桜が咲く季節に読みたい!春にぴったりの小説10選

2023年2月26日

春に読みたい小説

「春」に読みたくなる小説を集めてみました。
桜の季節。寒い冬が終わり、次第に温かくなる。新生活が始まり、何かが起こりそうな期待ともに不安もある出会いの季節。
桜の季節にぴったりな、春に読みたくなる小説10作品をご紹介します。

小説 秒速5センチメートル

作者:新海誠

小説 秒速5センチメートル

<あらすじ>
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」。いつも大切なことを教えてくれた明里、彼女を守ろうとした貴樹。二人の恋心の彷徨を描く劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を監督自ら小説化。

叶わない初恋と世界(人生)の美しさ

主人公(遠野貴樹)と主人公の人生に関わる女性(篠原明里、澄田花苗、水野理紗)の出会いと思い出と別れが描かれている。アニメ映画が先に公開された本作だが、アニメの繊細な風景描写に負けないぐらい丁寧に登場人物の心情描写がなされている。
日本人にとって出会いや別れを想起させる桜の花の描写が盛り込まれており、読後は感傷的な感情が心を埋め尽くすような作品で、桜の季節になるとときどき読み返したくなる。(30代男性)

君の膵臓をたべたい

作者:住野よる

君の膵臓をたべたい

<あらすじ>
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。読後、きっとこのタイトルに涙する。

青春の宝の時間を回顧する物語

物語の情景に桜がとても多いので、春のイメージ満載の小説だと思います。ヒロインの名前も山内桜良ということで、これも桜の季節にとても合うのです。
物語は膵臓を患っていたヒロインの余命に付き合っていく「僕」とそのヒロインの人間的成長物語で、涙なしでは読めないとてもピュアな作品です。ヒロインと生きた青春の時間の美しさを、これほど秀逸に表した作品は数少ないと思います。(60代男性)

「君の膵臓をたべたい」の関連テーマ

春期限定いちごタルト事件

作者:米澤穂信

春期限定いちごタルト事件

<あらすじ>
小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語。

高校生の決して甘くはない、少しビターな青春ミステリー

「小市民シリーズ」の第一弾に当たる作品であり、たまたま私が初めて読んだのが春っていうこともあり、やっぱり春に読みたくなる作品です。
米澤穂信さんというと「氷菓」が有名ですが、こちらの作品では小鳩くんも小左内さんも、大人しそうに見えて結構性格が悪いのが良い。特に小左内さんの食べ物の恨みは怖い。すごく親近感が湧く青春ミステリーだなって思ってます。(30代女性)

給食のおにいさん

作者:遠藤彩見

給食のおにいさん

<あらすじ>
コンクールで優勝するほどの腕をもちながら、給食調理員として働くことになった料理人の宗。子供嫌いな彼を待っていたのは、保健室登校生や太ってしまった人気子役など問題を抱える生徒ばかり。さらにモンスターペアレントまで現れて。すべてのトラブルは、「調理場」で解決! 笑いと感動そしてスパイスも効いた食育&青春小説。

給食調理を通しての人間的成長

コンクールで優勝をするほどの腕をもちながら、給食調理員として働くことになった料理人の佐々目宗。子供嫌いで、給食調理に対しても思うことが沢山あり、周りの反感を買ってしまう振る舞いもしてしまいます。
そんな彼は、給食を食べる子供達の様々な問題に直面します。その問題をどうにか解決しようと食と向き合い、人と向き合い、彼自身が成長していく物語です。

この本は現在5巻まで出ており、2巻目からは「給食のおにいさん」の下に「進級」や「卒業」など彼自身が成長しているのが分かるタイトルになっているのもおすすめの一つです。春は何かに挑戦し、成長していく季節だと考えています。そんな季節に背中を押してくれる小説だとも言えます。(10代女性)

「手紙屋」蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙

作者:喜多川泰

「手紙屋」蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙
《あらすじ》を見る

たった10通の手紙があなたのやる気を引き出す物語

受験生にもかかわらず勉強をする気が起きない主人公が、「手紙屋」と文通を始める物語。
手紙屋は10通のやりとりで主人公の勉強欲を刺激するが、その方法が面白い。最初はやる気のなかった主人公が、10通終わるころには勉強がしたくて仕方ない状態にまで誘導させられるさまは、何度読み直しても見事に思える。
春は新学期・新生活の時期で、新しいことにチャレンジする際の準備期間に読みたくなる。(20代女性)

「手紙屋」の関連テーマ

和菓子のアン

作者:坂木司

和菓子のアン

<あらすじ>
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(うめもときょうこ)(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの18歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!

可愛いアンちゃんのほっこり成長物語

進路がはっきりせず、アルバイトとして働き始めたデパ地下の和菓子店で色んな従業員やお客さん、そして和菓子と出会い、少しずつ成長していく主人公の姿を見ていると、自分も一歩ずつ頑張ろうと思えます。新しいことを始めたり、新しい出会いのある春という季節に自分の背中を少し押してくれるような作品になっていると思います。(30代女性)

「和菓子のアン」の関連テーマ

最後の医者は桜を見上げて君を想う

作者:二宮敦人

最後の医者は桜を見上げて君を想う

<あらすじ>
続々重版、25万部突破!本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
死を肯定する医者×生に賭ける医者
対立する二人の医者と患者の最後の日々――
衝撃と感動の医療ドラマ!

最期のその時の選択肢

医療現場での命の終わらせ方をいうものを考えさせられる小説となっています。
職場から疎まれる死神と呼ばれる医者が手術の成功が少ない患者や感知不可能な患者と話し合って、命の選択をしていくという話です。
終わっていく命の儚さと、桜の花の儚さが重なってとても切なく、命の使い方を考えさせられる話なので、桜の咲く春に読みたい作品と思いました。(20代女性)

花のあと

作者:藤沢周平

花のあと

<あらすじ>
娘盛りを剣の道に生きた武家の娘、お以登にも、心中ひそかに想う相手がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手・江口孫四郎である。女剣士の昔語りとして端正に描かれる異色の表題作のほか佳品七篇(「鬼ごっこ」「雪間草」「寒い灯」「疑惑」「旅の誘い」「冬の日」「悪癖」)。

武家の老婆が語る、若き日の叶わなかった恋とその想い人の理不尽な死への敵討ちの顛末、そして夫との馴れ初め

時代小説で有名な藤沢周平の作品の一つです。北川景子主演で実写映画化もされたことがあります。この作品自体は、時代小説は、難しくて取っ付きづらいと思っている方も多いと思いますが、藤沢周平の作品は読みやすいです。作中の花見のシーンが素晴らしいので、春にぴったりの時代小説です。

作品の主人公は、以登(いと)という名の武家の娘です。作品自体は、彼女が老年になって、自分が娘時代に経験した恋を孫たちに語るという形になっています。
以登の父は、夕雲流という剣技を極めた剣の名人で、若い頃に江戸詰めを命じられ、その任が解かれた後も夕雲流を極めるためだけに江戸に残り続けて修行し続けた人でした。そのため、国に帰っても出世は出来ず、一度帰郷した折に結婚した妻を長年待たせたため、子供も以登一人だけしか授かることが出来ませんでした。
しかし、父親は以登に、自身が学んだ夕雲流の剣技を教え込み、以登もそれを喜びとして育ちます。そんな剣一筋の以登が年頃となり思いを寄せた相手がおりましたが、彼は別の女性と結婚した後に、江戸詰めの際に理不尽な形で切腹する羽目に。以登は、そんな彼の無念を晴らすために立ち上がるのです。(30代女性)

葉桜の季節に君を想うということ

作者:歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ
《あらすじ》を見る

まさかのどんでん返し

物語の題名にも桜という言葉が入っていることからも分かる通り、春が舞台の小説になります。
元探偵の主人公が霊感商法の調査を依頼することから物語が始まりますが、そこから数々の困難に巻き込まれていきます。
ただのミステリー小説かと思いきや、それだけにはとどまらず、物語を最後まで読んだ後、必ずもう一度読み返したくなるような内容になっています。(20代男性)

春琴抄

作者:谷崎潤一郎

春琴抄

<あらすじ>
盲目の地唄の名手・春琴は丁稚奉公の佐助と心を通わせていく。そんなある日、お琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。そのとき佐助は――。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。

女主への使用人の献身的な愛の物語

盲目の三味線奏者、類い稀な美貌を持った春琴とその使用人である佐助のお話を第三者目線で書いたものです。
幼い頃に失明した春琴が好んでいた雲雀(ひばり)。雲雀は繁殖期の春になると天高く飛んでさえずる「揚げ雲雀」と呼ばれる習性があります。春になると姿は見えずとも雲雀の鳴き声がどこからか聞こえてきます。目の見えない春琴がこの降り注ぐようなさえずりで春を感じ、四季のうつろいを味わっていたのだなぁと思います。

この物語は佐助の春琴への献身的な愛が描かれており、谷崎潤一郎の傑作として現代でも多くの人に親しまれています。この時代の小説に読み慣れていないとちょっと苦戦するかもしれませんが、一度ハマると癖になると思います。(30代女性)