夏に読みたくなる、夏を感じる小説14選

2022年4月7日

夏に読みたくなる小説

夏の冒険、甘酸っぱい体験、汗をかき涙した青春、お祭りの屋台、そしてちょっと怖い話などなど、夏に読みたくなってくる、夏を感じる小説を集めてみました。

夏の庭―The Friends

作者:湯本香樹実

夏の庭―The Friends

<あらすじ>
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ―。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

懐かしい過去と輝かしい未来

この本を読んだあとに、これからの人生観や少年たちの成長がとても印象的に残るインパクトのある夏の物語だと思います。私の年齢だとこういう小学生時代があったなあと思い返してみたり、おばあちゃんになったらお手本となるような歳のとり方をしたいなあと思わせてくれるストーリーだと思います。夏の日記みたいな描かれ方なので読んでいてすっきりします。(20代女性)

心に響き懐かしさも感じる物語

読んでいて自分の子供の頃の夏の思い出が鮮明に甦ってきますし、懐かしさはもちろん心に響く言葉も沢山あるので、年齢関係なく感受性が豊かになれます。
また、夏はもちろんですが、人生として振り返ったり考え直すことのできる作品なので何度読んでも学ぶものが多くありますし、読む時の気分で感じ方も変わるので、ずっと読み続けることができる一冊だと感じました。(30代男性)

「夏の庭―The Friends」の関連テーマ

ぼくらの七日間戦争

作者:宗田理

ぼくらの七日間戦争

<あらすじ>
明日から夏休みという暑いある日のこと。東京下町にある中学校の1年2組の男子生徒が全員、姿を消した。彼らは河川敷にある工場跡に立てこもり、そこを解放区として、体面ばかりを気にする教師や親、大人たちへの“叛乱”を起こした!女子生徒たちとの奇想天外な大作戦に、本物の誘拐事件がからまって、大人たちは大混乱に陥るが―。何世代にもわたって読み継がれてきた、不朽のエンターテインメントシリーズ最高傑作。

学生と親、教師との術を得るための戦い

明日から夏休みという時に同じクラスの中学生男子が急にいなくなり、学校の厳しい校則や親への反発を元に使われなくなったたて物に籠城して自由の権利を奪い取る戦いにハラハラドキドキしました。
青春時代、ここまで自分達で何かできるのか、そして、何もしないでじっとしているだけで良いのか考えさせられる小説です。(40代女性)

バッテリー

作者:あさのあつこ

バッテリー

<あらすじ>
「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。―関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。巧に対し、豪はミットを構え本気の野球を申し出るが―。

野球を通した、心温まるヒューマンストーリー

私が小学生の頃、初めて自分のお小遣いで買った小説があさのあつこさん原作の「バッテリー」全6巻で、映画化やドラマ化をもされた名作です。
この小説が出た頃は中学生で日々、野球部で汗を流す日々を送っていました。
丁度、季節も、自分の所属していた野球部が夏の大会まっ只中で、その頃に読んでたバッテリーという小説に出てくる主人公も中学生の野球少年で情景が野球小僧だった自分とリンクしたのを今でも懐かしく感じます。また、この小説は野球の話だけではなく、野球に繋がるチームワークや仲間、友達、青春、家族だったり、ヒューマンドラマ的な部分も垣間見えるところが何とも色々と考えさせられる小説ですし、今自分の人生の指針となる小説のひとつとなっています。(20代男性)

「バッテリー」の関連テーマ

向日葵の咲かない夏

作者:道尾秀介

向日葵の咲かない夏

<あらすじ>
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

怖いけど切なく悲しくなるお話

夏の蒸し暑い描写が多いのに、作者の表現方法で全く暑苦しく感じない。
疑問の場面が多く、その疑問が読んでいる最中なかなか解けなくて、最終的にそうだったのかと同時にブルッと全身寒気がきて仕方ない。夏の蒸し暑い時期に読むのがとてもオススメです。何度読み返しても飽きもしない作者の技法がとにかく素晴らしく是非読んでほしい。(40代女性)

巧妙な叙述トリックに騙される

第6回本格ミステリ大賞候補にもなった名作で、生まれ変わりを信じる少年のある夏休みの物語です。登場人物それぞれがどこか怪しく、読み進めるにつれてだんだんその違和感が読者を襲ってきます。ラストは想像できない結末です。ぞわぞわとした、なんともいえない読後感は唯一無二で、何度も読み返したくなってしまいます。(20代女性)

「向日葵の咲かない夏」の関連テーマ

君が夏を走らせる

作者:瀬尾まいこ

君が夏を走らせる

<あらすじ>
ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて――。きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。

子育てに奮闘する一夏の物語

高校生の主人公である大田くんが夏休みに先輩の子供、鈴香ちゃんの子守をすることになりました。子育てができるわけがないと思い、断ったが、鈴香の面倒を見る人がいないので、大田くんが見ることに。
鈴香との子育てに最初は奮闘しながらも、鈴香との距離が近くなっていく姿が印象的です。鈴香と別れるシーンは込み上げるものがありました。(40代女性)

天国の本屋 恋火

作者:松久淳 + 田中渉

<あらすじ>
ある日突然、ピアニスト健太は謎のアロハシャツ男ヤマキに声をかけられ、天国の本屋に短期バイトとして連れてこられた。そこで彼は、ある女性ピアニストに出会う。一方、飴屋の娘香夏子は商店街復興のため、花火大会開催に向け奔走していた。そこで彼女は「その花火を見ればふたりの恋は成就する」という伝説の花火師に出会う。天国と現世。ふたつのストーリーが同時進行するなか、花火大会当日、ついにある“奇跡”が訪れる―。

花火とピアノで人々が繋がる物語

天国の本屋シリーズのひとつ。
未練を残したまま亡くなった人とこの世の人とを繋ぐ、天国の本屋の話です。天国側とこの世側でバラバラだった話が、最後へいくにつれ、繋がっていきます。
今作は、リストラされて天国の本屋で働くことになったピアニストの男性と、昔の花火大会を復活させようと奔走する女性の物語。
夏に向けて心高まり、そして温まる、読みやすい一冊です。(30代女性)

八月の舟

作者:樋口有介

八月の舟

<あらすじ>
「思い出した?」「なにを」「昨夜わたしにキスしたこと」ぼくは十七歳、北関東の街で、やたら生活力のあるお袋と暮らしている。けだるい夏休みのある日、つかみどころのない美少女・晶子に出会った。親友の田中くんと仲がいいのは気になるが、ぼくは晶子に惹かれてゆく。無茶なドライブをしたり、ビールをあおったり、大人の世界を覗き見したり…そんなゆるやかな日が、ずっと続くような気がしていたんだけど…。小さな街のリアルな青春を描き出した、傑作小説。

高校生男子が一夏を通して成長する物語

いわゆるコメディ小説ではないのですが、主人公の高校生の男の子が結構シニカルというか生意気で、軽妙な語り口と滑稽な会話がクスリと笑えます。まさに職人技で、あまり類を見ないタイプの主人公です。
しかし実は作中で語られる主人公を取り巻く環境は結構暗く、それなのに飄々としているところにギャップがあり、物語に引き込まれます。(20代男性)

クライマーズ・ハイ

作者:横山秀夫

クライマーズ・ハイ

<あらすじ>
1985年、御巣鷹山で日航機が墜落。その日、北関東新聞の古参記者・悠木は同僚の元クライマー・安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑むはずだった。未曾有の事故。全権デスクを命じられ、約束を違えた悠木だが、ひとり出発したはずの安西はなぜか山と無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残して――。若き日、新聞記者として現場を取材した著者みずからの実体験を昇華しきった、感動あふれる壮大な長編小説。

仕事に賭ける思い、矜持とは。

1985年8月の日航機墜落を題材にした小説。
地方新聞社に所属する記者たちのぶつかり合い、嫉妬、熱量がおびただしく、まさに仕事に命をかけるプロとしてのマスコミの姿が生き生きと描かれている。古臭いのかもしれないが、昭和の男くささがあふれ、仕事への向き合い方はどうあるべきかと改めて問われているような気になった。(50代男性)

対岸の彼女

作者:角田光代

対岸の彼女

<あらすじ>
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

青春時代で思春期の葛藤物語

青春時代という思春期の年齢で、そんな年齢の頃の難しい心理接写を非常にリアルに描かれていますし、読んでいるだけでその背景が浮かんでくるような感覚になれるので、作品の世界に入り込みながら読むことができました。また、登場人物は多いですが、多くても一人一人の設定や物語が丁寧な分更に個性が活きていますし、色々な人物に感情移入ができ大変良かったです。(30代男性)

ペンギン・ハイウェイ

作者:森見登美彦

ペンギン・ハイウェイ

<あらすじ>
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした──。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。

不可思議な謎に少年が迫る。

少年と妙齢の女性による優しくも切ないストーリーに胸をうたれました。また、少年の生活圏で次々に起こる不可思議な謎について独自で調査を進めていく場面では、少年の豊富な知識や好奇心旺盛な性格が大いに生かされており、読んでいて非常に面白かったです。些かおませなところは、森見登美彦作品の醍醐味とも言え、その諧謔がたまりません。(20代女性)