【邦画】名作日本の白黒映画おすすめ13選

2022年8月31日

名作白黒映画【邦画編】

今回は、日本の白黒映画の名作を集めてみました。
モノクロならではの味わいのある映像。いまだからこそ見直したい不朽の名作たち。往年の名俳優、大女優たちの演技もじっくりと堪能してください。1度は観ておきたい名作ばかりです。

ゴジラ (1954年)

ゴジラ

<あらすじ>
原水爆実験の影響で、大戸島の伝説の怪獣ゴジラが復活し、東京に上陸。帝都は蹂躙され廃墟と化した。ゴジラ抹殺の手段はあるのか・・・。戦後の日本映画界に特撮怪獣映画というジャンルを築いた、記念すべきゴジラ映画第1作。核の恐怖を描いた、本多猪四郎の真摯な本編ドラマと、円谷英二のリアリズム溢れる特撮演出が絶妙のコンビネーションを見せ、「ゴジラ」の名を一躍世界に轟かせた傑作。

ゴジラの恐怖と悲しみを味わえる物語

1954年に放映された初代ゴジラで、これぞ原点である作品です。
現代を原点とするシンゴジラがありましたが、どこか優しさが残っています。しかし、初代ゴジラは優しさなど微塵もなく紛れもなく破壊神なのてす。
白黒ながら出来映えは最高で、時代を感じない演出と迫力に最新の映画に負けない、そんな面白さがあります。
ゴジラファンはもちろんのこと、半世紀も前の映画はどんな物か見たい方おすすめです。縦横無尽に破壊していく真のゴジラを堪能して欲しい。原点にして最高と呼べる作品の1つでしょう。(40代男性)

人間たちのゴジラを巡る戦い

海底でひそかに生きていたゴジラが住む場所を追われて、次第に人々や都市を襲うようになってくるストーリー展開が面白かったです。
ゴジラ映画の第1作目で、白黒の映画でありながら、それなりに迫力もありました。また、危険視されるゴジラを倒すか生かすかで対立する、専門家たちのやり取りも良かったです。それから、ゴジラがどんな生物であったのか最近ではあまり知られていないことも描かれていました。(30代女性)

「ゴジラ」の関連テーマ

東京物語

東京物語

<あらすじ>
尾道に住む老夫婦、周吉ととみが東京で暮らす子供達を訪れるために上京する。子供達は久しぶりの再会で二人を歓迎するが、それぞれ家庭の都合もあり、構ってばかりはいられない。結局、戦死した次男の嫁、紀子が二人の世話をすることになる。老夫婦は子供達がすっかり変わってしまったことに気づくのであった……。ラスト近く、ひとり残された夫が、静かに海を見つめているシーンが印象的。人間の孤独感、死生観といったテーマをとりこんだ味わい深い名作。

田舎の老夫婦が東京にいる子供たちの様子を見にやってくる話

尾道で末っ子娘と暮らす老夫婦は、離れて暮らす子供たちの様子を見に東京へと旅立つ。しかし、長男長女は日々の生活に追われており、両親を構うほどの余裕はなかった。子供たちに相手にされず暇を持て余した老夫婦だったが、7年前に戦死した次男の妻・紀子(原節子)が東京観光に連れ出してくれる。
血の繋がった子供よりも自分達に良くしてくれた紀子に感謝しながら尾道へ帰ることにした二人だったが、道中で妻が体調を崩してしまう─。

見る年齢や立場によっても感想がガラッと変わってくる映画だと思います。両親の立場から見れば、久しぶりに会いに来た親に対してそっけない態度の子供たちに不満は募るでしょうし、子供たちの立場から見れば、家事に育児に仕事にと忙しくしている中で両親にまで気を回す余裕がないのも頷けます。
そんな中で紀子が「年を取ってしまうと自分の生活が第一になってしまう。なりたくはないけど私もそうなっていくのよ」と末っ子娘を諭すシーンがとても印象的でした。(30代女性)

二十四の瞳

二十四の瞳

<あらすじ>
壷井栄原作の同名の名作を、名匠・木下恵介監督が自ら脚色し演出にあたった作品。物語は、主人公の若き女教師・大石久子と12人の教え子たちの師弟愛と、心優しい人間たちを引き裂いていった時代の悲劇を、昭和の初めから終戦後に至る約20年間を通して、美しい小豆島の自然を舞台に描いている。20代から40代までの久子を演じきる高峰秀子、そして子供たちの素直な演技に涙が止まらない。第12回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞

苦しいときも助け合って生きていく人間の尊さが伝わってくる作品

戦争によって苦しい状況に立たされてしまった先生と生徒、そんな彼らが苦しさにもめげずに一生懸命生き抜いていく姿に心から感動しました。貧しいからこそお互いに信頼し助け合う姿をみて、現代人が忘れてしまっている本来の人間関係がここに詰まっているように感じました。白黒映画でありながらも、色が見えてくるような臨場感と俳優たちのいきいきとした演技も印象に残っています。(20代男性)

日本はこんな時代もあった

木下惠介監督・脚本、高峰秀子主演により、1954年(昭和29年)に公開された映画で、第二次世界大戦真っ只中の香川県小豆島を舞台に女性教師と生徒たちの物語ですが、現代では体験する事の無いような苦労や悲劇を細かく描写されております。特に後半の場面は涙なしでは観れないような場面もあり本当に良く出来ています。
私はこの映画を観て、戦争という人類の誤った行為やそれに翻弄される人々の悲壮さを再認識する事ができました。恵まれた現代に生きる私達だからこそ、この映画は観ておくべき映画と言えますね。このような感じですので、まだ観られていない方は是非一度観られる事をおすすめします。(50代男性)

山椒大夫  

山椒大夫

<あらすじ>
平安末期、越後を旅していた母子連れは、人買いに騙され生き別れにされた。
母親と離れ離れとなった厨子王と安寿の兄妹は、丹後の豪族・山椒大夫のもとに売られてしまう。
奴隷となった二人は過酷な労働を課せられながらも、母親との再会を望む日々を送る。
それから十年、大きくなった二人は依然として奴隷の境遇のままであったが、ある日、新しく買われた奴隷が口ずさむ唄に、自分たちの名前が呼ばれているのを耳にする。由来を尋ねると、子供を攫われた自分たちの母親の叫びであることがわかり、二人は遂に脱走を決意する。

家族の運命に最後まで興味が持てる作品

題名の山椒大夫がまさか人買いだとわかるシーンにまずは驚くと思います。
内容こそ親子が離れ離れになる設定ですが、信じていた人がまさか自分たちを裏切る意外な展開や、安寿の厨子王への愛情の深さへの感動さらに、なんとか山椒大夫の元から逃げようする厨子王がどんな人生を送るか、母の消息はどうなったのかを注意深く見る事ができる興味深い作品です。(50代男性)

雨月物語

雨月物語

<あらすじ>
戦乱の到来を契機に大商いを目論む陶器の名工源十郎と、侍として立身出世を夢見る弟の藤兵衛、そして息子と家族3人で貧しくともささやかな幸せを望む妻の宮木。そんな三人の命運を、やがて荒廃した時代が飲み込んでいく。

妻子を残して都に出稼ぎに来た男が美しい姫に誑かされる話

時は戦国時代。妻子を田舎に置いて出稼ぎに来ていた陶工の源十郎(森雅之)は、弟の藤兵衛と焼き物の商いで大儲けをしていた。しかし、侍に強い憧れがあった藤兵衛は、商いの途中で侍の行列を見つけると、稼いだお金で槍と甲冑を揃え、侍と一緒に戦に行ってしまう。
一方、源十郎は若狭と名乗る美しい女性(京マチ子)から大量に注文を受ける。彼女は源十郎の腕に惚れ込んだと言い、その妖しい美しさにスッカリ骨抜きにされた源十郎は、彼女の屋敷に住み着くようになる。しかし、若狭と時間を共にする源十郎の顔からは、段々と死相が出るようになっていき─。

童話「青い鳥」と同じように、本当の幸せは身近なところにあるけれど中々気付きにくいという趣旨のお話でした。あんないい奥さんがいるんだから早く故郷に帰ってあげてよと思いつつも、若狭が本当に魅力的なので、ついつい魔が差した源十郎の気持ちも理解できてしまいます。源十郎に裏切られたと知った時の若狭の凄みの演技は必見です。(30代女性)

野菊の如き君なりき

野菊の如き君なりき

<あらすじ>
原作は伊藤左千夫の有名小説『野菊の墓』。思い出の信州の故郷を何十年か振りに訪れた一老人の回想のなかに、旧家に生まれ育った少年時代の主人公と年上のいとこの、淡く美しく、そして悲しい恋の物語を描く。木下惠介の筆致は、最も脂の乗り切った時期の作品だけに、練達のリリシズムを感じさせる。回想場面を白地の楕円形のマスクで囲い、古い写真帖をめくるような手法が効果的で、詩情あふれる撮影も相まって涙なくしては見られぬ名作となった。

明治時代の悲しい恋愛物語

この切ない恋愛物語は、白黒だからこそ雰囲気に拍車がかかりとても世界観を感じることができますし、明治時代が舞台でもやはり恋愛感は現代と変わらないので、非常に感情移入しやすかったです。また、観ているとどんどん一人の世界に入り込んでいきましたし、一人でどっぷり恋愛に浸りたい方にはとてもおすすめだと感じました。(30代男性)

あゝひめゆりの塔

あゝひめゆりの塔

<あらすじ>
日活青春映画を代表する青春コンビによる戦争の悲劇を描いた大作。太平洋戦争末期の沖縄で、軍に協力を余儀なくされた学徒たち。彼女たちの青春と、それを引き裂く戦争の非情さ。冒頭とラストには1968年当時の若者風俗を織り込み、そこから戦時中を回想していく構成になっている。

戦争に翻弄されていく少女たち

とても古い作品ですが、今の近国での戦争に影響を与えられている私達にとっては、この作品を観る事で平和について・平凡な日常がどれほど大切なものかを再考させてくれました。
前半は本当に何気ない日常生活の様子で、それだけに後半怒涛の如くアメリカ軍に攻め込まれて行く沖縄の悲劇がリアル感を持って観られ、特に女学生達の必死の表情に胸が苦しくなり、戦争のない人生のありがたさを強く感じられるのが良かったです。(50代女性)

女優須磨子の恋

女優須磨子の恋

<あらすじ>
坪内逍遙を中心とする早稲田の演劇研究所では、島村抱月の「人形の家」を公演することになっていた。ノラを演じられる役者がいないと悩んでいた抱月は、偶然夫婦喧嘩の末、夫と別れた演劇研究所の所員・松井須磨子に出会う。ノラの役を演るのは松井須磨子をおいて他にないと、抱月はノラ役に抜擢する。厳しい稽古の末、須磨子の熱演により公演は好評を博す。そして、抱月と須磨子は恋に落ちていた。抱月は研究所も家庭も捨て、須磨子とともに芸術座を立ち上げるのだが…

理想に燃えても死んだらおしまい。

これまでの日本人女優のイメージを覆すキャラクターを確立した女優、松井須磨子と、松井に感化され共理想を目指そうとする劇作家、島村抱月。
二人が燃えた時間は濃密であったでしょうが、それはガソリンをぶっかけて燃えたような感じで、あっという間に燃え尽きました。島村がスペイン風邪でコロッと逝ってしまったことで須磨子もエネルギーを失って後を追う形で死ぬのは、しばしば見られる「共依存」のパターンのように思えます。とはいえ、内容は濃く、笑える場面もあったり、白黒映画とはいえ、1947年で、やがてカラー映画になろうかという時代の作品ですので、非常に画像も鮮明で見ごたえがあります。
また、物量難の戦後に於いて衣裳や装置など全くものとも言わせないゴージャス感は、松竹京都スタジオの力の凄さを物語っています。(50代男性)

早春

早春

<あらすじ>
結婚後8年、サラリーマン・杉山正二と妻の昌子は、子供が病死して以来、冷え切った関係にある。そんな中、通勤仲間のひとり、OL・千代と深い関係になる正二。そして、昌子は夫の浮気に気づき、家を出ていってしまう。先の見えない会社生活に不満を隠さない正二だったが、友人の死と地方への左遷を機に千代との関係を清算しようと決意するのだった……。小津監督の繊細な演出が冴える一作。

壊れかけた夫婦の再生物語

内容は、夫の浮気に気づいて壊れかけた夫婦仲を2人でもういちどやりなおしていくというものです。
正直最初はすごく綺麗なお嫁さんと結婚したのになんでこんなことをするんだろうと憤りを覚えたり。でも、夫婦の理想の関係とは。そんなことをシンプルに考えさせてくれる作品です。また、今とは違う人々の生活の描写は見ていて面白いです。通勤電車で顔を合わせる人と気軽にハイキングに行くシーンは衝撃的でした。(30代女性)

丹下左膳餘話 百萬兩の壺

丹下左膳餘話 百萬兩の壺

<あらすじ>
代々伝わるこけ猿の壺には百万両の価値があった。だが、単なる古ぼけた壺だと思われた壺は転々として、矢場の常連であった七兵衛の息子・ちょい安の金魚入れとなっていた。矢場の用心棒をしていた丹下左膳は子供嫌いのお藤とともに、一人残された幼いちょい安の面倒を見ることになるがー

百万両の壺を巡るドタバタ人情時代劇コメディ

資産家の次男坊が譲り受けた古ぼけた壺。てっきり値打ちのないガラクタかと思いきや、実は百万両の価値のある壺だった!しかし値打ちを知らない女房が質屋に売っており、その壺は巡り巡って孤児の男の子の金魚鉢となっていた─。

口は悪いけれど心根の優しい江戸っ子たちの魅力がたっぷりと詰まった映画です。
強面の丹下左膳が完全に「優しいおじちゃん」と化していて、孤児の男の子に甲斐甲斐しく世話を焼く姿にほっこりさせられました。丹下左前の下宿先の女将さんも、最初は孤児が家に来ることを嫌がって、「あんな汚い子供」「子供が大嫌い」と罵っていますが、次のシーンではすっかり溺愛しているのが面白かったです。
個人的に、三谷幸喜作品と同じ雰囲気を感じました。白黒映画は小難しいのでは?と言う先入観のある人にこそ見てほしい、笑いあり涙ありのエンターテイメント作品です。(30代女性)

女の座

女の座

<あらすじ>
東京近郊で荒物店を営む「石川屋」には、当主の金次郎、その後妻・あき、長男の未亡人・芳子、その息子・健、四女・夏子、五女・雪子が住んでいる。ある日、父・金次郎危篤の報せを受け、長女・松代、次女・梅子、次男・次郎、三女・路子夫婦が駆け付けた。金次郎は幸いにも持ち直し一同は安堵するが、子供たちは自分のことばかり考え、わだかまりが絶えない。唯一の他人である芳子は、石川家のことを考え金次郎とあきに尽くしているが…。

家族という名の集団の人間模様

今の時代では考えられない様な大人数の家族が一つ屋根の下で暮らしている荒物屋一家の物語で、主人公は夫を亡くしても健気に頑張る嫁の芳子を演じているのは昭和の大女優高峰秀子さん。後妻の為に前妻の子と自身が生んだ子の6人を育てた姑役には杉村春子さん、同居する小姑の梅子役には草笛光子さんと豪華な顔ぶれです。兄弟や家族それぞれのお金に対する執着や結婚に対する想いがコメディのようにも思え楽しめます。キャストの豪華さと時代と共に変化した家族構成にも着目できるお薦め作品です。(50代男性)

肉弾

肉弾

<あらすじ>
太平洋戦争末期に学徒出陣経験のある岡本喜八が、戦争の真実の姿を描こうと私財を投じてATGで映画化を実現した作品。主人公の兵士“あいつ”は、本土決戦のための特攻作戦の準備と称して、砂丘の穴に隠れて戦車に体当たりするというバカげた訓練に明け暮れている。一体何のために死んだらいいのかわからない。“あいつ”は艦隊を迎え撃つために魚雷にくくりつけられたドラム缶に入り敵艦の到着を待つが、糞尿処理船の船長に終戦を告げられるのだった…

悲劇を喜劇に変える戦争映画

岡本喜八監督の『肉弾』は戦争映画ではありますが、シュールかつコミカルな作品です。人間魚雷に任命された主人公(あいつ)の青春と終戦までを描くと同時に、戦争を痛烈に皮肉った反戦映画でもあります。
あいつは、与えられたたった1日だけの自由時間中で、様々な人たちと交流します。その中で、運命の女性と出会い、戦う理由と人間らしさを見つけると言ったお話です。最後まで戦争の滑稽さや虚しさを、とことんコミカルに描いています。悲劇を喜劇で表現しつつ、戦争の無意味さを訴えた強いメッセージ性を持った作品です。1968年の映画ですが、とてもオシャレで斬新な映画なので古くても楽しめる映画です。不安定な世を生きる今、必要な映画だと思います。(40代女性)

海と毒薬

海と毒薬

<あらすじ>
太平洋戦争末期。敗色も濃厚となった昭和20年5月。九州のF市にも毎晩のように米軍機による空襲が繰り返されていた。大病院で研究中の医学生、勝呂と戸田の2人は物資も薬品も揃わぬ状況下だが、自身の研究と患者の治療に追われ忙しい日々を送っていた。2人の指導教官である教授たちは次期院長の座をを巡って水面下で派閥争いを繰り広げている。そんなある日、2人は教授から米軍捕虜の生体実験に参加するよう申し付けられる……。

戦時下、若き医師たちの苦悩の物語

戦時下において行われていた捕虜(米軍兵士)への残酷な臨床実験という異常な事態を、帝大医学部の若い医師たちの目線で描いた異色のモノクロ映画です。
1986年というカラーが当たり前の時代に、敢えてモノクロで撮影したことで、その陰影のもたらす効果が凄まじく、俳優たちの表情や海、空の色をあえて想像させて表現の幅を膨らめるような描写が深くて、素晴らしかったです。流れる血の黒々とした色は逆に強すぎて怖い、と感じるほどでした。若かった奥田英二さん、渡辺謙さんの、体制に翻弄されていく医師としての使命と、人としての良心の呵責に揺らぐ姿は見ごたえがありました。(50代女性)

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