「友情」がテーマの傑作小説10選

2022年3月16日

「友情」がテーマの小説

友達っていいな、と思える「友情」をテーマにした小説を集めました。
厚い友情に心打たれたり、友達の応援に励まされたり。

心が疲れたときなどにぜひ読んでみてください。

夜のピクニック

作者:恩田陸

夜のピクニック

《あらすじ》
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

高校生の青春小説です。
24時間歩く高校最後の締めくくる学校行事『歩行祭』をテーマにし、強い意気込みの生徒や、恋人と一緒に歩きたい生徒、仲のいい友達と歩きたい生徒、自分の青春時代を思い出す作品です。ゴールする時の思いなどがとってもリアルに描かれていてとっても面白いです。
高校生ならではの、さまざまな感情や気持ちの変化、葛藤がとても素敵な作品。

「夜のピクニック」の関連テーマ

きみの友だち

作者:重松清

きみの友だち

《あらすじ》
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。

本当の友達ってなんだろう?事故で歩けなくなった少女と生まれ持った病気を抱える少女2人のお話。クラスで2人だけ浮いているけど、2人だけの世界の中で満足そうな2人。友達って多ければいいものではないと思え、なんだか安心できます。2人の少女たちのような友情の美しさに触れられる1冊。自分にとって本当の友達とは何か考えさせられます。

「きみの友だち」の関連テーマ

夢から醒めた夢

作者:赤川次郎

夢から醒めた夢

《あらすじ》
ピコタンは冒険が大好きな9歳の女の子。
遊園地の古いお化け屋敷で、哀しげな女の子と出会う。その子は…なりたての幽霊だった。女の子と再会したピコタンは、1日だけ、幽霊の自分と入れ代わってほしいとお願いされ、あっさり引きうけるが…。「生」と「死」のあいだの約束は守られる?劇団四季傑作ミュージカル原作「夢から醒めた夢」ほか「ふまじめな天使」を収録。

劇団四季のミュージカルで有名なお話の原作。
好奇心いっぱいで心優しい主人公と、お母さんを慰めるために一時だけでも現世に蘇りたい幽霊の女の子の心温まる友情ストーリー。二人を取り巻く登場人物も個性的で魅力的な人たちばかりで、ぐいぐいと物語に引き込まれます。子供から大人まで、親子一緒にも楽しむことができる小説です。

君の膵臓をたべたい

作者:住野よる

君の膵臓をたべたい

《あらすじ》
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!

余命いくばくもないことがわかった高校生が、自分の人生で友情と言えたり、恋に近い感情を抱くことがどんなものかを求めようとする。そしてそれに応えようとする友人の思いやなくなってからの心の動きを綴る青春小説。
死ぬ前にやりたいことなどと言う高校生にはなかなか言葉にできない表現もあり、読むものが命の大切さ、そして友情の大切さを知ることができる小説。

「君の膵臓をたべたい」の関連テーマ

せきれい荘のタマル

作者:越谷オサム

せきれい荘のタマル

《あらすじ》
静岡から東京の大学に進学した石黒寿史は、同郷である法村珠美(のりたま)への恋心から、同じ映画研究部に入部する。しかし寿史は、やたら面倒見のいい、同サークルの先輩・田丸大介(タマル)につきまとわれ、早朝マラソンに付き合わされそうになったり、あきらかに怪しいサークルのBBQに参加させられたりと、振り回されっぱなしの日々。あげく、タマルまでがのりたまに恋心を抱き、猛攻撃を始めて―。

大学の映画研究会に入会した主人公と鬱陶しい先輩であるタマル先輩との交流によるドタバタ青春小説。
大学生の恋の話、部活動と愉快な話と思いきや、ちょっと重めの事件も起きる。そしてタマル先輩にはあまり語られることのなかった悲しい過去があった。鬱陶しいけど真っ直ぐで周りへの感染力が凄まじいタマル先輩の魅力に虜になること間違いなし!
読破後の爽快感は何とも言えないものがあります

ネバーランド

作者:恩田陸

ネバーランド

《あらすじ》
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

有名私立進学校の男子寮で起きた、ちょっぴりミステリーで爽やかな友情が感じられる男子高校生達の物語。
年末の誰もいない男子寮で、帰省せず事情を抱えた4人の高校生たちが、自分自身の秘密を打ち明けていくのですが、キャラクターがみんなサッパリとした性格で重くなく読めます。
そして次々と起こる謎に4人でアタックしていきます。
最初から最後までサッパリ読めるのに、心に暖かいものを残してくれる恩田陸の名作です。

影法師

作者:百田尚樹

影法師

《あらすじ》
頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。

この小説は江戸時代の友情を描いた小説。
同じ武士でありながら上士・下士という身分あり、身分の高い上士が通る道を下士は脇によけながら土下座をするという。厳しい身分制度がある時代で、その時代の幼い武士が成長し、藩の家老にまで上り詰める話です。ただその武士が家老にまでなれたのは幼い頃の親友がいたからです。相手を思うやさしさに涙する物語。

心が叫びたがってるんだ。

作者:超平和バスターズ

心が叫びたがってるんだ。

《あらすじ》
言葉は人を傷つける―。幼いころ、自分がなにげなく口にした言葉がきっかけで家族をバラバラにしてしまった成瀬順。突如現れた“玉子の妖精”にお喋りを封印する呪いをかけられた順は、ひたすら目立たないよう高校生活を送っていた。だがある日、クラスメイトの拓実、菜月、大樹とともに「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されたうえに、ミュージカルの主役に抜擢されてしまい…。

本作は、心の中に溜め込み、今もなお蓄積し続けているモヤモヤを登場人物たちが各々で解き放ち、自分が選んだ道へと進んでいくという、言うならば青春群像劇です。
個人的に胸に響いたのは、全てがこちらの望む展開ではないというところです。だからこそリアリティがあり、自分の境遇とか置き換えて捉えることが出来るのが素晴らしいと言うほかありません。(20代女性)

「心が叫びたがってるんだ。」は、何気ない一言が周りを傷つけたことによって喋ることをやめてしまった主人公の女の子の物語。
主人公が通っている学校で、自分とは正反対のクラスメイト3人と「地域ふれあい交流会」の実行委員に選ばれ、「地域ふれあい交流会」に向けての準備をします。実行委員に選ばれた主人公とクラスメイト3人はそれぞれあるトラウマを抱えていて……「言葉は人を傷つける」と思った時から喋ることをやめてしまった主人公の女の子とあるトラウマを抱えている男女の青春物語です。(20代女性)

本屋さんのダイアナ

作者:柚木麻子

本屋さんのダイアナ

《あらすじ》
私の呪いを解けるのは、私だけ。
「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人は、一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に―。少女から大人への輝ける瞬間。強さと切なさを紡ぐ長編小説。

自分のことを嫌いな主人公の女の子が、全てが理想の女の子と出会って本が好きという共通点があったことで仲良くなります。
自分が嫌いという女の子が、自分が理想の女の子と仲良くすることでの心情の変化が特に見どころ。途中で2人が仲良くなくなってしまう時がありますが、そこからの友情の修復や仕方なども見どころです。

くちぶえ番長

作者:重松清

くちぶえ番長

《あらすじ》
小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ―。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。

小学生の頃に感じていたことや考えていたことをほろっと思い出せるような作品です。そして綺麗でまっすぐな友情を感じさせてくれ、本当の友達とは何かを改めて考えさせてくれます。重松さんらしい作品で、どうしてこんなにも子ども心を分かっているんだろうと随所で感服します。そしてくちぶえ番長のマコトの一挙一動に心躍る作品になっています。

「友情」関連の小説