リアルな人生ドラマを映像で体感 ノンフィクション映画のおすすめ15選
「実話」を元にしたノンフィクション映画を集めてみました。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、実際に起こる出来事は、創作されたフィクションよりも複雑で奇妙なことがあったりします。
「実話」ならではの深い重みを体感できる人気のノンフィクション映画、15作品をご紹介します。
パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー
<あらすじ>
自殺未遂の果てに、自らの意志で精神科に入院した青年。やがて彼は医学の道を志し、規則に背いては患者をユーモアで楽しませる。冷ややかな視線を向ける周囲を尻目に、彼は恋人と共に無料治療院を開設する。
“最高の治療薬は笑いである”と提唱し、たくさんの患者を笑顔にした医学生の実話
自殺未遂を起こし精神病院に入院したアダムス(ロビン・ウィリアムズ)は、他の患者と過ごす中で、”最高の治療薬は笑いである”と気付く。その後医科大学に入学した彼は、独自の方法で患者に接し始める。
金儲け優先の医療現場に疑問を持ち、人に優しい医療を信念に掲げた実在の医師の若き日の奮闘を描いた作品です。「死を遠ざけるのではなく、生を高めるのが医者の務め」という言葉は、精神を病んだ経験のあるアダムスだからこそ、たどり着いた境地なんだろうなと思いました。
アダムス役のロビン・ウィリアムズの患者に対する温かい眼差しと笑顔に、見ているこちらの心まで一緒に解きほぐして貰ったかのような気持ちになれます。人に対しても自分に対しても優しい気持ちになりたい時にオススメの映画です。
42~世界を変えた男~
<あらすじ>
4月15日。その日、大リーグではグラウンドにいる全員が背番号「42」をつける。どのチームの、どの選手も。敵も、味方も、関係なく。「42」――それは、大リーグで唯一の、全球団共通の永久欠番。その裏側に、鳥肌の立つようなドラマがあった。
時代において当たり前とされている常識が変わっていく映画
アメリカにおいてスポーツでも白人が主流だった時代に黒人発となるメジャーリーガーが誕生し、その人物にフォーカスした映画。
白人至上主義であるメジャーリーグの時代に差別と戦いながら着実に結果を残し、少しずつチームメイトやファン、世間に認められていくプロセスに感動します。
今ではアメリカスポーツにおいて当たり前に黒人選手がでてきていますがそのパイオニアであり、常識が変わっていきます。
諦めない気持ち、仲間想いの姿に感動します。(20代男性)
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博士と彼女のセオリー
<あらすじ>
エディ・レッドメインが著名な科学者スティーヴン・ホーキング博士を演じ、称賛を浴びた。かつては若く健康で活動的だったスティーヴン。21歳の時、彼はケンブリッジ大学の学生であるジェーン・ワイルド(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちるが、時を同じくして余命宣告を受ける。ジェーンの献身的な支えを受け、スティーヴンは意欲的に研究に打ち込む。その内容は彼にとってまさに貴重なもの、時間についてだった。2人は力を合わせて絶望的な状況に立ち向かい、誰にも想像できなかった偉業を成し遂げる。
難病を抱えながら研究に励んだ天才物理学者と彼を献身的に支えた妻の実話
21歳でALSという難病を患い、余命宣告を受けた物理学者・ホーキング博士の壮絶な半生を、長年連れ添った彼の元妻・ジェーンとの関係を主軸に描く。
こういった伝記映画は偉業を成し遂げたご本人にのみスポットライトが当たっている印象が強く、いつも「ご本人はもちろん、ご家族も物凄く大変だったんだろうな」と想像しながら見ていました。今作は夫婦二人三脚で病気と闘う姿を丁寧に映しています。ホーキング博士の偉業は、素晴らしい女性・ジェーンの存在があってこそということや、彼女自身の苦悩や葛藤についてもこの映画で知ることができて本当に良かったです。
また、自転車ではしゃぐ青年期から電動椅子生活を送る中年期までを見事に演じきったエディ・レッドメインの演技がとても素晴らしかったです。特に中年期はホーキング博士本人にしか見えず、アカデミー賞主演男優賞を取ったのも納得の演技でした。(30代女性)
ウルフ・オブ・ウォールストリート
<あらすじ>
セックス、金、権力、ドラッグ。現実とは思えない衝撃的な実話を映画化したのは巨匠マーティン・スコセッシ監督だ。レオナルド・ディカプリオが演じたのはニューヨークに住む、富と名声に貪欲な若手の株式ブローカー。不正が横行し果てしのない欲望が渦巻く街に住むその男の名前はジョーダン・ベルフォート。
金と快楽に溺れたウォール街の男の破滅的な物語
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、マーティン・スコセッシ監督の映画であり、ジョーダン・ベルフォートの回顧録を基にした壮大な物語です。この映画は、株式市場を舞台に、ジョーダン・ベルフォートが成功と貪欲の世界に没頭し、彼の軌跡を描いたものです。
この映画の最も印象的な点の1つは、主演のレオナルド・ディカプリオの演技です。彼は、ジョーダン・ベルフォートという人物を完璧に演じており、彼が描く役柄の狂気と混乱を的確に表現しています。
しかし、この映画の描く内容は、極端な金儲けのための非倫理的な手段による脱法行為やドラッグの乱用、性的な場面などが含まれているため、一部の人には衝撃的なものかもしれません。
総合的に見ると、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、壮大なストーリー、素晴らしい演技、驚くべき映像技術を備えた傑作といえるでしょう。ただし、物語の内容が非常に過激であるため、苦手な人もいるかもしれません。極端な成功への欲望がどのような結果をもたらすのかを考えさせられる映画であり、人間の欲望や倫理観について考えるきっかけを与えてくれると思います。(30代男性)
ウェイバック -脱出6500km-
<あらすじ>
6度のアカデミー賞ノミネートに輝く名匠ピーター・ウィアー最新作!シベリアからインドまで6500kmを踏破した男達の真実の物語―
「生」と「自由」への長い道のり
シベリア強制労働収容所から脱出し、仲間と南を目指して逃避行をする話ですが、その過酷な運命とは裏腹にシベリアからモンゴル、チベット、インドとその雄大な景色には見入ってしまいます。
徒歩でのシーンなので大きな盛り上がりはありませんが、逆にそんな感じで進んで行くんだろうなぁとリアルな印象を持てました。
拷問で嘘の証言をしてしまった妻と、それを許しているヤヌシュの、年を経て再会するシーンは感動ものでした。(50代女性)
SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
<あらすじ>
映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者による回顧録を基に映画化した社会派ドラマ。
セクハラを暴くあっぱれな女性記者の見事な戦いの物語
現代の女性たちのセクハラに対する運動の起爆剤にもなった事件を扱った映画です。あっぱれな女性記者が、大物プロデユーサーを追い詰めて、白日の元に明らかにします。その素晴らしい戦いは、女性の強さの表れでもありますが、男性社会の歪みを暴いたという意味で見応えのある映画です。今でも新聞記事になるくらいの悪者の末路を、ぜひ見てください。(60代男性)
そして父になる
大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮良多(福山雅治)。ある日、産院からの電話で、6歳になる息子が取り違えられた他人の子だと判明する。妻のみどり(尾野真千子)は気づかなかった自分を責め、一方良多は、優しすぎる息子に抱いていた不満の意味を知る。良多は、相手方の家族と戸惑いながらも交流を始めるが、群馬で小さな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木ようこ)夫婦の粗野な言動が気に入らない。過去取り違え事件では100%血のつながりをとるというが、息子に一心な愛情を注いできたみどりと、温かでにぎやかな家族を築いてきた斎木夫婦は、育てた子を手放すことに苦しむ。早い方がいいという良多の意見で、ついに“交換”が決まるが、そこから、良多の本当の“父”としての葛藤が始まる―。
6年間育ててきた息子がある日、赤の他人の子供だと知らされた父親の物語
大手企業に勤めるエリートサラリーマンの野々宮良多と妻・みどりのもとに、一人息子の慶多を産んだ病院から連絡があり、出生児に子供の取り違えがあったと告げられる。小さな電気店を営む夫婦の長男として育った子供が実の息子だと知らされた良多は、子供の交換に向けて動き出すが─。
仕事人間で人のことを肩書きでしか見ていなかった良多が、子供の取り違えをきっかけに2人の息子たちと向き合い、父親として成長していく姿がとてもリアルに描かれています。最初は嫌味な良多が好きではありませんでしたが、映画が終わる頃にはとても愛おしい存在になりました。
血の繋がった息子の行動に自分のDNAを感じたり、育ててきた息子の行動に自分への愛を感じたり─。どちらの息子を選んでも正解というわけではないので、見ていてとても胸が苦しくなりましたし、これが実話をもとに作られていて、1970年代にはこのような取り違えが何件も起きていたと知りゾッとしました。
実話では娘の取り違えのノンフィクション本が出ているので、映画鑑賞後に併せて読んでみるのも面白いと思います。(30代女性)
最強のふたり
<あらすじ>
事故で全身麻痺となり、車いす生活を送る富豪と、図らずして介護役に抜擢されたスラム出身の黒人青年。共通点はゼロ。高級住宅地とスラム、ショパンとクール&ザ・ギャング、超高級スーツとスウェット、洗練された会話と下ネタ、車いすとソウル・ミュージックに乗ってバンプする身体―。二人の世界は衝突し続けるが、やがて互いを受け入れ、とんでもなくユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。
障害者との共生とはについて考えさせられる
大富豪の男性障害者とその介護人を勤めることとなった黒人の前科者の青年との友情の物語。大富豪フィリップが黒人ドリスのことを、自分を障害者として扱わないで健常者と平等に接してくれる、と見て採用したことがこの物語を面白いと期待させてくれました。障害者が抱える様々な事情を浮かび上がらせて、単なるスカッとするストーリーだけで終わらないところがいいですね。(40代男性)
「最強のふたり」の関連テーマ
博士と狂人
<あらすじ>
19世紀、独学で言語学博士となったマレーは、オックスフォード大学で英語辞典編纂計画の中心にいた。シェイクスピアの時代まで遡りすべての言葉を収録するという無謀ともいえるプロジェクトが困難を極める中、博士に大量の資料を送ってくる謎の協力者が現れる。その協力者とは、殺人を犯し精神病院に収監されていたアメリカ人、マイナーだった――。
「英語」に立ち向かった男たちの重く厚い人間ドラマ
アメリカでベストセラーとなったノンフィクション本『博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話』をもとに制作された映画です。
世界でもっとも権威のある英語辞書、オックスフォード英語大辞典を作ったのは、大学を出ていない独学で言語学を研究してきたマレー、そして精神を病んだ元外科医の殺人犯マイナー。この2人に焦点を当てながら、言葉の大海原を渡るための船を作った学者たちのロマンと友情の物語が繰り広げられます。(20代女性)
八甲田山
「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか―。」
日露開戦を目前にした明治34年末。寒地装備、寒地訓練が不足していた帝国陸軍は、ロシア軍と戦うために厳冬期の八甲田を踏破し、寒さとは何か、雪とは何かを
調査・研究する必要があると考えていた。その命を下された青森第5連隊の神田と弘前第31連隊の徳島は、責任の重さに慄然とする。冬の八甲田は生きて帰れぬ白い地獄と
呼ばれているからだ。雪中行軍は双方が青森と弘前から出発し、八甲田ですれ違うという大筋のみが決定し、細部は各連隊独自の編成、方法で行う事になった。
「この次お逢いするのは雪の八甲田で―」二人はそう再会を約束して別れたのだったが…。
大自然に翻弄された日本軍の地獄の行軍
日露戦争開戦直前、青森の八甲田山での寒地訓練で起きた日本最大級の雪山遭難事故をもとにしたノンフィクション。
実際の冬山での過酷すぎるロケで撮影した映像はリアリティに溢れており、時間の経過とともに正気を失っていく隊員達の演技は見事。ストーリーも、当時の軍内部の上下関係の難しさ、やるせなさがうまく描写されている、日本ノンフィクション映画屈指の作品です。(30代男性)