男女の友情が描かれた小説10選

2022年8月22日

男女の友情小説

男女の厚い友情が描かれた小説を集めてみました。
男女の友情は成立するのか?友達以上恋人未満の淡い青春の友情から、長年の信頼がある大人の厚い友情まで、様々な男女の友情を描いた小説10作品をご紹介。

「沖で待つ」絲山秋子

沖で待つ

<あらすじ>
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作。

男性と女性の深まる絆

社会人としてとにかく日常的なストーリーで、読んでいてもノンフィクションのように感じられますし、仕事を通しての男女の友情なので、仕事上の立場関係なく男女が共存している展開にはとても共感できました。
また、男性と女性でここまで絆が深まるのは読んでいてもとても興味深かったですし、現実でも参考にしやすく非常に良かったです。(30代男性)

現代社会では正にあり得るであろう男女の友情物語

大手の企業に勤めるキャリアウーマンの主人公と同期入社した男性社員太っちゃんとの友情物語です。
主人公も太っちゃんもどこにでもいるようなごく普通の会社員で、その普通さがリアリティを感じさせてくれます。総合職に就く女性が増えた現代社会ならではの性差を超えた、恋愛にはいきつかない男女の友情というストーリーはドキュメンタリーのようにも感じられるお薦め作品です。(50代女性)

「一人っ子同盟」重松清

一人っ子同盟

<あらすじ>
ノブとハム子は、同じ団地に住む小学六年生。ともに“一人っ子”だが、実はノブには幼いころ交通事故で亡くなった兄がいて、ハム子にも母の再婚で四歳の弟ができた。困った時は助け合う、と密かな同盟を結んだ二人は、年下の転校生、オサムに出会う。お調子者で嘘つきのオサムにもまた、複雑な事情があって――。いまはもう会えない友だちと過ごしたあの頃と、忘れられない奇跡の一瞬を描く物語。

恋を意識し始める少し前の男女の友情物語

今では当たり前の「一人っ子」が珍しかった昭和時代の物語。主人公であるぼくと同じ団地に住むハム子の男女を越えた友情が描かれます。
恋を意識し始めるちょっと手前の年頃の男の子と女の子の間に流れる空気は、美しく尊さがありました。また、主人公の心理描写が丁寧なのでとても読みやすかったです。なんとなく後を引く心地よさが残る作品でした。(30代女性)

「夜のピクニック」恩田陸

夜のピクニック

<あらすじ>
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

高校生の頃の自分を思い出せてくれる物語

読み終わった後、読者を高校生の頃にタイムスリップさせてくれるような作品です。
歩行祭というただ歩くだけのイベントを通して、高校生ならではの仲の良い男女グループの会話が、何だかんだ甘酸っぱく懐かしいような気持ちにさせてくれる青春小説です。
恩田陸さんの文章はとても読み易く、知らず知らず小説の中に引き込まれてしまうような魅力があります。(60代男性)

「夜のピクニック」の関連テーマ

「ありふれた風景画」あさのあつこ

ありふれた風景画

<あらすじ>
高2の琉璃は「ウリをやっている」という噂を流され、上級生に絡まれていたところを美少女・綾目周子に助けられる。周子もまた、動物や自然の声と対話ができるという特異な能力をもつために、周囲から浮いた存在だった。2人は魅かれあい、互いをかけがえのない存在として純粋に求めていくが――。親、姉妹、異性…一筋縄ではいかない関係性に悩む10代女子の、脆くてフキゲンな日常。大ヒット「バッテリー」シリーズのあさのあつこが贈る、瑞々しい青春小説!

思春期の複雑な心情を描いた物語

主人公の瑠璃が大切な人を失ってしまった洋祐に対して程よい距離間で接しているシーンにぐっときました。むやみに励ましたり、逆に気を遣ってそっとしておくのではなく、洋祐の心の声をしっかりと聞こうとしているのが伝わってきて、素敵な関係だなと思えました。恋愛感情や下心がなく、まっすぐな心で洋祐や好きな人に接している瑠璃に魅了されました。(30代女性)

「砂漠」伊坂幸太郎

砂漠

<あらすじ>
この一冊で世界が変わる、かもしれない。仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。 明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

平凡な日常などないのかもしれない。

ふとしたきっかけで出会った男女5人の大学生たちの恋と友情のストーリーです。
個性的な面々が事件に巻き込まれながら成長していきます。勉強熱心な学生ではなく、けっしてスマートな行き方でもない…事件に巻き込まれるのは困るけど、こんな学生時代を過ごしてみたかったと思える小説です。壁にぶつかった時、言葉ではなく行動で寄り添ってくれる姿が印象的でした。
読後の爽快感は格別です。(50代女性)

「何者」朝井リョウ

何者

<あらすじ>
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。

エントリーシートの僕たちは何者かを問う物語

就職活動中の同じ大学の学生たちを描いた小説です。
5人の大学生が登場し、プライドの高い女の子や、自信があるようないような適当だけど憎めない男の子がエントリーシートを見せ合いながら就職活動を繰り広げます。
ところどころ、それぞれがTwitter上に呟く本音が織り交ぜられ、それは互いに明かさないものであることが物語を面白くさせ、タイトルの「何者」とはエントリーシートに自分たちが問うことのようにも思えます。(30代女性)

「何者」の関連テーマ

「よるのばけもの」住野よる

よるのばけもの

《あらすじ》
夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて――

性別や立場を超えた絆の物語

夜になると化け物の姿に変わってしまう主人公が、夜の学校でクラスメイトに遭遇する。そのクラスメイトが、いじめられている変わり者の女の子だった…というお話です。
夜の学校で、その女の子と仲良くなるにつれて、いじめを傍観するのが辛くなっていく主人公の葛藤が描かれています。小学生という低い年齢設定なので、シンプルな言葉が胸に刺さってくる小説です。(20代女性)

「一瞬の風になれ」佐藤多佳子

一瞬の風になれ

<あらすじ>
春野台高校陸上部、1年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第1部、スタート!

4継に青春を駆ける友情の物語

高校の陸上部を舞台にした作品です。
主人公の新二はスプリンターとして才能のある幼馴染の連に誘われ高校から陸上を始め、4継のリレー選手として活躍します。
反りが合わない他校の指導者から逃れるため合宿を抜け出すなど、少し自由人である連に振り回されながら陸上選手として成長する新二。それに触発されチームに貢献するリレーを意識する連。そんな二人の入部から3年生の夏までの友情を通しての変化が感じられます。

もちろん各年代のリレーを通して、メンバーとの衝突などの青春部活動における名場面が数多く描写されています。また、一度は疑問に思う陸上選手の命題「何故走るのか」の一つの回答を違和感なく教えてくれる作品です。(30代男性)

「一瞬の風になれ」の関連テーマ

「みちのくの星空の下に」国吉嘉男

みちのくの星空の下に
《あらすじ》を見る

男女複数名の初々しい友情

大阪に住む男子高校生数名が田舎にホームステイをし、そこに住む女子高生たちと友情を重ねたり、恋愛関係に発展したりする物語です。また、男同士の友情や女同士の友情についても描かれており、高校生であることから読むだけで甘酸っぱい気持ちになれます。大人になり、社会の荒波に揉まれてる人が読むと、昔に戻れたような気持ちになり気持ちが和みます。(20代男性)

「青が散る」宮本輝

青が散る

<あらすじ>
燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。炎天下でのコートづくり、部員同士の友情と敵意、勝利への貪婪な欲望と「王道」、そして夏子との運命的な出会い──。青春の光あふれる鮮やかさ、荒々しいほどの野心、そして戸惑いと切なさを、白球を追う若者たちの群像に描いた宮本輝の代表作。

青春の青いフォトグラフ

大阪の3流大学での新設テニス部を舞台に繰り広げられる大学生たちの青春小説で、ドラマ化にもなりました。
瑞々しい輝きを放った登場人物の友情が眩しく新鮮な感じがします。主役のテニス部創設発起人椎名とそのテニス部に入会を誘われる女性裕子との友情関係が切ないです。
主役の男子は別に好きな女性がいて裕子は椎名に密かに思いをよせています。椎名は裕子を頼りにして金欠になると裕子にお金を借りていました。二人であって何気なく話をするシーン、裕子は椎名に思いを寄せながらもその思いは友情に近かったかもしれません。椎名は裕子を友だちのように感じ扱っていました。とりわけ最後に裕子が椎名に残したメッセージ、お金は返さなくていいからというのが印象的でした。(50代男性)

「青が散る」の関連テーマ