と出会ってから、奇妙な出来事が立て続けに起こるようになり、いったいどこへ向かっていくのか目が離せなくなる作品でした。(30代男性)

太陽の棘

作者:原田マハ

太陽の棘

<あらすじ>

サンフランシスコにある医院のオフィスで、老精神科医は、壁に掛けられた穏やかな海の絵を見ながら、光と情熱にあふれた彼らとの美しき日々を懐かしく思い出していた……。
結婚を直前に控え、太平洋戦争終結直後の沖縄へ軍医として派遣された若き医師エド・ウィルソン。

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沖縄芸術家たちの生涯

時代は太平戦争終了後、場所は沖縄県の那覇市首里に小さな芸術村がありました。そこでは日本人たちが日々美術に向かい、取り組み、生計を立てていました。その中で当時アメリカ軍で精神科医をしていた主人公エドワードが画家と出会い交流を深めていきます。
時代が終戦後の沖縄と言うこともあり、日本人とアメリカ人との関係性は今ほどよい関係とは言えませんが、その中でも読み進めていく上で芸術と友情の日々の描写が丁寧に描かれており、物語に徐々に引き込まれていきました。
また、玉那覇正吉さんという方をモデルになっている作品でもあるので、沖縄の美術史を知るきっかけにしても良いかと思います。(20代男性)

ホテルジューシー

作者:坂木司

ホテルジューシー

<あらすじ>
大家族の長女に生まれた天下無敵のしっかり娘ヒロちゃん。ところがバイトにやってきた那覇のゲストハウス・ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。昼夜二重人格のオーナー(代理)や、沖縄的テーゲー(アバウト)を体現するような双子の老ハウスキーパーなど規格外の職場仲間、さらにはワケありのお客さんたちにも翻弄されながら、ヒロちゃんの夏は過ぎてゆく――南風が運ぶ青春成長ミステリ!!

一夏のアルバイト物語

沖縄県の那覇市にある小さなリゾートホテルが舞台となっている作品で、沖縄ならではの緩やかな雰囲気の中に坂木司さんならではの個性的な登場人物や人間関係の面白さが光っています。
主人公の浩美の生真面目さと沖縄県のゆるさがいい具合に対照的になっていて、その環境に少しずつ慣れていく浩美の様子が可愛くも感じられました。(30代女性)

新本格魔法少女りすか

作者:西尾維新

新本格魔法少女りすか

<あらすじ>
己の野心のため「使える手駒」を探す、小学生らしからぬ小学生・供犠創貴は、赤い髪に赤い瞳の転校生・水倉りすかが『赤き時の魔女』の名を持つ魔法使いだと知る。りすかは、神とも悪魔とも称される大魔導師の父を追い、『魔法の王国』から『城門』を越えてやって来た。予測不可能、縦横無尽の魔法冒険譚!

西尾節全開の魔法使い「使い」の物語

魔法使いが住む長崎県から来たり、父親を捜す魔法使いの少女りすかと、佐賀県に住む魔法が使えない普通の少年供犠創貴の戦いと冒険を描いた小説です。
台詞回しや描写に西尾維新らしさが存分に出ていて、特に主人公のキズタカは戦いの場において魔法が使えない(=普通なら戦いにまともに参加できない)という身でありながら、頭脳と度胸と覚悟、そして魔法使いたち持てるモノの傲慢や油断といった隙を衝く強かさをもって、場をかき乱し支配するのが本当に面白いです。
策士タイプの主人公が好きな方にオススメです(30代男性)

ひめゆりの塔

作者:石野径一郎

ひめゆりの塔

<あらすじ>
太平洋戦争末期の沖縄戦。女子師範と第一高女の女学生ばかりで結成されたひめゆり部隊の二百人が野戦病院を出発し、砲撃の中を米須の洞窟に向かい、玉砕するまでの九十日を描く。慕われた先生も、かけがえない親友も、妹も、次々に落命していく……。沖縄を盾として、乙女たちに死の行進を強いた軍閥への深い憎しみと怒り、戦場に散った若い生命への愛惜が胸に迫る名著。

苛酷な戦火で生きる女学生の物語

沖縄県の首里市、那覇市辺りが舞台となっている小説です。太平洋戦争の中、野戦病院で特使看護隊として従事する女学生たちの直面する現状が描かれていて、とても読みごたえがありました。
若い看護隊として兵士の手当てをするだけでなく、彼女たちもその戦火の中にいるので本当に苛酷だと思いました。それでも、どこか希望を失わずにいる女学生の姿に心打たれました。(40代女性)

沈黙

作者:遠藤周作

沈黙

<あらすじ>
「転びキリシタン」もまた、「神の子」なのか?
カトリック作家が描く、キリスト教文学の最高峰。

《あらすじ》を見る

キリシタン迫害の中、なぜ「神」は沈黙を通されるのか

江戸時代の長崎県、島原地域が舞台の小説です。島原の乱後のキリシタン弾圧の中で、イエズス会司祭が迫害を受けながらキリスト教の教義を自問自答する内省的な小説となります。作者本人が敬虔なキリスト教徒ということもあり、私自身はキリスト教徒ではないですが、キリシタンの心情描写に迫るものがあり、繊細な描写が卓越していると感じました。また、迫害をする奉行所の人々のキャラクターも魅力的です。(40代男性)

翔ぶが如く

作者:司馬遼太郎

翔ぶが如く

<あらすじ>
司馬遼太郎畢生の大長編!
西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし維新とともに出発した新政府は内外に深刻な問題を抱え、絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発。西郷は自ら主唱した“征韓論”をめぐって大久保と鋭く対立する。それはやがて国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく――。西郷と大久保、この二人の傑人を中心軸に、幕末維新から西南戦争までの激動を不世出の作家が全十巻で縦横に活写する。

九州各地で実際に起きた近代化を巡る激しい戦い

鹿児島県(薩摩藩)出身の西郷隆盛と大久保利通を中心とした歴史小説で、物語全体は幕末から明治政府初期、そして西南戦争までの広い範囲の物語ですが、終盤の西南戦争においては、鹿児島県と宮崎県そして熊本県が主な舞台となります。
幕末期の薩摩藩の武士たちが同じ薩摩藩出身の大久保利通の近代化に反発し、西郷隆盛をリーダーに反乱を起こします。
極めて長編でしたが、九州各地の地理を克明に解説し、現代のどのあたりで戦いが起きたかを詳細に記述していて、読者にとって改めて九州の各地を巡る際にこの場所で、こうした出来事が起きたのかと改めて感じさせてくれるなかなか興味深い小説であると感じました。(50代男性)

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